夢の見方

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「・・・久しぶりだな、ユウキ」


その声、何ヶ月ぶりに聞いただろう。












夢の見方













それは俺が、シンオウ地方を旅している最中だった。


俺がシンオウ地方にきた理由―――それはある友達との、大切な約束を果たすためだった。






『シンオウリーグで逢おうな』






たった一言を俺に残して去って行った、あいつ。

そいつとまさか、本当に会えるなんて。











「……ミ……ナミ……?」

「よっ!やっぱりお前もきてたんだなシンオウ地方」








ミナミ―――それがあいつの名前だ。



ミナミとであったのは、ホウエン地方―――…俺がポケモントレーナーになった日。
研究所にポケモンを貰いに来た人の中に、あいつが居た。



『あたしはミナミ。よろしくな』



男っぽい言動に、最初は戸惑ったけど。

透き通るような瞳、綺麗な長い黒髪、高くてよく響く声。



俺の心は、一瞬にしてミナミに奪われてしまった。






一目惚れ、だった。







想い人との約束は、絶対に守りたい。

その思いと、あいつが思い出させてくれた、俺の夢を叶えるために、



俺はシンオウ地方に来たんだ。








「そうだユウキ、近くにポケモンセンターがあるんだ、そこで休憩しないか?」

「ああ。そうしようか」

「ライライッ!」

ミナミの肩に乗っているライチュウが、賛成!と言うように声を上げる。
ライチュウはミナミの一番のパートナーだ。どうやらシンオウに来てからも、ライチュウの居場所は変わらないらしい。




「それじゃああたしが案内す……どわああああ!!!」

「だあああああ!!!」





次の瞬間、俺の目の前で悲鳴が上がった。

ふと見ると、俺と同じくらいの年齢の金髪の男の子が、ミナミと共に地面に転がっていた。
どうやらコイツはミナミと正面衝突したらしい。



「なんだってんだよー!!!……ってミナミか」

「レン!!!お前いいかげん人に正面衝突するクセ直せ!!!」

ミナミがキッとレンと呼んだ奴のことを睨む。
……何やってるんだこいつ等……





「……ってあれ?お前誰?」
起きあがるなり、俺を見て聞くレン。


「俺はユウキ」
「ユウキはあたしがホウエン地方で知り合った友達であり、ライバルだ」

「へー、あ、俺はレンな!よろしく!」



そう言って親指を立てるレン。落ちつかない奴みたいだ。





















そしてその日の夜。俺とミナミとレンは、ポケモンセンターの宿泊施設に泊まっていた。
自分達の部屋で、テーブルを囲んで飲み物を飲みつつ、話しをする。


「ユウキの夢って、世界一のポケモンマスターなんだよな」

ミナミの言葉に、レンが反応する。


「マジ!?俺も同じ同じ!つーことは俺等ライバルだな!」

「レンも?じゃ、負けられないな」



そう言って、レンと俺はお互いニヤっと笑う。その時、ふと疑問が頭をかすめて、俺はミナミに聞いた。






「ミナミ、お前の夢って何なんだ?」





ミナミが「え?」と首をかしげる。

「ミナミ、俺に1度も自分の夢話してくれたことないだろ」

「そういや俺も聞いたことないなー」


レンもブンブンと頷く。すると、ミナミは目を閉じて言った。






「あたしは……世界中の全てのポケモンに逢いたいんだ。普通の人が見た事ないようなポケモンや、伝説のポケモン達―――そんなやつらと、1度逢いたい。それがあたしの夢なんだ」






ミナミの言葉を聞いて、俺は改めて、ミナミのことを凄いと思った。
ミナミは、俺と違って、強さに執着していない。

ただ、全てのポケモンに逢いたい。


そのためだけに、ポケモンと分かり合うためだけに、ポケモントレーナーになったのだ。


全てを聞かなくても分かるほど、ミナミの声には迷いが無かった。



すると、レンがほうと息をついて言った。
「なんつーか……いい夢だよな!」
「ああ、俺もそう思う」



俺とレンの言葉に、ミナミはクスリと笑う。そして、静かに言った。






「夢は叶えるものだ、ってあたしは思うんだ。将来の夢はーとかじゃなくって。『あたしは将来こういうことがしたい。そして、いつかはこうなりたい』って、一度見た夢は絶対現実にしたいんだ。あ、でもこれは理屈じゃなくて、あたしのプライド」


最後の付け足したような一言に、俺とレンは笑った。
俺は言った。



「夢の見かたなんて人それぞれだし、叶えたい夢もあれば、夢のままであってほしい夢もある。それでもいいんじゃないか?大切なのは『夢があるから人は何かを目指す』ってことだけだと思う」



そう言った後、少し照れくさくなって、付け足した。

「ちなみにこれは理屈じゃなくて俺の自己満足」





レンとミナミは一瞬ぽかんとしたけど、その後大声で笑い出した。俺も笑った。

ひとしきり笑い終えた後、俺は窓の外を見てあっと声を上げた。



「おい!見てみろ!雪が降ってる!」

「うお!!!マジかよ!初雪だッッ!!!」





レンが大喜びで窓に駆け寄る。俺とミナミも後に続く。レンが窓を開けると、外から冷たい冷気と共に、白い雪が入り込んできた。


何故か、あまり寒さを感じなかった。


心が、夢でいっぱいに満たされていたから。





「……ユウキ、変わったな」


「え?」



ミナミの言葉に、俺はきょとんとして振り向く。




「ホウエンに居た時より、ずっと強くなって、ずっと大人になってる。変わったよ。ユウキは」





その横顔は、何故か嬉しそうだった。
ミナミの笑顔と、レンのはしゃぐ姿を見てるうちに、俺の顔にも自然と笑みが零れた。














Someday, your dreams come true.




have a nice dream...

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