第33話
              異変

 ワカバタウンの郊外にある草むら。そこには、オレンジとヤナギのほかに、ウツギ博士の助手がいる。

「ただいまより、チョウジタウンのヤナギとマサラタウンのオレンジによるポケモンバトルをはじめます。
 使用ポケモンは両者1匹ずつ。先に相手を倒した方が勝ちです。
 それでは……はじめっ!」

 オレンジがボールを構えている最中に、ヤナギはポケモンを出した。
 白い体で、大きな黒い瞳、頭には角がついている。体は、少々太めだが長い。
 ジュゴンである。確か、ジュゴンは水と氷タイプ。オレンジは龍静のボールを手にとろうとした。相性は不利だが、水タイプがはいっているのなら10万ボルトで倒そうと思っていたのだ。
 が、それよりも先に、赤雷がオレンジの頭から飛び降り、ジュゴンと向き合った。

「あっ!」
「ジュゴン!オーロラビーム!」

 オレンジが怯んだ隙に、ヤナギが攻撃を指示した。
 ジュゴンは大きく息を吸い込み、虹色に輝く光線を放った。目標は……赤雷。

「! 赤雷!」

 オレンジがあわてて赤雷の名を叫ぶ。が、赤雷は余裕の表情を見せて攻撃をかわした。
 オレンジはホッと胸をなでおろす。

「赤雷! 影分身から……10万ボルト!」

 赤雷は早く走り始めた。そして、それによってできた残像が分身となり、相手のジュゴンを囲んだ。
 ジュゴンはそれにより、どれが本物なのかわからず、きょろきょろしている。
 だが、ヤナギの指示は的確だった。

「ジュゴン!目の前に冷凍ビーム!」

 ジュゴンはヤナギの指示に従った。
 冷凍ビームはまっすぐ進んでいって、1体の赤雷に当たる。その赤雷は……本物だった。

 赤雷は冷凍ビームをまともに受け、下半身が凍り付いてしまった。
 その所為で、身動きがとれずにいる。それを見たヤナギは、ジュゴンをボールに戻した。

「! 何やってるんですか!勝負はまだ……「その状態では、もうそのピチューは動けないだろう。そうなれば、私のジュゴンにとって格好の的だ。もし、そのピチューがこのまま私のジュゴンの攻撃を受けたら、確実に……死ぬ。それがいやなら、負けを認めるんだな。」

 ヤナギの言葉は、全て正しかった。確かに、赤雷はついこの間生まれたばかりである。
 そんなポケモンがここまで戦えるだけでも凄いことなのに、ただでさえ強いトレーナーのポケモンから攻撃を連続でくらってはひとたまりもないだろう。
 だが、オレンジは怒声を上げた。

「いやだね!赤雷がまだ戦おうとしてるのに、俺だけ逃げるような真似は……できねぇよ!」
「何!?」

 赤雷を見ると、一生懸命氷に打撃を与えていた。氷を砕こうとしているのである。
 そして、氷が砕けた。赤雷は自由になった下半身を動かそうとするが、冷たさで麻痺していて動かせない。
 だが、その目は鋭くヤナギを睨みつけていた。

 ヤナギはオレンジの方を見る。すると、オレンジも赤雷と同じ赤い眼で、ヤナギを鋭く睨んでいる。
 ヤナギは鳥肌がたった。だが、すぐに恐怖心をおさえるともう一度ボールに手をかける。だが、ジュゴンのものとは違うボールだ。

「オレンジ君。今度は……本気で行かせてもらうよ!」
「望むところだ!」

 そのとき、オレンジのリュックの中にある赤い石が、大きく光り輝いた。

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