第31話
            ワカバタウン

 ワカバタウン。
 始まりの風が吹く町。
 ウツギ博士の研究所があることで有名。そのウツギ博士も、今ではいいおじさんになってしまっているが。

 そんな町には、海につながるたった一つの川がある。
 東に位置し、また、カントーへつながるトージョウの滝がある道でもある。

 その川に、橙色の髪の少年が、流れ着いていた。


 ウツギ研究所から、メガネをかけた白衣を着ている男性が出てくる。
 ウツギ博士である。ウツギ博士はいつもこの時間に散歩に出ている。そばには、いつも初心者用のポケモンを連れている。

 炎ポケモンのヒノアラシ。
 水ポケモンのワニノコ。
 そして、草ポケモンのチコリータである。

「ヒノアラシ、ワニノコ、チコリータ。
 今日はどこに行きたい?」

 ウツギ博士がそう聞くと、チコリータは森を指差した。
 ヒノアラシはウツギ博士の肩に乗り、ワニノコは勝手に歩き出した。

「わ、ワニノコ。待ってくれ〜!」

 ウツギ博士の散歩は、いつもこのようにして始まる。
 まったく、ロスト団に目をつけられていないとはいえ、いくらなんでも気楽すぎやしないろうか。

 ワニノコはまっすぐ川に向かっていた。
 そこには、あの少年がいる。ワニノコは少年の前に来ると、突然頭を噛み付いた。

 その瞬間、少年が目を覚ます。

「いってーーーーーーーーー!!!!!!!」

 少年はしばらく暴れまわった。
 瞳は赤く、腰には3つのモンスターボールがある。そのうち1つは開閉スイッチが壊されていた。

 オレンジである。

 オレンジは頭に何か噛み付いているのを悟ると、力尽くで引き離そうとした。
 が、引き離そうとすると更なる激痛がオレンジを襲う。

 そのとき、ウツギ博士がやってきた。

「わ、ワニノコ!早くはなしてあげなさい!」

 が、ワニノコはいうことを聞かない。
 オレンジはついにキレた。

「赤雷!
 電気ショック!」

 ボールから赤雷が現れ、オレンジの頭に噛み付いているワニノコに電気ショックを放った。
 ワニノコはオレンジの頭から離れた。が、オレンジは電気ショックを一緒に受け、また気絶した。

「わわ、君!大丈夫かい!?」

 大丈夫なわけがないだろう。
 ウツギ博士はオレンジから応答がないので、しばらくさらにあわて続けた。
 が、オレンジが呼吸しているのを見て安心し、研究所につれて帰った。



 オレンジがうっすらと目を開ける。
 そこには真っ白な天井がある。オレンジは起き上がり、周りを見た。
 そばには赤雷がいて、眠っている。
 窓の方を見るとまだ太陽が出ている。どうやら、昼のようだ。

「……ここ、どこだ?」

 そう、まず気にしないといけないのはここがどこなのか。
 よく確かめてみれば草陰のボールはあるのに龍静のボールがない。

 そのとき、ドアが開いて1人の男性が出てきた。ウツギ博士である。
 手には龍静が入ったボールを持っている。オレンジはそれを見ると、ベッドから飛び降り、ウツギ博士から龍静を取り戻した。

「俺の龍静に何した!?」
「いや、何もしてないけど……。」
「言い訳するなぁ!」

 オレンジは拳を握り、思いっきりウツギ博士に殴りかかる。
 そのとき、オレンジの拳が炎に包まれる。オレンジはそれに驚いて殴りかけていた拳を止めた。
 ウツギ博士は驚きすぎて尻餅をついていた。メガネが少しずれている。
 オレンジは拳を緩め、手を開いた。その瞬間、炎は消えた。



 30分後……。
 ウツギ博士はオレンジに事情を説明していた。あの後、何とか誤解をといたようである。
 拳から炎が出たことについては、触れないことにした。

「んで、ここはどこですか?」
「ここはワカバタウンにある僕の研究所だよ。」

 とまぁ、一言だけの会話が続いているわけである。
 そのとき、女性が1人入ってきた。ウツギ博士の1人娘、弥生である。

「お父さん。マサラのマサキさんから電話よ。」
「ああ、解った。……オレンジ君も来るかい?それに、お詫びといってはなんだけど、ポケモンを1匹あげるよ。」
「い、いえ。結構です。」

 オレンジはそうやって何度か断ったが、ウツギ博士が熱心にそういってくるので結局もらうことにした。

======NEXT======
戻る