あれから数日後、
ウェズは島の病院でロビーとクローに再会した。
そこで自分の故郷はこの島、ギア島だと知らされる。
だが、彼はこの島を離れることを決意し、それをロビーたちに話した。

「どうしてもいくのか?」
ロビーが尋ねた。
「えぇ。この島が故郷だと分かってもやっぱり両親が誰なのかはっきりさせたいですから。」
「そうか。だがここが故郷なのだからここにいても情報を収集できるんじゃないか?」
クローが提案したがウェズは
「ビリーさんの所在が気になりますし・・・。」と答えた。
数日後、ウェズはジョウト行きの船に乗った。
その港にて・・・。
「じゃぁなウェズ。」
ケーンが言った。
「あぁ。バイバイケーン。」
ウェズは船に乗った。
そしてその船は港を離れ、大海へと出かけていった。
ウェズがデッキでぼーっとギア島を見ていると、ケーンが海岸沿いを走っていた。
「また、この島に来い!!!」
これがケーンの最後の言葉だった。
彼は精一杯声を出して叫んだ。
「おぅ!!!」
ウェズも精一杯声を出して答えた。

やがて島は見えなくなった。
そのときだった。
「ウェズ。」
後ろから誰かが声をかけてきた。
スノウだった。
「なんだ。スノウか。」
「な、なんだって何よ。」
「ところでスノウはジョウトに何の用?」
「あなたと同じ。」
「親探しか・・・。」
「えぇ。私の両親は結局あの島のシャトル団に関係する施設にはいなかったわ。
 でもあいつ等がジョウトにも進出していたらしいの。だから・・・。」


「もう行ってしまったかの?」
マスターがケーンの元へ急いで来た。
「大丈夫だったんですか?」
「あぁ、なんとかな。」
「で、どうしてそんなに急いでいるんですか?」
「思い出したのじゃよ。ウェズの親を。」
「え?そうなんですか?」
「あぁ、母親は分からなかったが父はビリーだったそうじゃ。」
「ビリー?じゃぁウェズはなんで気付いてなかったんだ?」
「それは・・・。」

10年前、ビリー一家はたった一人を残して全員誘拐され、
研究者としてシャトル団ジョウト進出基地で監禁された。
その一人とはまだ赤ん坊のウェズであった。
しかし、7年後シャトル団は彼の居所をつきとめ、彼を同じように監禁したが
ビリーにはウェズが自分の子だと、ウェズにはビリーが自分の親だと知らせなかったため
お互い気付かなかった。

「そして実はスノウの親も・・・。」

「え?スノウのお父さんってビリーって言うの?」
「えぇ。知ってるの?」
「知ってるも何も。この手紙・・・ほら。」
「!!!確かに私の・・・。」

彼らが真実を知るのはもう少し後のことだ。
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