僕のリーダー

カゲツさんに感想を送る


*ギャグです。バトルっていうか、痴話げんかです……。



 基地のいつもは物置になっている机は、今日は綺麗に片付けられている。
 真ん中には紙が広げられ、ペンを持った緑の髪の少年が座っていた。
 何かを思いついて、さらさらとペンを滑らせる。

『画面の前の皆さん、こんにちは。
 ルカリオランク救助隊・「助け隊」の副リーダー、スイです。

 今回はテーマが「バトル」ということで、われらがリーダー、ライについて書きたいと 思います。

 僕とライが出逢ったのは、小さな森の入り口です。
 出逢ったって言うか、拾ったって言うか……。』

そこまで書いたときだった金髪と尖った耳がスイの視界に沸いて出る。



「スイ、なにしてんだ?」



       「ぼくのリーダー」



「わあ!ライ、脅かさないでよ!いま、ライの強さについて書いてるんだから!」

「はぁ?なんだそれ」

「だから!助け隊のリーダーはこんなに強いんですってやってるの!」

「余計なことしなくていい……」

「も――!邪魔!どっかいってて!」

  葉っぱカッター!!!

「ぎゃ!!!!」


 どうやらスイは勝手に書いて投稿しようとしているらしい。
 スイは葉っぱまみれになったライを無視ってまた紙に向かった。


『そういえば、ライはピカチュウだけど、元は人間だそうです。
 だからかな?
 いろんなこと知ってるし、敵に囲まれたって焦らないし、技が使えなくても負けないし!

 人間だったときの記憶は無いそうだけど、どんなヒトだったんだろう。

 でも、けっこうふてぶてしい人間だったんじゃないかな?
 イオリスさんにも地味に喧嘩売るし。
 リオのことなんか完全に馬鹿にしてるし。
 礫だってたまに青筋立ててるよ……。』

 つん。

『もうちょっと目上の人への礼儀って考えなきゃならないよね。』

 つんつん。

『救助隊のランクは上だけどさ。
 え、もしかしてライってイオリスさんより年上……!!?」

 ふーーーーーーー。

「ひにゃあああああああ!!!」

「あっはっはっはっはっは!!!」

 耳に吹きかけられた吐息に、スイは悪寒が走った。
 無駄に笑い転げるライに問答無用で一発蹴りをいれ、沈黙したのを確認した。



『他の救助隊から逃げてたときは、ライの大胆不敵に救われてました。
 
 伝説のポケモンさんたちはみんな強くて人の話し聞かなくて。
 ライくらい自己中なほうが話ができるみたい。

 仲良くしてたみんなに追われてるのって辛かったけど、ライと一緒なら何処までも
 行ける気がしたし。
 
 イオリスさんたちに追いつかれたとき、ライ本気だったんだよね。
 「お前はこっちに来るな」って僕をかばって。
 もしキュウコンさんが止めてくれなかったら、きっとライはあの三人の相手、
 したんだろうな。ひとりで。』


 書き上げた紙を見直していると、またもや長身の陰が現れた。
 紙を隠そうとするもむなしく取り上げられてしまう。

「えー、なになに?
『ライと一緒なら何処までも行ける気がした』?」

「あッ!!見ないで!」

「へー、「もー歩けないー」なんて言ってた奴が?」

「読むなー!思い出すなー!!」

「スイ」

 紙を取り返そうと背伸びするスイの顔を覗いて、ライはにっこり微笑んだ。 

「世界中の誰がお前の敵になっても、俺だけはお前の見方だからなv」

 さらっと台詞を言われて10秒。スイの顔は真っ赤になる。

「恥ずかしい事いうなぁぁぁぁぁ!!!」

 タネマシンガンのだららららという銃声とライの悲鳴が重なる。

 史上最強のリーダー、ライの弱点がパートナーのスイだということを、いったい誰が知り えるだろう。
 ……結構みんな気付くかもしれない。


 そんなわけで、チーム助け隊は今日も平和です★

           
fin

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