ダイゴさんとハルカちゃん。3
すずしろさんに感想を送る
私は耳を疑った。
「僕は旅に出るから、しばらく会えないね。」
ハルカが心の中でガッツポーズ決めたのが解った。
いやさ、俺だってハルカとダイゴさんの仲がとても悪いこと知ってるけど、ここまで嫌がらなくてもいいんじゃないかなあとは思う。
ダイゴさんだって、ハルカのこと嫌いなんじゃなくて、後輩としてこう・・・。
「というわけで、ハルカちゃん、チャンピオンがんばってね。」
「はいはい。」
笑顔でハルカに言うダイゴさんに絶対零度の返事。
・・・記憶が正しければ、ハルカはダイゴさんのこと謎の人と見て、普通だったはず。
なのに、チャンピオン交代の時から険悪ムードしか漂わなくなってて、今じゃ俺まで被害アリ。
このままじゃ、ダイゴさん帰ってきた瞬間にハルカにシカトされるんだろうなあ・・・。
なんとかした方がいいよなあ。
「なあ、ハルカ本当にいいわけ?」
デパートに呼び出して食事ついでに切り出してみた。
が、ハルカは黙って睨んできた・・・。めっちゃこええ・・・。
「あんな石オタになんで心配しなきゃいけないわけ?」
「いや、その、だって、一応、先輩として・・・。」
「は?」
もうやだ、帰りたい。
ダイゴさん、これのどこが楽しいんですか。
一言だけ言おうものなら次の瞬間、殺されてそうですよ・・・。
「勝手に行けばいいでしょ。人の立場を軽く言うような奴の心配して何が楽しいの?」
「はぁ・・・・。」
「いい?あいつはね、人のことを『名前だけ』って言うの。そんなやつ、くたばろうが死のうが知ったこっちゃない。」
「はぁ・・・・。」
「むしろいなくなれば世界は平和になるわ。」
「はぁ・・・・。」
俺なんて反応したらいいんだろうか。
恐ろしきハルカに何も言えない。
というか、言ったら殺されるし。
「やあ、ハルカちゃんに、ユウキ君。」
助かったと上を見上げる。
そう、これはダイゴさんの声なんだが・・・ハルカの顔が一瞬にして仮面を作る。
「あ、ダイゴさん。まだいたんですね。」
ほとんど棒読みだし。ハルカ、少しは笑っとけって・・・。
しかもダイゴさん、許可とらないでハルカの隣に座るって、自殺行為ですよ!
「いろいろ忘れていたことがあってね。」
いやちょっとまて、2人の距離が近いはずなのに、物凄い距離が空いてるようにしかみえない。俺は退散したようが良いだろか・・・。
「はい、これ。」
「は?なんですかこれ。」
空ではないモンスターボール。こんなのもらってもハルカは後で捨てるとか言わないだろうなあ・・・。
「ダンバル。僕のお気に入りの・・・。」
「ああそうですかありがとうございます。」
いやハルカ、ポケモンもらったんなら少しは棒読みじゃなくて・・・。
「・・・ハルカちゃん、結局変わらないね。」
「ああそうですか。」
馬耳東風モード入ってる・・・。ヤバいなあ、このままいくと、ダイゴさんはっ倒して立ち去るってのがパターンだし・・・つか俺も食らったことあるし・・・。
「風の噂で聞いたけど、君は何か勘違いしているよ。」
ああ、ダイゴさん、俺から聞いたってことは伏せてくれるんですね・・・。
ちょっとありがたすぎです。
「何がですか?」
態度かわんないハルカ。俺この場にいていいのか?
「僕が君に言ったよね、チャンピオンは名前だけだって。」
「ええ、そうですね。」
よく観察すると、ハルカはダイゴさんと目あわせてないし。
ダイゴさんは微妙に笑ってるし。
「チャンピオンなんて確かに名前だけ。チャンピオンだからって偉いわけじゃない。」
「ああ、そうですか。」
「君はそこを勘違いしたら困るってことを言いたいんだ僕は。チャンピオンになったからって何一つ偉くない。ポケモントレーナーたちの代表になってるだけで、他のプロの世界になんら影響を与えるでもない。まあマスコミに騒がれるくらいかな。そんなのちっとも偉くない。」
ダイゴさん・・・俺は初めて貴方のそんな真面目な語りを聞きました。
つうか、だったら最初からそうやって語っておいてください。
本当に、俺を見るハルカの視線だけで、心臓止まりそうです。
「いいかい、本当に偉いのは、チャンピオンになった時じゃない。チャンピオンをやり遂げた時だ。その時、ハルカちゃんはチャンピオンを超える強さを持ってるだろうね。その成長過程が他の人が経験できない『偉い』ところだ。」
ちょ、まっ・・・ダイゴさんそこまでハルカの機嫌悪くしておいて、立ち去るってなんですか。
俺をおいていかないでくださいよーーーーーー
「・・・やり遂げる・・・だから・・・何っ!あんなヤツに・・・。」
父さん殺気を感じます。
俺はもうダメかもしれません。
「ユウキ!もう行くわよ!あんな石オタより偉いって見せつけてやる!」
引っ張られるようにして俺は店を出て行く。
何はともあれ、俺は助かった。そしてハルカの殺気が俺じゃなくて未来の自分に向かった気がした。
「た、ただいま〜。」
ハルカってあんな強かったか?というか、トレーナーの殺気におされて、ポケモンまで殺気だってた気がした。
もちろん、俺がドン退いてるから、ポケモンだってドン退いてて、勝負にならないのなんのって・・・。
「あ、ユウキ、ツワブキダイゴって人から手紙来てるわよ。」
俺の顔がさらに疲れを表したと思う。
封筒を受け取ると、中には手紙と少量のお金・・・って送っちゃダメだろダイゴさん・・・。
『ユウキ君へ。
君たちの事はとりあえず安心してるから。
僕が帰って来る時にまた2人で顔みせてね。
また御飯行こうね。
ハルカちゃんをよろしくお願いします。 ダイゴ』
「・・・。」
何も言えずに、俺は手紙を折り畳んだ。
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