終着点〜ターミナル
すずしろさんに感想を送る
旅は嫌い。
最後の日が特に嫌い。
旅行にいっても、嫌い。
小さい頃のビデオに残っていた私。
必ず「つまらなかった」といってる私。
昔からそうだった。
今も、そう。
いつもと違う道、街、人。
帰りたくない。
もう少しここにいたい。
そう思っても、帰らなきゃいけない。
「私ちょっとミシロに帰るから!」
そういってユウキを送ったのがついさっきとは思えない。
夕暮れのミナモシティに、電灯がひとつひとつ灯り始めた。
帰りたくない。
帰ることは、日常に戻ること。
「あ、ハルカまだいた!」
ポケモンセンターの前で、送ったはずのユウキが戻って来る。
「あれ、どうしたの?」
「どうしたもこうしたも・・・なんか沖で変なやつらがホエルコ訓練してるんだ。ここから先に行くにもいけなくてさー。」
「へえ。しばらくここにいるの?」
「まーそうだな。」
ユウキは左手で頭をかいた。
「まーなんだその・・・ハルカさあ、なんでミシロに帰るの?」
「・・・なんとなく。」
そうでもない。
帰りたくない。
本当は帰りたくない。
だけど、ミシロから一緒にここまで来たユウキと実力がどんどん離れていくのが解る。
だから、ここにいられない。いても意味がない。
ここまで来た意味、解らなくなったから。
「そうかー・・・なんつーか、その、俺も1人で行っても意味ないんだけど。」
「なんで?ユウキはポケモントレーナー。ポケモントレーナーは常に1人で戦うものじゃない。」
「じゃーさあ、俺のポケモン誰が相手してくれるの?そりゃさ、勝負いどめば誰でもしてくれるけどさ、他のやつらとタイマン張れるようになったのも、ハルカが相手してくれたから、そうなったわけで、俺は別に1人で強くなったわけじゃねーし。」
「私はユウキの墓までついていけない。所詮他人なんてそんなものでしょ。いくらユウキの言う通りだとしても、行くとこは違うの。たまたま行き先が同じだったから会っただけ。そうでしょ。」
ユウキは黙った。
「行く時も、帰る時も、誰1人として一緒にあるのは自分だけでしょ。強く、なりなよ。ユウキは私と違って上を目指すんなら。」
ああ、そうか。
帰る時、1人だから私は帰りたくないんだ。
ユウキに強くなれ、っていったけど、私も強くならないといけない。
1人で行くこと、1人で帰ることに。
「じゃ、また帰ったら顔みせなよ。」
そういうと、私はオオスバメの翼にのってミシロへと帰る。
やはり旅の終わりは嫌いだ。
戻る