強さ

桃奈さんに感想を送る

「しばらくしたら帰って来るから待っててね」





私のトレーナーはそう言い残し家を出ていった。
今から3年も前の話……―








「ただいまっ!ヒナ!」


そして今日彼女は帰ってきた。

家を出た時と変わらないピンクのミニスカートに
藍色のジャケット胸元には星のペンダント。

「旅に出るのにその格好はないでしょう?」
と彼女の母親が苦笑しながら言っていた格好のままだ。



私は「お帰りなさい」という代わりに彼女に抱きついた。



「あら、やっぱりヒナは可愛いわね…この子達とは大違い!」


ふと見ると見たことのないポケモン達が彼女の後ろにいた。


「私の新しいパートナー達よ…皆とっても強いの!」


彼女は誇らしげに言った。
私はこれからこのポケモン達と仲良くできるのか心配だったけど
皆とても優しくしてくれた。



「ヒナちゃんは外の世界を見たことないんだね」

「外はね、危険な事もたくさんあったけど楽しい事もたくさんあったわ」

「そうそう…何よりヒナノさんがいたから」

「ええ…ヒナノさんとの旅は本当に楽しかったわ」



本人達は良かれと思って私に旅の話をしてくれてるんだと思う。
でも私の中には羨ましいと思う気持ちと嫉妬心しか残らなかった。







「ヒナ!私、また旅に出るわ」

ある日…と言っても家に帰ってきて3日後、私のトレーナーは私に向かって言った。



「私、家にいるのは性に合わないみたい」

そう言うと彼女は照れくさそうに舌を出して私の頭を撫でてくれた。



「きっとまたすぐ戻ってくるわ」

そう言ってくるりと後ろを向いて走りだそうとした彼女の足に私は必死にしがみついた。


「ヒナ…?」


私も連れてってほしい、という意を込めて私は彼女の目を見つめた。



「もしかして一緒に行きたいの…?」

私は大きく頷き、もう一度しっかりと彼女の目を見つめた。



「…ヒナじゃ無理だよ。ヒナはバトルできるほど強くないじゃない」

その言葉を聞くと私は彼女のモンスターボールを指さした。



「…皆と戦いたいっていうの?無理よ…だってレベルが違いすぎるもの…」

それでも私が彼女の足を離さないでいると彼女はあきらめたように言った。



「いいよ、じゃあこの子とバトルして勝ったら連れてってあげる」

そう言って彼女が出したのは私の何倍もあるバシャーモ。



「往生際が悪いわよ、ヒナちゃん。ヒナノさんが困ってるじゃない」

バシャーモはそう言い不敵な笑みを浮かべ私を見た。



次の瞬間、視界から地面が遠くなり激しい衝撃が私を襲った。


それで…十分だった。
床に叩きつけられた私は目を回し動けなくなった。


「ヒナ…今度私が帰ってくるまでにヒナが強くなってたら一緒に連れてってあげる。
…私だってヒナと旅したいもん」


それが彼女と別れる前に聞いた最後の言葉だった。









それから私は毎日毎日野生のポケモンと戦いながら自分でトレーニングをした。
彼女…ヒナノと旅に出るために。


それから数年後。今だに彼女は帰ってこないけど私は今でもトレーニングを続けている。



強くなった自分を彼女に見てもらうために……――

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