お日様とお月様〜エーフィとブラッキー〜
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チュンチュン・・・・・・・・
小鳥の鳴き声が、森に朝を伝えた。その森の小さな花畑では
一匹のポケモンが 目を覚ますところであった。
「ん〜・・・・もう朝かぁ・・・・」
彼女はエーフィ。見た所、とても呑気なエーフィだ。
エーフィは自分の周りを優雅に飛ぶバタフリーやアゲハント達に
おはよう、と挨拶をすると、朝食を取りに森の奥へ入っていった。
ここから、二匹の出会い劇は幕を開けたのだった。
「わぁ、おいしそう!」
エーフィは瞳を輝かせてモモンの木を見上げた。木には沢山の
熟れたモモンの実がなっていた。
エーフィが、さて取ろうと思い 念力を繰り出そうとしたときだった。
ふと、視界は地面に横たわる真っ黒いポケモンを捕らえた。
「だ、大丈夫ですか!?」
エーフィは傷でボロボロで、泥だらけで、苦しそうに肩で息をする
そのポケモン、ブラッキーに歩み寄った。するとブラッキーはふっと顔を上げてエーフィを正面から怒鳴りつけた。
「俺に近づくなッ!!」
赤い瞳で睨みつけられたエーフィは、しばらく動けなかったが、
すぐにブラッキーに駆け寄り 「動かないで!」と声をかけた。
しかし、それでもブラッキーは身体を反らしエーフィに威嚇する。
「近づくなと言っているだろ!!・・・うぐっ」
口では反抗するものの、先に身体が悲鳴をあげてしまい ブラッキーは
またガクッと地面に肘を付いた。
「大丈夫ですよ。私は敵じゃないから・・・だから、大丈夫なんです。」
エーフィの言葉が自然と心に染みてきたブラッキーは、
黙ってその場に寝転がった。
「これでよし!もう心配ないですよ。血も止まったみたいだし。」
エーフィはにこにこ笑うと、ブラッキーから一歩身を引いた。
「しばらく安静にして置いてくださいね。動くとまた痛み出しちゃいますから・・・・。では、私はもうそろそろ戻りますね。」
「待てっ!」
ブラッキーの声に反応して、エーフィは後ろに振り向いた。
「何ですか?」
「何故、お前は俺を助けたんだ・・・・?」
唐突な質問に首をかしげたエーフィは、またすぐにニコッと笑った。
「何故って・・・倒れてるのにほおって置けませんからねぇ。」
エーフィのそんな平凡な答えに、ブラッキーはため息をついた。
「俺が、もしもこの森を破壊するような、馬鹿でかくてたちの悪い
ポケモンだとしたら、お前はとっくにやられてるぞ。」
「だから、何ですか?」
「他人に優しくするのも程々にしとけって事だよ。」
エーフィは、ブラッキーの言葉にカチンと来た。
「でも、その人だって生きてるんです。だから、敵とか身方とか
関係ありませんよっ」
「・・・敵も身方も・・・か・・・。まぁお前がそれでいいなら口出しする
気もねぇからな。んじゃ、あばよ」
ブラッキーはそんな捨て台詞を吐くと、森のどこかへ消えていった。
その夜。エーフィは珍しくごつごつした岩山の頂上に登っていた。
頭はブラッキーのことでいっぱいだった。
気が付けば、エーフィは山の山頂付近まで来ていた。
山頂に後一歩と言うところで、エーフィは立ち止まった。
満月に光に照らされているのは、紛れも無く朝に会ったあの
ブラッキーだ。
「あの・・・ブラッキーさんっ」
エーフィが思い切って話しかけてみると、ブラッキーは振り向いた。
「お前は・・・朝の・・・。」
「こんな所で何をしているんですか?」
「・・・や、普通に月が綺麗だったから。」
「お隣、いいですか?」
「無理」
「無理でも座らせてもらいますからっ!」
ちょっとした漫才みたいになっていたから、思わず二匹は
顔を見合わせて笑ってしまった。
「・・・月は 太陽よりも冷たい光を放ってる」
その後に先に口を開いたのはブラッキーだった。
「え?」
「月の光は、太陽よりも冷たいが 何故か心地よくなるんだよな。」
「・・・そうですね。」
エーフィとブラッキーは綺麗に光る満月を見上げた。
「俺は、冷たさも優しさなんだと思ってる。」
エーフィは少しうつむいた。もしも相手がブラッキー以外の
ポケモンだったら、もしかしたらその時点で争いが起こって
余計に傷をつけていたかもしれない。そう考えると、
今朝のことは少しおせっかいだったのかもしれない。
「ま、そんなに深く考えることはねぇさ。自分の思った通りに
動けばいーんだしよ。」
「気づかせてくれて ありがとうございますねっ!」
エーフィも微笑返すと、また二匹は笑いあった。
「俺が礼を言う方だぜ。傷、治してくれてありがとよ。」
「また明日の夜 またここで会いませんか?
一緒にまたお話したいな!」
「あぁ、いいぜ。んじゃぁ、また明日!」
エーフィは また一つ 優しさを知った。
冷たさは優しさでもあることを―・・・。
END
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