Endless Battle
アッシマーMkU量産型さんに感想を送る
サトシは目を覚ました。
ここは・・・どこだ・・・?
混濁する意識の中で、サトシはこれまでの事を思い出す。
ピカチュウと夜道を歩いていたら、不思議な宝石のようなものを見つけて・・・
「ピカ・・・」
隣で、彼の相棒の声がした。
「ピカチュウ!?」
そうだ、その宝石のような物を拾ったら、いきなり光に包まれて、意識を失って・・・
「それにしても・・・ここはどこだ?」
「ピカ・・・」
彼の目の前に広がるのは、もやに包まれたバトルフィールド・・・
とはいっても、彼がよく見るバトルフィールドとは似ても似つかず、まるで古代の闘技場のようだった。
――え――
「なんだ?」
突然、サトシの耳に何か声が聞こえた。
――闘え・・・さすれば、道は開ける――
「闘え・・・バトルしろ、ってことなのか・・・」
バトル・・・と聞くと、黙ってはいないのが彼である。
「ようし! やってやるぜ!」と気合を入れるサトシ。
「ピカチュウ!」とピカチュウも、負けじと頬に火花を散らす。
「でも・・・相手はどこだ?」
と、サトシがつぶやいた、その瞬間!
「かえんほうしゃ!」
どこからか声が聞こえた、そしてそれと同時に、ピカチュウ目掛けて炎が飛んで来た!
「!! ピカチュウ、よけろ!」
「ピカ!」
ピカチュウはサトシの指示通りに、火炎をジャンプして避けた。
サトシは火炎が飛んで来た方向を見る。
そこには、1体のバクフーンと、赤い服と黄色い帽子を身に付けた、黒髪の少年が。
「よし! バクフーン、かえんぐるまだ!」
少年は叫ぶ。それと同時に、バクフーンは火炎をまとい、ピカチュウ目掛け突撃してくる!
「それなら・・・ピカチュウ、ボルテッカー!」
ピカチュウは電気をまとい、バクフーンに向かって突撃する!
そして、2体は闘技場の真ん中で激突した。
その瞬間、猛烈な爆発が起こる!
「今だ、10まんボルト!」
サトシは、ピカチュウに的確な指示を出した。
爆風で巻き上がった砂埃で、バクフーンが怯んでいるその隙をつき、ピカチュウは電撃をバクフーンに放った!
バクフーンはその電撃をもろに受ける。そして、ゆっくりとその場に崩れ落ちた。
「やったぜ!」サトシはガッツポーズをする。
「バ、バクフーン! 大丈夫・・・」
赤い服の少年の声がした・・・が、その声は突然掻き消えた。
サトシは声がした方を見た。だが、そこに少年の姿は既になかった。
それどころか、倒れていたバクフーンでさえ、いつの間にか消えていた。
「あれ? どこ行っちゃったんだ・・・?」
とサトシは首をかしげる。
「闘うしかないのか・・・ZUZU、じしん!」
と、今度は後ろから声がした。と同時に、地面が激しく揺れる!
「ピカチュウ、ジャンプだ!」
反射的にサトシは指示を出す。ピカチュウは揺れが届く前にジャンプし、ダメージを受けずにすんだ。
「今度は誰だよ!?」
サトシは後ろを振り向いた。そこには、1体のラグラージと、白と緑の奇妙な帽子をかぶった、紅い目の少年がいた。
「Wonderful・・・だけど、次はそうはいかない! ZUZU、だくりゅう!」
少年は指示を出す。『ズズ』というのが彼のラグラージの名前らしい。
ラグラージは濁った水の流れを足元に湧き出させる。そしてそれは、ピカチュウ目掛け流れてきた!
「よけろピカチュウ!」
しかし、ラグラージの放っただくりゅうは、ピカチュウを丸ごと飲み込んでしまった!
「ピカァ!」
「ピカチュウ! 大丈夫か!?」
サトシはピカチュウの様子を確認し、ラグラージの方を見た。
ラグラージのタイプは、水・地面。電気技を多く覚えているピカチュウには、とてもではないが戦える相手ではない。
「他のモンスターボールはセンターに預けてきちゃったし・・・そうだ!」
サトシの頭の中に、稲妻が走った。
「ピカチュウ! ラグラージにボルテッカーだ!」
ピカチュウはその指示通りに、ラグラージにボルテッカーをかけた!
直撃。だが、当然のごとくダメージはない。
「無駄だよ。ZUZUにそんな技は・・・!?」
帽子の少年は勝利を確信していた。しかし、その確信はすぐに消えた。
ラグラージは、そのままピカチュウに押されている!
「しまった! ZUZU・・・」
「そのまま壁に叩きつけろ!」
ピカチュウは電気でダメージを与えるためにボルテッカーを出していたのではなく、壁に叩きつける物理的破壊力でダメージを与えようとしていたのだ!
ラグラージはよけることもかなわず、そのまま壁に叩きつけられた。
ラグラージにとっては大きなダメージだ。
「今だ! でんこうせっか!」
ピカチュウは一度ラグラージから離れると、そのまま己の体を猛スピードでラグラージに叩き付けた!
「ZUZU!」
ラグラージは戦闘不能になる。
そして、その少年とラグラージもまた、霧の中に消えた。
「・・・どうなってるんだ・・・?」
サトシはまた首をかしげた。
「だあああああああっ!」
今度は左から、雄叫びが聞こえて来た。それと同時に、紅蓮の炎がピカチュウに襲い掛かる!
「よけろ!・・・っ、今度は炎タイプか!?」
サトシは炎が飛んで来た方向を見た。
そこにいたのは、紅いバンダナを首に巻き、なにやら紐のついた箱のような物を肩から提げているヒトカゲだった。
トレーナーの姿はどこにも見当たらない。
再び、ヒトカゲはピカチュウ目掛け炎を吐いてくる。
「僕には行かなきゃいけないところがあるのに・・・っ!」
ヒトカゲはそう叫び、今度はピカチュウに接近する!
「ピカチュウ、アイアンテール!」
サトシ、叫ぶ。
ピカチュウは尾を光らせ、それをヒトカゲにたたきつけた!
「ぐあっ!」
ヒトカゲは地面に叩きつけられた。
「まさか・・・あいつ喋るのか・・・?」
そんな言葉が、サトシの口からこぼれた。
「・・・今だ! 10まんボルト!」
しかし、彼は素早く気持ちを切り替え、ピカチュウに指示を出す。
ピカチュウは頬に火花を散らせ、攻撃態勢に入る。
「くそ・・・これでもくらえっ!」
ヒトカゲは箱のふたを開けると、なにやら水晶球のようなものを取り出し、それを掲げた。
その途端、まばゆい光が水晶球から放たれた!
「わっ!」
サトシは思わず目をつむる。
「ピ・・・カ・・・ッ!」
と、その瞬間、ピカチュウの苦しそうな声が聞こえた。
「ピカチュウ!?」
目を開けてみると、なんとピカチュウは麻痺して、身動きが取れなくなっていた!
「この隙に!」
ヒトカゲはピカチュウに火焔を浴びせる!
「ピカアアアアッ!」
炎の中で、もがき苦しむピカチュウ。
「くっ・・・ピカチュウ、しっかりしろ!」
サトシはピカチュウに呼びかける。
炎が止まった。
「トドメだっ!」
ヒトカゲはそのまま、ドラゴンクローをピカチュウに叩き込もうとしている!
「頑張れピカチュウ! もう一度10まんボルトだ!」
サトシは必死に叫んだ。
「ピイイカアアアアアアアアッ!」
ピカチュウもまた、体に必死に力を込める。
その時、ピカチュウの体が電光に包まれた。
10まんボルトが放たれたのだ!
「わあああっ!」
不意を付かれたヒトカゲには、その電光を避ける術はなかった。
ヒトカゲはその場に倒れこむ。
「よし、やった!」
サトシはガッツポーズをとった。
倒れたヒトカゲに、周りの霧がまとわりつく。
そして、その霧はヒトカゲの姿をも泡のように消し去ってしまった。
「喋るヒトカゲが出てきたんだ・・・もう何が出てきたって驚くもんか・・・!」
サトシは拳を強く握り、次の相手を待つ。
「XD001! 奴を倒すのだ!」
と、再び声が聞こえた。
「XD001・・・?」
サトシの頭の中を、クエスチョンマークが過る。
だが、その途端、彼は信じられないものを見た。
「ル・・・ルギアァ!?」
先程の言葉はどこへやら。サトシは目を点にする。
しかも、それはただのルギアではなかった。
全身が覆っている羽毛が白ではなく、ダークブルーになっている。
その体からは、どことなく邪悪なオーラが漂っているようだった。
そしてそのルギアの足元には、その巨体とは不釣合いなほどに小さい老人が立っている。
「伝説のポケモンだからって・・・ピカチュウ、ボルテッカー!」
ピカチュウは電光をまとい、XD001・・・ルギア目掛けて突撃する!
ピカチュウのボルテッカーは直撃。しかし、ルギアは微動だにしない。
「そんな! 効果は抜群なのに!?」
「その程度でこのXD001はやられはしません・・・」
老人は不気味な目を見開いて言う。
「反撃だ! XD001、ダークストーム!」
老人は叫ぶ。見た事も聞いた事もない技だ。
ルギアは翼を大きく広げると、その翼に黒き風をまとわりつかせる。
やがてそれは稲妻まで起こしながら、ピカチュウ目掛け放たれた!
「ま・・・まずい、ピカチュウ、よけろ!」
見るからに威力の高そうな技だ。よけておくに損は無い。
ピカチュウはなんとか、それを紙一重でかわした。
「ほほう・・・やりますね。だが、これはどうでしょうか・・・?
XD001! ダークブラスト!」
ルギアは口を開ける。その中に、しだいに黒い空気が渦を巻いていく。
「・・・・・・!」
サトシは一瞬、背筋が凍りついた。
その瞬間、まるでその時を狙ってきたかのように、ルギアは闇の真空波を放った!
「ピカアアアアアアアアッ!」
真空波はピカチュウを直撃した。
なす術も無く吹き飛ばされるピカチュウ。
かなりのダメージを受けてしまったようだ。
「くそ・・・ピカチュウ、まだやれるか?」
ピカチュウは姿勢を立て直し、すっくと立ち上がる。
「ピカチュウ、もう一度ボルテッカーだ!」
ピカチュウは再び稲妻をまとい、ルギアに突撃する!
「無駄だ! XD001、ダークブラスト!」
猛烈な勢いで突撃するピカチュウ目掛け、再びルギアは闇の真空波を放とうとする。
その一方で、ピカチュウもルギアに体当たりしようと、猛スピードで突撃する。
わずかの差だった。
ピカチュウのボルテッカーが一足早く、ルギアの身体を直撃したのだ!
「な!?」
老人の表情が変わった。
ルギアの闇の真空波は狙いがそれ、あらぬ方向へと飛んで行った。
「とどめだ! ピカチュウ、最大パワーでかみなりだ!」
ピカチュウは最大出力で、ルギア目掛けてかみなりを放つ!
強力な電気技を3度も受けたルギアはたまったものではない。
闇のルギアはその場に崩れ落ちた。
「そんな馬鹿なああああああっ!」
老人の声が闘技場の湿った空気の中に響き渡った。
そして、老人とルギアも、霧の中へと消えた。
「ピカ・・・ピカ・・・」
ピカチュウは深手を負っていた。
「くそ・・・このままじゃピカチュウが持たない・・・」
サトシは歯軋りをした。
だが、彼のバトルはそれでも終わらなかったのである・・・
「ピカ! 10まんボルト!」
声と共に、サトシの背後から電光が飛んでくる!
「ピカアッ!」
手負いのピカチュウには、かわしようがなかった。
「今度はどんな奴なんだ?」
サトシは後ろを振り向いた。
そこには、彼のパートナーではないピカチュウの姿が。その後ろには、赤いジャケットを身に付けた少年が立っていた。
「くそ、ピカチュウ、こっちも10まんボルトだ!」
サトシのピカチュウは稲妻を放つ。
「みがわり!」
相手の少年はそれだけ叫ぶ。すると、ピカチュウの形のエネルギー体が現れた!
サトシのピカチュウが放った一撃は、そのエネルギー体に弾かれてしまった。
「そのまま・・・かみなり!」
ジャケットの少年は、彼のピカチュウにそう命じた。
相手のピカチュウは、サトシのピカチュウのものよりも眩しく、強く、激しい電流を撃ち出した。
「ピカアアアアアアアアッ!!」
悲鳴。
それが止んだときには、すでにピカチュウは戦えなくなっていた。
「ああっ・・・ピカチュウ!・・・?」
サトシはピカチュウに駆け寄ろうとした。だが、そこで異変に気付いた。
体が、いきなり重くなったのだ。
あの霧が、今度は自分自身を包み始めたのである。
意識が次第に薄れていく。最早彼は立っていることすら出来なくなっていた。
「ピ・・・ピカ・・・チュ・・・」
サトシは必死に手を伸ばす。
赤ジャケットの少年も何か言っているようだったが、もはやそれも聞こえなくなっていた。
「う・・・」
そのまま、サトシは意識を失った。
「・・・ん・・・」
意識がある。
サトシは目を開けた。そこには、見慣れない天井が。
「あ、目が覚めたのね!」
と、そこに誰かの声が。
「え、ジョーイさん・・・」
そこに立っていたのは、旅の道中でいつもお世話になっている女医の姿。
「あなた、センターの前で気を失ってたのよ。何かあったの?」
ジョーイはサトシに尋ねる。
「・・・いや・・・俺にも、よくわかりません・・・」
と、彼は答えた。そして、心の中で思った。
(さっきの・・・一体なんだったんだろう・・・)
今日もこの世界では、人間、そしてポケモンの戦いが続いている。
幾千、幾万もの軍勢がぶつかり合う戦争から、日常の中で普通に行われているポケモンバトルまで。
この戦いを起こした者は、こう語りたかったのだろうか。
『汝らには、この戦いの意味が分かるか?』と・・・
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