願わくば、この夢が覚めんことを

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グラードン×カイオーガ?です。


―――何で、お前が居るんだよ。
―――お前こそ、何でいるんだよ。

 何もない空間。存在するは二匹。陸の王と海の王。ありったけの憎しみと、ありったけの殺気を込めて、対峙する。

―――どっかいけよ、お前。
―――お前こそ、どっかいけよ。

 湧き上がる怒り。二匹の瞳は、怒りと憎しみと、ほんの少しの悲しみを映しているように見えた。真逆の色をする瞳には、まったく同じ感情が見えたが、それを指摘するものは、ここに居ない。

―――………いい加減に、決着をつけるか?
―――………いいだろう。今度こそ殺してやる。

 増長する殺気。今までと同じように。今まで以上に。己の全てをかけて、相手を殺す。海を消せ、陸を消せ。当然の理に、反発する微かな感情は、本能のままの殺気に塗りつぶされる。高めた力が頂点に達しようとした時、二匹は同じ光景を思い出した。

―――………そうか、俺達
―――封印されたんだ………

 ならばこれは、夢なのか?

 事実に気づき、鳴りを潜めた殺気の変わりに、あの感情に気づかされる。今までも、おそらくこれからも隠され続け、それでも、消えはしなかったであろう感情を。

―――夢だったら………
―――殺しても無駄だよな………
―――夢なんだから………
―――戦わなくても、いいよな………

 二匹は、夢の中で共に生きた。憎みながら抱いた感情のままに。互いに存在できることを、優しく触れ合えることを、相手がそばにいることを、相手の笑顔を幸せとし。目覚めの時を、憎みあう現実を悲しみながら。二匹は、夢の中で同じ願いを心に秘める。

―――願わくば、この夢が覚めんことを―――

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