第7話
師匠
オレンジがフシギダネと共に呆然として四天王を見つめていると、突然ワタルがオレンジに近づいてきた。
そして、1mくらい離れた場所で話を始める。
「君が……オレンジ君だね?」
「はい。」
オレンジは簡潔に答えた。
フシギダネはいつの間にかオレンジの後ろに隠れている。
「俺はワタル。四天王の長であり、君の母親と同じ能力を持つものだ。」
オレンジの母親、つまりイエローと同じ能力を持つもの。
聞いたことがある。四天王という強豪の集まりがいることを。
その四天王に一度父、レッドが破れたことがあることも。
オレンジは、フシギダネをボールに戻すと、ワタルの話に耳をかたむけた。
「オレンジ君。君に今から決めてもらいたい事がある。」
ワタルの顔が急に険しくなった。同時に、後ろにいた四天王たちの顔も険しくなる。
「君はこれからニビシティ、ハナダシティという順番で旅をしていくはずだ。
だが、ニビもハナダももはや奴ら、ロスト団の手におちている。
だからこそ、君を今から連れて行きたい場所がある。」
オレンジの顔も険しくなった。
そして、真剣にワタルと四天王たちを見る。
「そこはナナシマという場所だ。
トレーナーこそ連れ去られているが、まだ被害は少ないし奴らの手にもおちていない。
だからこそ、君に決めてもらいたい。」
トキワの森が、沈黙している。
もしかしたら、森にいるものの所為なのかも知れない。だが、今はどうでもよい。
「俺たちの中から、1人だけ君にいろんなことを教える師匠を選んで欲しい。
ナナシマは7つの島でできている。そして俺たちもちょうど7人。
1人1つの島を受け持って君にいろんなことを教えていくんだ。
オレンジ君、君の師匠になるんだから、慎重に選んでくれよ。」
昔のワタルとは比べ物にならないくらいやさしい。
そしてそのワタルから出された試練は師匠を選べとのこと。
しかし、オレンジはそんな気持ちなどこれっぽっちもなかった。
「ワタルさん。俺には師匠なんて必要n……。」
「否定はできない!」
オレンジが言い切ろうとした瞬間、ワタルに制された。
いっそう険しくなり、眉間にしわを寄せている。
「いいか、今はとてつもなく危ない世界となってしまったこの世界。
君はどんどん強くなることだろう。だが、君が中途半端な強さになったときに相手に襲われたら1たまりもないんだ。
だけど君は荒削りの原石でもある。いわば人類の希望の光でもあるんだ。君のお父さんとお母さんは長い年月をかけて行動したことで立派な宝石になった。だが、君のたびは急がなければならないものだろう!
それならば、今のうちに俺たちの誰かが君という原石を立派な宝石にしてあげなければならないんだ!」
ワタルの力強い大声が森に響いた。
キャタピーやポッポなどがきょとんとしている。
また、オレンジもワタルという人間からの訴えに心がぐらついていた。
「それに、さっきの出来事でわかった。
君はすでに、ロスト団に狙われている。」
四天王、そしてオレンジに衝撃が走った。
まだこんな初心者トレーナーがロスト団に狙われているなど、誰が考えただろうか。
「解ったら早く決めてくれ。
この世界には、もう時間がない。」
オレンジはワタルの意見に完全に賛成できなかった。しかし、自分はまだまだ未熟なのだし先ほどのグリーンのような人物がいつ襲ってきてもおかしくない。
そう考えると、ワタルの意見に賛成せざるを得なかった。
「解った。」
オレンジはそういってもう一度四天王を見た。
そして、直感的に1人の男を選んだ。
「シバさん。俺の師匠になってください。」
オレンジが選んだのはかつてのレッドのライバルの1人、シバであった。
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