第24話
          青い龍 小さな鼠

 龍静の体は輝き、卵にはひびが入った。
 フシギダネの時はブルブルと震えていたが、これがミニリュウの進化なのだろうか。
 卵のひびはどんどん大きくなり、光に包まれた龍静のシルエットは大きくなっていく。

 そして、ひびは完全にわれ、卵から小さな黄色い鼠のようなポケモンが孵化した。耳はひし形のようになっており、少し黒い。頬にはピンク色の丸い点があり、後ろには黒い小さな尻尾があった。
 龍静の身体を包んでいた輝きは光を失い、その全貌が明らかになった。頭には天使のような白い羽があり、首と尻尾の部分には宝玉のような青い珠が合計3つ。全身はしなやかにのびており、腹は白いが、他の部分は青かった。頭には、白い角があり、目は黒い。

 オレンジはいつの間にか図鑑を開いていた。

 青い龍、つまり龍静の新しい姿はハクリューという名前らしい。
 黄色い子鼠のようなポケモンはピチューという名前だ。

 ただ、ピチューにおいては1つだけ、図鑑の画像と違っていた。
 ピチューの目は普通黒い。だが、このピチューの目は赤かった。そう、オレンジの赤い眼と同じくらい赤い。しかも、生まれたばかりだというのに、その目には闘志が宿っていた。

 生まれたばかりの赤ちゃん鼠は、キッと相手のプテとドドすけ、つまりプテラとドードリオを睨むと、頬の電気袋に電気をためはじめた。そして龍静に乗り、頭まで駆け上る。
 頭まできたところで、ピチューは飛び上がった。そして、空に一瞬で雷雲を呼び、雷を放つ。

 龍静も、生まれたばかりの赤ちゃんに負けるまいと、体から大量の電気を放出し、プテとドドすけに放つ。10万ボルトだ。
 雷雲からは、ピチューの雷だけではなく、自然の雷も何本か落ちた。だが、その中でピチューの雷と龍静の10万ボルトはまっすぐ敵のプテとドドすけに向かっていく。

「「高速移動!」」

 レッドとイエローの声が重なった。それと同時に、プテとドドすけは目にも見えない速さで駆け出し始めた。
 しかし、そんなものでは避けられない。雨が降っているわけではないものの、一応は雷雲だ。雷の命中率を高めることはできるだろう。いや、もしかしたら雨乞いの状態よりも正確に敵を狙い撃ちするかもしれない。
 そして、10万ボルトはこっちの命中率が下がるか、相手の回避力が上がらない限り、命中率は100%。だが、相手はそのどちらもしていない。いまさら素早さをあげて相手の目をくらませ、避けようなどと無駄な考えである。

 そして、2つの電撃は2匹に直撃した。
 いや、直撃したかに見えた。だが、2匹の前には1匹のガラガラが立っていて、雷と10万ボルトを受け止めていた。ガラガラは地面タイプのポケモンである。電気の攻撃を無効にしたらしい。

 オレンジの知り合いの中で、ガラガラを使う人は1人しかいない。だが、本当にそうとは限らない。
 別の人物。例えば、自分の父と母を操っている人物。

 オレンジがそんなことを考えていたとき、全く知らない声が響いた。だが、声の大きさなどから考えて、レッドと近いくらいの年齢だと思われる。
 それでも、まだ若い方だ。そして、男である。

「う〜ん、君たち、こんな子供に負けそうになってたの?」

 その声を放っている人物は、オレンジの予想通り、若い男性だった。

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