なみだ

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ヌマクロー♂シャンプーとゴーリキー♂ジョブのお話です。
ジョーは引越し屋で働いていて、プーたんはお留守番です。
救助隊をしています。



今日遅くなるけど、大丈夫だな。
昼は弁当作っといたから。夜はカレー暖めて食えよ。
...そんな複雑な顔すんなよ、
明日ハンバーグ食いに連れてってやるから。な。

まただよ!
シャンプーは一人でカレーを頬張りながら憤慨した。
今日も救助活動は一人で行ってきた。
一人で足りない道具を買ったし、一人で貯金もした。
週に3日、ジョブの仕事が入る。
引越し屋だから、仕事の日は朝早くて夜遅い。
そんな時は、今日のようなふうに一人でいる。
真っ暗になったらカーテンを閉めて、静かな部屋で夜ご飯。
テレビをつけているのに、なんだか静かだった。

…今入ったニュースです
 高速道路でタンクローリーと乗用車が衝突し
 激しい爆発があったもようです
 今分かっているだけで死傷者は数十人にのぼり…

静寂の中に、冷たく流れこむニュース。
シャンプーはスプーンを置いた、というより、投げ出した。
電気もつけっぱなしだ。テレビもつけっぱなしだ。
そろそろ帰ってくるころだと思っていたのに。
胸が大きく波打った。
そろそろあの高速道路から降りてきて、お土産を片手に…
「!」
玄関のドアを開けた瞬間、シャンプーは何かに正面からぶつかった。
「プー?」
トラックのにおいのしみついたツナギを着て、
見慣れた引越しセンターの帽子を深めにかぶって、
「ジョー」
シャンプーはため息にも似た小さい声でつぶやいた。
「何だよお前、ひでえ顔して」
ジョブがからからと笑い、シャンプーの涙をふいた。
しゃがんでシャンプーの目線に合わせて、
今度は本当に心配そうにシャンプーを見ている。
「ジョー!」
ジョブが何か言う前に、シャンプーがわっと泣き出した。
急にしがみつくものだから、ジョブは思わずバランスを崩す。
「心配したんだぞバカッ!このゴリラ!長州ゴ力!!」
とにかく思いつくだけの罵声を浴びせて、
ぽかんとしているジョブにしがみ付いてしばらく泣いた。
つきっぱなしのテレビで流れているニュースをジョブが見て、
そしてようやく何故シャンプーが泣いているのか理解した。
「心配かけたな」
自分の腕にすっぽり収まって嗚咽をこらえようとしている、
この小さなヌマクローをジョブはゆっくり抱きしめた。
「ごめんな」
シャンプーがぱたぱた首をふった。

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