そうだ公園に行こう
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晴れたから今日は公園へ行こう!と家に押し掛けた。何にも連絡入れないで、いきなり。
君は困ったような顔をして、玄関に立っている僕を見た。
そりゃ突然なのは分かってるさ、だけどどうしようもなく君と公園に行きたくなったんだ。
断られて当然の僕の誘いを、君は承諾した。
あら珍しい。何かいいことでもあったのかな。
ちょっと待ってて、とリビングに消えていく。
そして数分後戻ってきた君の手にはモンスターボールが一つ。
開閉スイッチが押され、中から勢いよくポケモンが飛びだした。
「ニャー太郎連れてくね」
…あぁ、なるほど、散歩かあ。
そっかそっか二人きりじゃないのか、でもポケモンだしいっかあーと僕は苦笑いして、ドアを開けた。
春の暖かい風が舞い込んできた。
ニャー太郎と名付けられた(すごいセンスだなぁ)ニャースは、歩く君の足下をするりするりと通っていく。
君もよくこんなに平然と歩けるよなぁ。
僕はニャースが蹴飛ばされやしないかヒヤヒヤ見ているっていうのに。
「公園に行ってどうするの」
僕の横の君が訊いてきた。
うーん、その質問はちょっと困る。
「いいじゃない。とりあえず行こうよ」
何も考えてなかったけど、まずかったかな?別に何がしたいって訳じゃあないんだよね。
君は怪しそうな顔で僕を見る。
何か、変なこと考えてるって思われてるのかな?違いますー。
それでも君(と、ニャース)は僕と一緒に歩いてくれた。
そしてようやく、視界に桜の木が現れた。
この公園は、桜の木で囲まれているのだ。
ただピンク色の花びらは、青々とした葉っぱに変わってしまったけれど。
「もう花散っちゃったね」
「今何月だと思ってんのよ」
木陰にあるベンチを見つけて、腰を下ろした。
ニャースは相変わらず君の足に擦り寄っている(羨ましいと思ったのは秘密だ)。
君はニャースの頭を撫で、
「ニャー太郎、眠いのー?」
とか
「気持ちいいー?」
とか声をかける。
そのくせ、僕が話しかけると
「うん」
「ううん」
「ふうん」
という言葉しか返してこない。
君はニャースと遊ぶのに夢中なようだ。
ちぇー、とがっくりきて、肩を落とす。
確かに「君と公園に行きたい」という願いは叶ったわけだけれども、何か違うような…。
いやいや、隣に君が居てくれるだけで幸せだ。
それにこれは仕方がないことかもしれない。
少し周りを見渡すと、君と同じようにポケモンを連れた人が沢山いて、一緒に時間を過ごしている。
女の子も、おじさんも、トレーナーも。
プリンも、マリルリも、エビワラーも。
楽しそうっていうか、なんか、なんだろうな。
人間同士とはまた違った絆があるんだろう。
さっきから君の意識はニャースの方に向きっぱなしだ。
愛を感じるよ。
敵わないなあ。
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