確かな絆
桃奈さんに感想を送る
何度自分に問いただしただろう。戦うことに意味はあるのか。
傷ついて傷ついて傷ついて傷つけて傷つけて傷つけて
その先には何があるのかなって
「ねぇ…戦うのは楽しい?」
私は自分の相棒に聞いた。
私の相棒のピカチュウは首をかしげて私の顔を覗き込む。
その仕草が可愛くて私は微笑みながら言った。
「私ね、貴方の代わりに戦ってあげたいな、って思うときがあるの…変なトレーナーよね」
はたして通じているのかいないのか私の相棒はトンッと私のひざに飛び乗った。
「…だってトレーナーってずるいと思わない?
自分は指示を出すだけで傷つくのはポケモン…そして相手のポケモンも傷つけて」
「…でもそれがトレーナーなのよね」
そう言って私は相棒の耳についた小さな傷を見つめた。
私がまだトレーナーになりたての頃。
私は毎日のようにバトルに明け暮れていた。
「トレーナー同士目が合ったらバトルの合図!」
それが私の口癖だった。
その頃の私は誰にも負けたことがなかった。
だからだろう。
この子…私の相棒に一生消えない傷を残してしまったのは。
「ねぇ!おじさん、トレーナー?私とバトルしない?」
私はその日もトレーナーらしき黒服の男にバトルを申し込んだ。
「…いいでしょう。ただし条件があります」
「条件?」
「貴方が負けたら貴方のポケモンをすべていただきます…ではバトル開始!」
「なっ…ちょっと待ってよ!そんな条件いいわけないでしょ!」
その男は聞く耳持たず私の相棒に攻撃を仕掛けてきた。
「…いいわ。負けなきゃいいんだもの」
負けるはずがないと思ってた。
無茶苦茶な条件をいうこんな男なんかに。
でも彼は…私の想像に反して…ものすごく、強かった。
「…ピカチュウッ!」
男のポケモンにとどめをさされそうになった相棒に私は駆け寄った。
「…お願い…今、持ってる子達は…渡すから…もう…やめて…」
私のその言葉を聞くと男はゆっくりと微笑んだ。
「お嬢さん…あまり自分の力を過信しすぎてはいけませんよ。」
逃げようか、とも考えたけれど逃げ切れる確率なんてほぼ0に近い。
私はあきらめて腰からモンスターボールをはずし男に手渡した。
「…どうしてこんな事するんですか?バトルに負けたらポケモンを渡さなきゃいけないなんて…そんな条件あるわけないのに…!」
「それが私たちロケット団の仕事だからです。
…どうぞそのピカチュウは大切になさってください。」
彼はその言葉を最後に去って行った。
私にとって一番、思い出したくなかった過去。
でも―――……………。
「ねぇ、ピカチュウ…貴方が戦うことが嫌じゃないなら」
私は相棒の目をしっかり見つめ言った。
「…私と一緒にロケット団を倒しにいこう…そして仲間を取りかえすの」
私の相棒はしっかりと私の目を見つめ返し頷いた。
戦うことの意味はよくわからない。
でも私と相棒は確かな絆で結ばれている。
戦うことによって。
戻る