おくりびやまにまどろんで

千里さんに感想を送る

 おくりびやま。

 あいつが訳もなく行きたがる場所。



 モンスターボールから出してもらい、あいつの顔を盗み見る。

 何を考えているのか。何を思ってここに立つのか。何故ここに行きたがるのか。
 あいつの表情からは何も読み取れなくなる。

 これがおくりびやまの魔法なのか?




 でも、もういい。

 旅旅旅の俺らだ。
 少しくらい休憩を取ったっていい。


 何を考えているのか解らなくったって、あいつの心が穏やかなのはわかる。

 少しだけ、そう少しだけ。





 霧雨が降り始めた。

 しかたないな。

 あいつに風邪を引かれたんじゃたまらない。


 あいつの傍に寄って長い九本の尾を使い、傘を作る。

 こんなことを俺があいつにするのも、おくりびやまの魔法だ。きっと。



 ふと、眼下に広がる大海を見る。
 霧雨のせいでまるで夢の風景。



 目を閉じる。

 やわらかなあいつの吐息が聞こえた。



 あいつの規則正しい寝息を聞きながら、俺もあいつもおくりびやまにまどろんだ。




その後――

「ぶぁっっくしゅっ
 うう。ごめんな、みんな。俺、風邪引いたっぽい」

 キュウコンは、もう絶対におくりびやまの魔法なんかにかかるもんかと、心に誓ったのであった。

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