第35話
暴走
「な、なにぃ!?」
ヤナギは目を見開いた。
何せ、自分と勝負しているトレーナーとポケモンの右足が同時に発火したのだ。驚かない人などいないだろう。
だが、オレンジと赤雷はあまり驚いていなかった。それもそうだろう。オレンジは今まで何度も炎に包まれたり、拳が発火したりしているのだ。
赤雷だって、何度もその光景を見ている。いまさら驚く必要はない。
「赤雷、いけるか?」
赤雷は、こくんと頷く。オレンジはそれを見ると、立ち上がった。
右足はまだ少し痛むが、今はそんなこと言っていられない。オレンジは赤雷に指示を出した。
「赤雷!電光石火!」
赤雷は、走り始めた。下半身はまだ、多少しびれているが、前足をフル活用すれば走れないこともない。
赤雷はどんどんスピードを増し、イノムーに突っ込んでいった。
「イノムー!乱れづき!」
イノムーも赤雷にむかって来た。そして、もう少しでぶつかるというところで、イノムーは牙を前に突き出した。
赤雷は止まろうとしたが、勢いあまって牙にぶつかってしまう。そして、何度か突かれると、最後にオレンジのそばまで吹っ飛ばされた。
オレンジは、何もいわなかった。
ただ、右足から発火した炎は、どんどんオレンジを包んでいく。それと同時に、赤雷の体も炎に包まれていった。
オレンジと赤雷を完全に炎が包み込み、赤雷は立ち上がった。
その瞬間、赤雷は消え、イノムーは倒れていた。
それと同時に、草むらが、燃え始めた。
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