ダイゴさんとハルカちゃん。

すずしろさんに感想を送る

私、あの人嫌い。
「チャンピオンなんて名前だけ。」
勝った瞬間にそう言い放ったその人が。


「あ。」
嫌な人に会った。それでも、ハルカの表情は平静を保ったまま。一瞬でも崩れたらこいつに負ける。そう、この嫌味なダイゴに。
「どうも。」
愛想は全く浮かばない。むしろ、ダイゴがそのまま通り過ぎることを期待していた。
「やあ、ハルカちゃん。」
さわやかな笑顔で近付いて来る。それに対し、ハルカの表情は一切変わらない。にこりともせず、ダイゴを見た。
「はい、これプレゼント。」
「は?」
ハルカが受け取ったのは、白い紙袋。なぜこんな唐突に?と問う前に、ダイゴは語る。
「今日はホワイトデーだったよね。」
「私、ダイゴさんにバレンタインあげてませんけど。」
悪魔で冷たく返す。この人のそういうところが嫌い。そう、妙な絡み方しかしてこないダイゴが嫌い。
「いいのいいの。僕があげたいからあげるんだから。」
「え?え?もらう理由がありませんからいりません。」
そういうダイゴは何が面白いのか、困るハルカを見て笑っている。嫌いな人に物を押し付けられ、ハルカもどうしようか迷った。が。
「いりません。」
ハルカは紙袋をダイゴに投げ付け、回れ右をしたかと思うと自転車であっという間に遠くへと行ってしまった。
「やれやれ、嫌われたもんだ。」
足下に落ちた袋を拾い、砂を払う。小さくなっていくハルカの背中を見つめてダイゴは「大成功」とばかりに笑いを堪えていた。


「・・・だからいい加減ハルカをからかうのやめた方がいいですって。そのうち殺されますよ?」
「だってだって、1000円ちょっとで、こんな面白いもの見られるんだもの、映画見るより払う価値あるって。」
ハルカに拒否されたことを、自慢気にユウキに話す。ユウキもなぜダイゴがここまでハルカに嫌がらせしているのかを知ってるようになってしまった。
「いやだからですね・・・。」
「だってかわいい後輩だよ!?ハルカちゃんも『ありがとうございます』って笑顔で受け取ってゴミ箱にぶち込むくらいのかわし方できないしさー!!!まあ、それやられたら僕が面白くなくて次から何もしないだけだし。そっちの方がまわりの見ている人の印象もいいのに、なんでできないのかなー。本当にあの子面白くて。」
「いやだから・・・。」
「別に僕はハルカちゃんに後輩以上の可愛がりはしてないし、それ以外、特別には思ってないし。だからね、僕に本気で突っかかって来るのがおかしいんだって。」
「は、はぁ・・・。そういうものですか?」
「そうそう。後輩が何かやるのってかわいくてかわいくて。ちゃんとハルカちゃんに対して見守ってるつもりだし、一応いろいろ教えたつもりだし。後輩っていうのはね、そうやって見守るものなんだよ。」
「・・・師弟愛ってやつですか・・・。確かに正論な気がしますし、的を得てることは得てると思いますが。」
「そうだねえ、次はどんなふうにして絡もうかな〜。ユウキ君も直接見に来る?」
「いえ、行きません。巻き添え食ってハルカに殺されるのだけは勘弁してください。」
「残念。あ、そうだ、ユウキ君、食べる?」
突っ返された袋をユウキに渡す。
「え?いいんですか?ありがとうございます。」
「・・・ユウキ君はハルカちゃんみたいに面白く反応はしないんだねえ。」
「え・・・・。」

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