「大丈夫か?」
ミカドは、素直に、対戦相手を吹っ飛ばしてしまったことを謝った。なぜなら、勝負を吹っかけてきたやつが、あの変な黒いオーラ持ちのポケモンを出してきたため、スナッチが発動するはずだったのに、トレーナーが近付くから、巻き込まないよう、ミカドはキザトラに命じて、吹き飛ばしたのだ。おかげで、粗大ゴミ置き場のようなところに、マサと名乗るトレーナーは埋もれている。
「大丈夫じゃねぇよ・・・よくも吹き飛ばしたな!」
「背中打っててもよく大声出せるな。とりあえず、ポケモンと一緒にスナッチされたくなかったら、遠くに離れるんだな。」
よし、合流すっぞ、とナギに言うと、ミカドはスナッチしたばかりのオオタチが入ったボールを取って、歩き出した。その後に、キザトラとバンダナがついていく。背中を打った痛みで、追いかけるにも追いかけられず、ただミカドの後ろ姿を見送った。
「よぉ、どうだった?」
パイラの警察署前。サフィリスは警察に、変なオーラのポケモンのことを話していた。一応、了解は取れたので、そのことについて、だそうだ。
「それとな、その黒い変なポケモンっていうか、変な技を使うポケモンが出始めたころ、この辺りを取り仕切ってるギンザルって人が、様子おかしいらしい。一応、挨拶がてらに行ってみたらどうだ?」
「ギンザル?まあ、行ってみるか。家どっちか知ってるか?」
と、サフィリスは横を向いた。どうやら、聞いてこなかったな。ミカドは後で「ジュースおごれよ」と言い、まだ合流していない、ガーネットを迎えに、広場へと行ったのである。
あいつは強いからな、とサフィリスは何度もつぶやいていたが、そうも行かないだろう。まして、こんな治安の悪いところに、女の子一人で聞き込みに行かせるサフィリスの神経が、ミカドにはわからなかった。確かに、ブルーノにとび蹴りいっぱつかましたのを見たら、すごいと思うが、だからって放置しておくか普通。
「ガーネット!」
心配をよそに、彼女は、大道芸人と話していたのである。黒いオーラのポケモンについて、らしいが。
「ミカド、気をつけて、私が最初に変なポケモンみたのはここだから。」
ナギはミカドの後ろで、しっかりと袖をつかんで歩いている。ということは、ここがあの変なポケモンの溜まり場か。いっちょ、全部とってやら、とミカドが意気込んでいたときである。
「ああ、来たの?どうだった?」
こちらにやってくる彼女を、大道芸人は見逃さなかった。後ろを向いたときがチャンスと見たのだろう。投げられたボールからポポッコが現れた。そして、ナギの次の一言。
「危ない!そのコは、黒いオーラが出てるわ!」
ガーネットが振り向いたときは遅かった。すでに、あの特徴である技を彼女に向かって放っていたのである。助けようとしたが、間に合わない。
「みねうち!」
ジュカインが最もすばやかった。ポポッコと彼女の間に入ると、ポポッコに向かって攻撃したのだ。もちろん、あの技を受けたが、今度はなんでもない、という風に。
「よくやったキーチ。葛霧、変なオーラでてるなら、早く捕まえちまえ!キーチが抑えてるから。」
「よし、やっぱほっしー強くなったじゃねーか。キーチ、巻き込まれるなよ、スナッチだ!」
スナッチマシーンから、ボールが飛ぶ。ポポッコがボールに吸い込まれ、動かなくなる。
「きぃぃぃぃぃ!よくも大事なポケモンちゃんを・・・。」
大道芸人は叫んでいたが、ミカドがにらみを聞かすよりも、サフィリスが胸倉をつかんでいた。
「あぁ?んだと?後ろから不意打ちするようなやつのポケモンがどうなろうと知ったこっちゃねぇんだよ。」
なんだかんだで、心配なのだろうか。複雑な二人だな、と思って、ミカドは見ていた。あの温厚なサフィリスが、あそこまで本気になるとは、はっきりいって信じられないものだった。
というわけで、4人でギンザルの家へ。この辺りを収めているというギンザルのところへいって、変なポケモンのこと話して、んで?そういえば、捕まえたポケモンは、そのまま放置してある。ナギいわく、真っ黒なオーラだしまくり、といっていたが、果たしてそうなのだろうか?よくわからないが。
「ギンザルさん、あんたどうしちまったんだ!あのミラーボってやつが来てからなんかおかしいよ!」
先客がいたようだ。が、ギンザルはそいつに対して、目をあわせようとせず、沈黙を守ったままだ。
「なんだよ!コロシアムだって、作っただけで、ミラーボの言いなりじゃないか!」
客は、それだけいうと、ミカド達を押しのけ、出ていった。入れ替わるように、ミカドがギンザルの前に立つ。
「あんたがギンザルさんだな?」
「・・・そうだが、あんたは誰だ?」
「黒いオーラのポケモンを捕獲してる。パイラタウンがただの無法地帯になったのも、何か知ってるんだろう。」
「知らないな。帰ってくれ。」
ギンザルは立ち上がる。かなり大きい腕でミカドの首根っこを掴むとそのまま外へとほうり出したのだ。
「何かあるわね。」
壁に叩き付けられて伸びてるミカドを3人は囲みながら相談した。顔面から入ったので、しばらくは起きないだろう。これをどうするか、という相談もしていると、ナギは肩を叩かれた。振り返ると、ギンザルの先客がいた。
「・・・強いか?」
「え?」
「ねえちゃん達、強いのか?」
「こら、ガキ、女の人への話し方はちゃんとしろ。」
ふらつく足でミカドは起き上がった。片方の鼻から血が出ている。視線が定まっていないが、話し方だけはちゃんとしていた。
「ガキじゃねえっ!俺はシルバだ!」
「威勢いいなあガキっちょ。俺達忙しいんだよ。」
やはりふらつく足で、ミカドは立ち上がる。サフィリスに支えられながら、やっと歩いている状態だ。
「ガキじゃねえ!俺は・・・俺は・・・にいちゃん達強いなら、俺が知ってること言ってもいい!」
「へえ、何を?」
ナギがシルバをなだめるように頭を撫でる。
「ギンザルさんの代わりにのさばり始めたミラーボのことだ!」
全員の目がシルバに向いた。
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