ある主従の話
電子鼠さんに感想を送る
「次にご紹介いたしますのは!キィ、十六歳。さぁ、6000万円から!」
ここは、オークション会場のような場所
ただ、警備が異常なほどに厳重なのと、『人が売られていること以外は』
―ある主従の話―
赤い幕から二人の男に連れられてきた『キィ』と言われた少女は、ボロ布で出来た服をまとって出てきた
手は後ろで手錠をかけられ、足に繋がれた鎖には、人の頭ほどの鉄球が
男にぐいぐい引っ張られ、鉄球はゴロゴロ音を立て足についていく
最後に台の上にドンと押されると、下から鉄の棒が何本も出てきて、キィを檻のように捕える
キィの服はボロ布だが、容姿は秀麗
黄色い長い髪も綺麗に梳かれ、腕や足も綺麗に洗われている
やはり商品として売られる身、直前に現れたものだろう
「6100万円!!」
「6300万円!」
「6500万円!!」 「6600万円!!」
「6900万円!!」
かなり高額な値段が、周りから次々と叫ばれる
奴隷として使うにしては(恐らく)かなり高額なものだろう
この値段の理由は別にある
この少女は、ワタル、イエローと同じでポケモンの意思を読み、傷を癒す能力者
その能力は、一般的に見て貴重な上、ポケモンの石を読むという能力は重宝される
それは探偵業や・・・隠密や・・・犯罪や・・・
このオークションはただの人身売買ではない
キィのような、何らかの能力を持つ人を中心にに高額売買される
「7400万円!!」
「7500万円!!」
「7600万ポケドル」
何気なく放たれた、『7600ポケドル』の言葉
僅か100万差
と思うのは馬鹿の話
現在の金銭の価値は『約100円=1ポケドル』
円換算で、『76億円』
「・・・・・・・」
「・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」
驚異的な破格を叩きつけられ、場に沈黙が訪れる
オーナーと思われる男が一分間計った後
「では、約76億円で落札ですね。名前は・・・匿名希望Dさん!後で、鍵をお渡しいたします。次は―」
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
「This is key,Here you are」
「Thank you.Good bye」
外人の男から『匿名.D』は鍵を受け取ると、キィが入っている檻を後ろに載せたトラックに乗り、その場を去っていった
二人が対面するのは、『匿名.D』が、自宅についてからである
・・・・
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「ん・・・」
キィは目を覚ます
目に映ったのは、赤い布、しかも、四方八方に
檻の中か・・・
と思ったが、何かがおかしい
まず、目の前に映る筈の鉄の棒がない
それに、風のないトラックの中のはずなのに、赤い布がなびいている
か細い手で布を触ると、手は布を通してすぅっと奥へ
檻などの障害物はなさそうだ
そのまま腕を横にやると、布はシャァァ・・・と音を立て取り払われる
そこには、回転イスに乗った一人の男が
その男は、ハァァ・・・とため息をつくと、目を閉じ、イスを180°回転させる
「服は・・・掛けて置いた筈だよ」
「ッ!!」
胸元を見ると、そこには胸が
シャァ!!!
カーテンが一気に閉められる
「(ちょ・・・今裸だった・・・!!?)」
すぐそこには、服が置かれていた
それも、綺麗な
その服を着て、心を落ち着けると、ゆっくりとカーテンを開ける
「やぁ」
その男は何気ない顔で声をかける
「見・・・ました・・・?」
「もちろん」
キィは顔を真っ赤にすると
「気にしなくていいよ」
笑顔でそう答えた
あ、変な風に考えないでね、と付け加えると、コーヒーが注がれたコップを手渡す
「あなたが・・・買ったんですか・・・?」
「うん、そうだよ」
『買った奴にあったら、こう言え』
「えっと・・・キィ、十六歳です。なんでもします。よろしくお願いします」
言えと言われていた言葉
が―
「あ、何にもしなくていいよ」
「え・・・?」
匿名.Dは、事の説明を始めた
自分は、政府から直接依頼を受けた人間だ、と言うこと
人身売買でしか生きられない人を助けているということ
そして―
「そこのカードには200万円が入ってる。それで当面は生きられるだろう」
と、机の上におかれたカードを指差し言う
「さ、それ持って出ていきなよ。ここは君の居場所じゃない」
キィ、恐る恐るそのカードに手を触れるが、またゆっくりと手を引く
「早く行きなよ」
「嫌です」
「何故だ?君はもう自由なんだ。早・・・」
「嫌です!!」
「だって・・・あなたは私を買いました!私を自由にしました!!・・・・・・離れません」
「そうか・・・フフ、君は面白い子だ」
「・・・?」
匿名.Dは、立ち上がると、たんすに手をかけ、服を探しながら言う
「いや、普通ならそのカードひったくって出て行くんだけど・・・襲い掛かってもっと取ろうとする人もいたかなぁ・・・。メタグロス、おいで」
匿名.Dは、どうやら服はなかったのか、たんすをパタンと閉じると
「服がないみたいなんだ。リックのトコに行って、服、お願いできるかな?」
メタグロスに言う
メタグロスは頷くと、ダイゴの手渡した紙を受け取り、出て行った
「じゃあ・・・ウチで働いてもらおうか?」
「ほ・・・ほんとですか!」
「ホントも何も・・・決定権はこっちにあるから・・・」
「あ・・・・・・・・・」
その後、キィは、ダイゴの元で、メイドとして働くことになる
―数年後、二人が恋に落ちるのはここだけの話―
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