第14話
退却
ブルーはポケモンを戻そうとはしなかった。オレンジも戻そうとなんて思わない。
龍静はドラゴンタイプ。水タイプには有利だ。しかし、氷タイプの技も覚えてるはずである。あのブルーのカメックス、カメちゃんなら。
「カメちゃん!ジェット噴射をしながら高速スピン!」
カメちゃんの甲羅から2本の砲台が現れた。そして、突然回り始めたかと思うと、その砲台からハイドロポンプ並の水流を発射している。
なにぶん広範囲の技。避けられるはずもなく、龍静は直撃を食らう。だが、抵抗力が働き辛うじて体力は残っている。
「龍静!神速から……たたきつけろぉ!」
龍静の姿が一瞬消えた。瞬間、カメちゃんの前に現れ、その勢いに乗ってカメちゃんの頭を思いっきりたたきつけた。
しかし、カメちゃんはすぐに甲羅に顔を隠し、攻撃を回避した。龍静はカメちゃんから攻撃が来ないうちにもと居た場所に戻る。
ブルーは不思議なことに気づいた。カメちゃんの体力の減り方がどうも多すぎる。だが、気を取り直すと次の指示を出した。
「カメちゃん!天井を壊しなさい!」
カメちゃんは砲台から先ほどよりも強力な水流を放った。それは天井に当たり、終いにはどこかへ吹っ飛ばしてしまっていた。
「そして雨乞いから吹雪!」
カメちゃんが何かを祈るようにした後、雨が降ってきた。カメちゃんはすぐに吹雪を放つ。その寒さで、雨が凍り、鋭い無数の氷の針となった。
もちろん、これも広範囲の技。しかも今度はトレーナーにも被害が及ぶ。
龍静は無数の氷の針に当たりながらも、龍の怒りを放ってオレンジを守った。龍の怒りは氷の針をつきぬけ、カメちゃんに当たる。
そのとき、龍静は気絶した。体力がなくなったのである。
「クッ……。」
オレンジは龍静をボールに戻すと、もう1つのモンスターボールを手にとった。
そして、掛け声と共にボールを投げる。
「行け!草陰(くさかげ)!」
ボールから緑色の、背中に蕾を背負ったポケモン、フシギソウが現れた。そのフシギソウも、草陰という名前をもらい、やる気も十分である。
「宿木の種!」
「カメちゃん!避けて!」
しかし、宿木の種は当たってしまった。
それというのも、カメちゃんが動かなかったのだ。いや、動けなかったのである。
「! 麻痺してる……いつの間に!?」
「龍静がたたきつけたとき、あの時尻尾に電磁波のエネルギーをためてたんだ。そして攻撃を当てた瞬間、そのエネルギーをカメックスに流し込んだんだ。
草陰!日本晴れ!」
降っていた雨もやみ、強い日差しが照りつけ始めた。
これで形勢は同等である。オレンジは声を張り上げた。
「草陰!
ソーラービーム!」
草陰の蕾に光が一瞬で溜まった。そして、蕾から緑色の光線が放たれた。その光線は、一直線にカメちゃんに向かっていく。
「冷凍ビーム!」
しかし、技は出なかった。
麻痺の効果で動けないのである。そして、その間にも緑色の光線はカメちゃんに向かっている。
だが、何処からか放たれたまるで森が一瞬で焼けてしまうような炎でソーラービームは打ち消された。
その後、大きな犬のようなポケモンと、女性がカメちゃんの前に立ち、草陰を睨む。オレンジは、この女性にも見覚えがあった。
「……クリスさん……ですよね?」
「ええ、もとはね。」
もと、とはどういうことなのだろうか。
クリスはシバやトウキにしたのと同じようにクスッと笑うとカメちゃんをボールに戻したブルーと共に消えていった。
======NEXT======
戻る