バトルと僕とあなた
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ポケナビを握る手が震える。ゼェゼェと荒く息をする。
ミツルは、今チャンピオンロードで修行していた。
手強い野生ポケモン達を相手にし、いつの間にか彼のポケモン達はレベルを上げていた。
深呼吸して、肺に空気を送った。昔のようにむせることはなかった。
…………………………
自分の人生を救ってくれた、と言っても過言ではない彼女。
病弱だった僕に、バトルを教えてくれた彼女。
バトルの友達として仲良くしてくれたハルカに、ミツルはいつの間にか淡い恋慕の情を抱いていた。
でも。
彼女はバトルを通してでしか自分を見てくれない。
ミツルにはそれはわかっていた。十分過ぎるほど承知していた。
だからこそ。
ハルカさんに認められるほどにバトルの腕をあげよう。
彼は誓った。
バトルを通してでしか関係を持てない。
逆に言えば、バトルで縁を持てた二人だった。
袖擦り合うも、多少の縁。
彼は、その縁を大切にしたかった。
昔のまま生きるはずだった自分を、ここまで丈夫に変えてくれた。
だからその恩を、唯一彼が彼女にしてあげられる、バトルで返したかった。
あなたにはまだ遠く及ばないけど、いつかあなたと渡り合えるトレーナーになりたい。
純粋な思いであなたとバトルしたい。
ミツルは彼女とバトルする度にそう思う。
…………………………
ミツルはポケナビの呼び出しボタンを押した。
「もしもし、ハルカさん?」
『あっ、ミツルくん!久しぶりだね!』
彼女の明るい声が機械越しに聞こえる。
ミツルは深呼吸をして息を整えた。
「今、時間ありますか?バトルの準備が出来たので、電話したんですが…。」
『あっ、奇遇だねぇ。今私もそっちに向かおうと思ってたんだ!』
「なら、僕とバトルしてくれるんですか?」
『もちろんだよ!もうすぐ到着するから待ってて!』
ハルカは通信を切った。それと同時に、洞窟の出口から激しい風の音が聞こえた
。
ミツルが出口へと向かうと、ボーマンダをボールに戻す彼女の姿が見えた。
彼女はミツルの姿を確認すると、顔を綻ばせた。
「さぁ、バトルしよ!」
「…はい!」
ミツルも笑顔で答えた。
二人のバトルが始まった。
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