ともだち記念日
アッシマーMkU量産型さんに感想を送る
「ふぅ・・・」
日は既に西に大きく傾き、地平線に姿を消そうとしていた。
今日も疲れたな。そう思いながら、ジュカインのリヒトは、基地への家路を急いでいた。
あの子とはじめて会ってから、どのくらいたったのだろう。
何も記憶のない僕を、あの子がおこしてくれた。
そのときから、僕とあの子の生活が始まった。
いろんなことがあったっけ。
伝説のポケモンと戦ったり、濡れ衣を着せられたり、そのせいで逃避行する羽目になったり、新しく基地を建て直したり、
二人で、世界を救ったり・・・・・・
波乱万丈すぎるくらい、いろんな事件や冒険の連続だった。
僕が人間だったときには、あの子のような存在がいたのだろうか。
どんな事でも心が許せて、一緒にいるとステキな気持ちになるような・・・
もしそんな人がいるのならば、その人はきっと悲しんでいるだろう。
大切だった存在が、急にいなくなってしまって・・・
でも、僕は後悔はしていない。
こんなにすばらしいポケモン達と、こうして一緒に過ごしていられるのだから・・・
気が付いたら、基地の前まで来ていた。
久しぶりの基地だ。最近は樹海の森で寝る事が多かったからなぁ・・・
キモリだった頃の僕そっくりに作られた基地。なんだか、センスがちょっと悪いような気もするけど。
でも嬉しかった。この基地をみんなで作ったときは・・・
手助けしてくれるといったいろんなポケモン達・・・そして、あの子と一緒に作ったんだったっけ。
「ただいま・・・」
疲れきった僕は、ドアを開けた。
誰もいない、ただいまと言っても返事も帰ってこない場所。でも、やっぱりここにいると気分が安らぐ。
「あ、おかえり!」
あれ?
知らないうちに、部屋には大きなテーブルが置かれ、その上にはご馳走が並べられていた。
「ア・・・アニ? なんでここにいるの?」
「ここにいちゃ駄目?」
「いや・・・そういうわけじゃないけど」
僕の目の前にいたのは、にっこりと笑っているバシャーモ。
彼女の名はアニ。僕がこの世界にやってきたとき、一番最初に会ったポケモン。
そして、僕の想い人でもある・・・
「一体どうしたの? 僕の基地なんかに突然押しかけてきて」
「押しかけてって・・・そんな言い方無いでしょ!」
「あ・・・ごめん」
「・・・いいよ。別に気にしてないから」
こうやってこの子と一緒に話している時間が一番楽しい。
ダイヤモンドランクにもなって仕事が増えると、余計にそう思うようになった。
「じゃあ当ててみて。私が今、どうしてここにいるのか」
「え? う〜ん・・・・・・」
僕は頭を可能な限りにひねってみる。だが、なぜか思いつかない。
今日はそんな特別な日だったかな?
「・・・ごめん。降参・・・わからないよ・・・」
「そっか・・・じゃあ、教えてあげるね。」
アニは元々赤い顔を、ちょっと赤らめていた。
そして、ちょっと口ごもってから、こう言った。
「今日で、私たちが救助隊を初めて、ちょうど1年になるんだよ!」
「え・・・?」
「つまり、あなたの誕生日みたいな日。広場のみんなや、他の救助隊のみんなまで、わざわざプレゼントを用意してくれたんだよ。
リヒトのために、ね」
アニは満面の笑顔で、そう言った。
「そうだったのか・・・」
「わかったら、早くテーブルについて。早く食べなきゃ冷めちゃうよ」
僕は席についた。
料理のおいしそうな匂いが漂っている。それをかいだ途端に、お腹がすいてきた。
・・・やっぱり、僕はこの世界に来る事ができてよかった。
アニだけじゃない。他の仲間たち、広場のポケモン達、他の救助隊のポケモン・・・
みんな僕を受け入れてくれるんだ。
「・・・ねぇ、アニ」
「・・・何?」
僕の想いを伝えようかと、一瞬だけ思った。
「・・・ありがとう」
でもやっぱりやめた。まだちょっと早いかな、と思って。
だから、ごくありふれた、でも、一番心のこもった感謝の言葉を、彼女に伝えた。
「・・・どういたしまして」
にっこりと笑って、アニはそう答えた。
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