二月病

はのみらさんに感想を送る

暇だったのでお隣さんのうちに家宅侵入したら見つかった。
部屋の持ち主に用があったのだから家宅侵入とは言わないのかも知れない。
でもまぁそんなものはキモチのモンダイであって私的には家宅侵入気分だったので家宅侵入と言っておこう。(ややこしい)



三月病




「何…しにきたんだよ?」

「えぇ?あ、バレンタインのお返しを貰いにきたんだけど…」


部屋の主はベットから上半身をずり落とさせて、逆さまになっていた。
銀色の髪が逆立つ…というべきか何と言うか。

変な格好をしていたといっておこう。


「……でも、なにゆえそんなポージング?」

「只今『逆さまになったまま数時間耐久レース☆何時間耐えられるかな?』大会(参加者一名)中だから。」

「………記録は?」

「一時間半。」


随分頑張ったわね。

実を言うと吐きそうだ。




部屋の主は顔を青くしていった。











「…ホントに馬鹿なことしてたね」

「そんなに馬鹿馬鹿いうなよ…泣きたくなってきた……」


あああ、頭ガンガンする、と頭を抱えながら階段を登る。
先ほどまで便器と仲良くなっていた割には元気そうだったので内心安堵した。


「さて、本題に戻っていいかな。ユウキくん」

「いや、出来れば俺としては閑話休題を延々続けていたい気分でジブン〜♪」

わけの分からないリズムでわけの分からない節をつけてわけの分からない台詞を吐くというわけのわからない四重奏をやってのけたユウキをジト目で睨む。



「…………」

「ごめんなさい。許して下さい」

素直に頭を下げた。




青い絨毯の敷かれた床にぺたんと、力なく座り込む。
手作りしたんだけどなぁ…チョコ。
まぁ恥ずかしくて買ったって言い張ったけどさぁ!!

でも、買ってもよかったからほしかった。


あ、ちょっと泣きたくなって来た。


無地の絨毯がにじむ。


「……………」

「う?うん?…、うああ!!な、泣くな!!つか泣かないでぇ!!」


俯いて歯を食いしばる私の様子に気付いたか、ユウキくんが悲痛な声を上げる。
返事したかったけど力を抜くと本気で涙が出そうだったから。

静かに、涙の波が静まるのを待つ。





よし、回復した。



涙がひいていったのを見計らって、顔をあげる。

ベットに座って、なんともいえない表情で頭を掻いているユウキくんが真っ先に視界に入った。


うわ、一気に恥ずかしい!!
馬鹿だ!!お返しごときでそんな泣くとは!!自分でも食い意地張りすぎ!!


紅く顔が上気していくのが分かる。
もう茹蛸状態。



「あー…えっと…明日でいいから、返してよ?三倍の倍ぐらいにして?」


とりあえず笑ってみた。
うぅん、上手く笑えたとはいえないだろうなぁ…。


「あああああ、もうなんでそう早とちりするかなぁ!!」


「うにゃっ?!」


いきなり乱暴に立ち上がり、大声をあげたユウキくんをまたして見上げる。
ななな、何?何ですか?


がたがたと足音高らかに部屋を横切り、自分の机に向かう。

引き出しから引っ張り出した水色の袋を、そっと持つと、


「うい。」


突き出してきた。
おまけに見下すような目付きで。


「ユウキくん…そんな風な目で見下したらちょっと格好いいとか思ってた私が馬鹿みたいだとおもっちゃうよ?」

「酷っ。てゆか、そんなにほしかったのか、お返しが。食い意地張ってるコトデスネェ」

「うううう、五月蝿いよ!!そんなこというなら貰わないからね!!」

「いや別に俺はそれでも…」

「…!!やっぱ貰うっ!!で、ありがとっ!!じゃあねっ」



颯爽と立ち上がって部屋を退散する。


「ほんとに貰うだけ貰って帰ってくって…どうよ?」


そんな声が聞こえた気がしたけれど、気にしなかった。
手の内にある、水色の包みで気がいっぱいだった。
良く見れば、テディベアも付いてる。


「……ユウキくんもいいセンスしてるじゃん。」



来年もあげなきゃダメだね?

と、テディベアに話しかけた。




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