第41話
見知らぬポケモン
「大丈夫か?」
そこに居たのは先ほどオレンジに声をかけた男性、つまりゴロウだった。オレンジはその登場に驚くも、すぐに爆炎の元に駆け寄る。
「爆炎!大丈夫か!?」
爆炎はその質問に対し、大きく鳴いて返した。そして、相手のポケモンの前に立つ。
そして、もう一度大きく鳴いて相手のサンドを睨みつけた。
しかし、ロスト団の男は怪しく笑う。
「頑張るじゃないか。だったら、いいモン見せてやるよ!」
ロスト団の男はサンドを戻した。そして、新たに別のポケモンを繰り出す。
「な……なんだ、あれ!?」
ゴロウもオレンジも見たことのないポケモンがそこに存在した。
緑や青などの色とりどりの模様に、頭は黒くて何かの音楽記号のような形をした鳥ポケモン。
「こいつはなぁ、シンオウ地方っていうとこで発見された新種のポケモンさ。
種族名、ぺラップ。体はちいせぇが……頼りになるポケモンだ」
ぺラップ。聞いたことのないポケモンだった。
それはゴロウも同じ。ウツギの助手を一応やっているが、こんなポケモンがいたとは知らなかった。
ロスト団の男はニィィと笑い、オレンジとゴロウには悪寒が走る。
「ぺラップ!おしゃべりだ!」
『ぺラップ!!!おしゃべりだ!!!!』
トレーナーの指示を、そのぺラップというポケモンはかなりの大音量で繰り返した。思わず、オレンジとゴロウは耳をふさぎ、目を閉じて歯を食いしばり、音をなるたけ小さくする。
人間にとってはその程度のことだったろう。だが、ポケモンにとっては違う。
そう、あれは技だったのだ。実際、爆炎は苦しそうに顔を歪め、ゴロウのラッタは必死に耐えている。
やっと、その“おしゃべり”が終わったようだ。オレンジとゴロウが耳から手を放し、目をあけてそこを見ると、爆炎とラッタは戦闘不能になっていた。
「おい……なんて強さだよ……」
「……君……自分の中で一番強いポケモンを出すんだ」
ゴロウからの突然の提案。オレンジは爆炎を戻すと、何も言わずにそれに従う。
ボールから出したのは……龍静。相性的に言えば赤雷の方がよかっただろう。
だが、防御力が低い傾向にある赤雷であの技に耐えるのは不可能。草陰は草タイプ。ぺラップというのは明らかに飛行タイプも混じっているであろうからまず出せない。
だからこそ、龍静を選んだ。ゴロウはラッタを戻してレアコイルを出す。
「ほぉ……ダブルで来るか。
なら、俺ももう1匹出させてもらうかな」
ロスト団の男はそういうと、もう1つボールを投げる。そこからでてきたのはデルビル。おそらく、レアコイルに対して使うのであろう。
そして、バトルがまた始まる。
「レアコイル!電磁波!」
「龍静も続け!」
ゴロウとオレンジが同時に電磁波を繰り出す。途中で合わさった2つの電磁波はより強力になり、相手の2匹に襲い掛かる。
だが、ロスト団の男はにやりと笑うとデルビルに指示を出した。
「火炎放射!」
その一撃で、電磁波は消え去った。
いくら相手をまひさせることしか出来ない電気技では最弱の技と言えど、2つ合わさったものを火炎放射一撃で、しかもデルビルが相殺するなんて不可能に近い。
だが、それでもこのデルビルはやってのけた。酷く苦しそうな顔をして。
「そのポケモン……ドーピングアイテムを使ってるのか……?」
ゴロウの静かな質問。それは間違いなく、殺気を放ちながら相手の男に向けられていた。
ロスト団の男はその質問を聞くと、高笑いを始める。
そして、言い放った。
「よく気づいたなぁ!その通りよ!!
このデルビルにはドーピングアイテムをいくつも使っている!てめぇらのように普通に育てちゃ手にはいらねぇ強さをこいつは手に入れたんだ!!!」
ロスト団の男は狂ったように笑い続ける。
そして、その笑いに耐えられなくなったオレンジが怒鳴った。
「てめぇ……ポケモンをなんだと思ってやがる!!!」
その姿に、ゴロウはかつての友を見た。多少違うところもあるが、それでもこの姿はあの男、ゴールドそのものだった。
「ポケモン?
んなもん決まってんだろ?道具さ」
その卑劣な言葉がオレンジの耳に届いたとき、すでにそれはオレンジではなくなっていた。
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