蒼天

小鷹 光さんに感想を送る

―春の風が吹く、全てを変えゆく春の風。
それは、日々変わり無かった彼の心にも影響を及ぼす。
黄色かった彼の蒼に恋した物語―

ある日彼は水溜りを覗き見た。
あおい空が映っていた。
あおい桜が舞っていた。
あきることなく風が、天が呼んでいた。

ふしぎな響きに誘われて、
ふと首をひねってみる。
ふわりと浮かぶ蒼い空。
ふりしきる春の蒼い雨。

その時不意に襲われる。
それまでに無い感情に、
それは彼の奥底に
そう天と一つ残し去った。

―嗚呼、彼はその蒼に、遠く届かぬその空に、蒼天というその響きに
恋をしてしまったのだ―

ぼう然と彼は立ち尽くす。
ぼ〜っと空を眺めてみる。
ほうける彼と空の差異。
ぼう大な距離が横たわる。

くるしみが彼に降りかかる。
くりかえす頭痛に目が覚める。
くろく染まった目の下は、
くじゅうの色のようだった。

のんきな影はとうになく、
のー天気は逆に働いた。
のっぴきならぬ豪雨が、雷雲が、
のこらず蒼を持ち去った。

そんなある日目の前に、蒼き翼が降りてきた。
そう翼静かに滑らせて、彼の酷き有様を見る。
その者は彼に一言聞いた。
そらに行ってみないかと、

らティオスと名乗るその者は、彼の心を打ちならし、
らい雨を一瞬にて止めた。
らい光のごとく速き翼に乗って
らい訪者と彼は天を目指す

―その後、ラティオスに乗ったコダックは遠い空へと飛んでった。
いつしか体が蒼く染まったがそれでも未だ天を目指す。
そのままずっと飛んでいって、飛んでいって・・・ついに彼は空と融けた。
物語はこれで終わる。残るは彼の言葉だけ、彼の最後の言葉は・・・―

「あふそ、ぼくのそら」

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