第16話
漂流
オレンジは今、野生のポケモンであるヤドランを倒した。
レベルが低い2匹のポケモンで、かなりの実力がある野性ポケモンを倒すのは至難の技だが、倒しているのである。
そばには草陰、龍静がいて、どちらも疲れている様子だ。オレンジは、2匹においしい水を与えた。
先ほど、シバに分けてもらった品である。どういうわけか、怒り饅頭までくれたが、気にしないことにした。
シバはどこかで自主練しているらしく、オレンジのそばにはトウキがいた。
もしオレンジが野性ポケモンに倒されそうになったら助けるためにである。
「ふぅ、これで10匹目。」
そう、このヤドランで倒したのは10匹目。
今までに倒したのはオニスズメ、オニドリル、クサイハナ、ヤドランなど。そのうち、ヤドランはこれで3匹目だ。
トウキはヒュー、と息を吐きながらその様子を見つめている。
初心者でこれだけできれば、なかなかのものである。
すると、トウキの後ろにある川から何かが這い上がってきた。
その何かは、トウキを殴って気絶させる。そして、オレンジのそばに行った。
オレンジは、近づいてくる足音に気づき、振り返る。
「トウキさ……ん?
じゃあないな。」
そこに居たのは赤い髪に銀の瞳を持った男性だった。
その男性は、モンスターボールを構えている。その中には、ニューラがいる。
「……シルバーさんか。
で、いちいちトウキさんを殴った理由は何?」
「そんなこと、決まっている。
お前を抹殺するのに、邪魔だったからだ。」
それだけ言うと、シルバーはニューラを繰り出した。
オレンジの手持ちはどちらも不利。だが、やりようによっては勝てるかもしれない。
「草陰!日本晴れ!」
いきなり日差しが強くなった。
これで、こちらの有利だ。
「ニューラ、切り裂け!」
ニューラが眼にもとまらぬ速さで草陰に接近し、その爪を大きく振りかぶった。そして、切りかかる。
「草陰!蔓のムチ!」
草陰は蔓のムチでニューラの腕を捕らえた。
そして、オレンジはニヤリと笑う。
「そのままソーラービーム!」
草陰は背中の蕾からソーラービームを放った。
もちろん、ニューラは動けずに直撃を受ける。
草陰はその瞬間に蔓を放し、ニューラは吹っ飛ばされた。
シルバーは無言でニューラをボールに戻す。
「ヤミカラス、騙まし討ち!」
ヤミカラスが突然倒れた。草陰はそれを見ると、戦闘形体を崩す。ヤミカラスはそれを見逃さなかった。
一瞬のうちに消えたかと思うと、草陰ではなく、オレンジに技をくらわせた。
「! な!?」
オレンジはそのままバタリと倒れた。そして、朦朧とする意識の中、草陰と龍静をボールに戻す。
シルバーはヤミカラスを戻し、オレンジに近づく。そして、オレンジを抱えると海に投げ捨てた。
2の島近海は流れが速い。飲み込まれれば、まず助からないだろう。
シルバーはオレンジが海に落ちたのを見届けると、どこからかトランシーバーを出した。
「ボス。オレンジの抹殺に成功しました。」
「よくやった。今すぐ戻ってこい。」
シルバーはトランシーバーを切ると、どこかに消えていった。
一方、オレンジは波に流され続けた。
いつの間にか龍静がボールの外に出ており、小さな体でオレンジを必死に浮かしている。
しかし、龍静も限界になったのか、もう力がなくなりかけていた。
そのときである。オレンジは何者かに拾われ、龍静は無理矢理オレンジのボールに戻された。
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