かなり入り組んだビルのようだ。次々に襲い掛かってくるミラーボの手下を次々にアリゲイツが噛み付き、モココが電撃で追い払う。途中に、ナギはダークポケモンを数々発見する。
「覚悟しろよ、ダークポケモン持ってるやつは、容赦しないからな。」
スナッチマシンからボールが飛ぶ。大半の手下はこのダークポケモンを主力にしているようで、それさえなければほとんど怖くもなんともなかった。アリゲイツは噛み付き、モココは電撃波を、マクノシタは空手チョップで敵をなぎ倒す。
「ミカドがんばれ!」
ナギが後ろからダークポケモンのポポッコと共に応援している。このポポッコ、ナギのところが一番好きなようで、いつも一緒にいる。そして、スナッチする際には、ポポッコから眠り粉が飛んでくる。とても頼もしい助っ人だ。
「さんきゅナギ。さてさて、いただきますわよそのヤンヤンマ。」
そして、完全に捕獲したと感じたら、ボールを拾い、すぐに逃げる。あまり構っているとリアルファイトはおろか、囲まれて逃げられなくなってしまう。ただでさえ、今、二人しかいないのだから。

 二人は走った。上へ上へと。探索するにつれてトレーナーのレベルが上がっていっているような気がするのだ。アリゲイツとモココは疲れてきているように見える。
「キザトラまだ戦えるか?」
「ミカド、無理よ、キザトラはさっきの疲れが抜けてないわ。バンダナも、しばらく無理よ。」
「・・・つーことは、今、万全なのはマクノシタと、もらったばかりのビブラーバ、ってことか。」
不安だ。目の前の階段を登れば屋上に出れるだろうが、それで最後になってしまっては意味がない。しかし、引き返すわけにもいかない。負けるわけにもいかない。
「ナギ、ここで力つきたら、とりあえず逃げろ。」
「なんで?ミカド負けるわけないでしょ。」
「いや、だからいってるわけで・・・。行くぞ。」
階段を駆け上がる。屋上を照らす日の光が眩しい。随分と駆け上がったようで、地面を歩いている人が小さく見える。落ちたら半端ない。
「洞窟につながってる・・・?」
屋上は高くなった山につながっていた。その中は空洞のようだ。ミカドは進もうとしたが、ナギはとめる。
「ガーネットとか、サフィリス君が来るまで行かない方がいい。まだ二人はコロシアムの中で、ミカドが動いたことで囲まれてるかもしれないし・・・。」
「けど・・・今から降りられないぜ?どうするんだよ・・・・。」
「でも・・・ミカドのポケモンだって疲れてるのに、今進んだら・・・。」
ミカドはナギの口を押さえた。話し声がする。その方向に進んだ。屋上にある倉庫のようなところから聞こえる。こっそりと重い扉を開け、中を覗く。
「・・・なんだあれ?」
その人物の特徴は、頭か。ありすぎなアフロヘアーが特徴的で、さらに特徴的なのはアフロヘアーが左右で色が違うこと。右が赤で、左が白。覗いているミカドとナギには気付かないようで、ペラペラとテレビに向かって喋っている。テレビにはこちらもファッションがどうなってるのかよく解らない人物がいた。
「ジャキラ様〜こっちは順調にダークポケモンを配っております〜。」
「よろしい。オーレ地方全土にダークポケモンを配布するのだ。」
「僕嬉しすぎて踊っちゃうかもー!」
「ははは、ダークポケモン計画が成功した暁には思う存分踊ってくれたまえ。」
ジャキラはテレビから消える。アフロヘアーの方は踊るような腰付きで歩き出す。
「はっはーん、でもジャキラ様は見えてないのね〜。この会話聞いてる邪魔ものがいること。」
ドアが吹っ飛ぶ。思わず二人は後ろに飛び跳ねた。アフロヘアーがドアを蹴り飛ばしたのだ。蝶番は外れ、金属のドアは手すりをこえ、落下する。
「きたねきたねえ、ミカド君とナギちゃん。会いたかったよぉ。君たちが僕達のダークポケモン計画を邪魔しようとしてること知ってるんだよぉ。」
「だ、誰だお前!?」
まだ腰を抜かして立てないミカドの前にアフロヘアーは立つ。
「僕はミラーボ。腑抜けのギンザルに変わってこのパイラを支配する支配者ってところだねー!」
「お前がミラーボか!覚悟しろ、ギンザルから奪ったポケモン返せ!」
やっとのことでミカドは立ち上がる。しかし近くでみるとアフロはかなりの大きさだ。頭が小さく見えるほど。
「ふっふっふ〜そういうと思ってね、君達のお友達を1人、預かってるんだねー!返してほしければ・・・。」
「まさか・・・お前ら、ただじゃおかねえ。」
つかみかかる勢いで、ポケモンが飛び出る。マクノシタ、そしてビブラーバ。
「いいねえいいねえ、友情なんていうのは。でももう無駄だよ、僕達のアジトに・・・。」
「誰が大人しくしてるっていったかな。」
ミラーボの後ろには、手下を二人ほどノックアウトさせたガーネットがいた。ただ、いつもと感じが違うのは、バンダナを取っているところか。
「な、拘束具を・・・・。」
「あんなで拘束しようなんていう方が間違いなのよ!この二人の命が惜しかったら、ポケモンを返しなさい!」
形勢は逆転したようだ。手下達は助けてくれという視線をミラーボに送る。しかし、ミラーボは手下なんかよりも、自分の身を案じたようだ。
「はっはーん、そんな手下の命が惜しいとでも思ったのー?甘いよーん。」
室内に煙が充満する。毒ガスと思いきや、ただの煙幕で、気付いた時にはミラーボは消えていた。

「あれ、ざくろ、ほっしーどした?」
部下二人はミラーボに見捨てられ、ひどく落胆していた。もうあの二人には戦闘意思はないだろう。そう思って解放してやった。すると二人はモンスターボールを差し出してきたのだ。ダークポケモンのテッポウオとマンタイン。もうシャドーにも戻らない、と二人は歩いてビルを降りていったのだ。
「サフィリス?知らないわよ。」
そこで3人が合流したところで、いきさつを話していた。ガーネットの方はというと、裏方を見ていた時、あの手下達に襲われた。その時に閃いたのがこのままなら本拠地を突き止められるかも、ということだった。危ない賭けだったが、結果はいい方に転んだようだ。
「え、知らない?まさか、ほっしー・・・。」
今さっきミラーボが言っていたことから、サフィリスも無事でいるとは限らない。会場内はミラーボの息がかかってるはずだ。
「でもあいつならだいじょぶでしょ。」
「なんで?」
「逃げ足はやいし、ヤバいと思ったら即逃げるタイプだから。無茶はしないから、安心していいと思う。」
ミカドは無言で建物から出ていった。追い掛けるようにナギが走る。
「あ、待ってナギ。その洞窟に行くなら。」
ガーネットが差し出したのは回復の薬や、なんでもなおし、元気のかけらなど、ポケモンの体力を戻す薬。
「このビルにはまだいっぱい手下が残ってる。それを食い止めるから、ナギはミカド君と一緒に洞窟にいってミラーボを探してきて。」
軽くお礼を言うとナギはミカドを追い掛けた。

「待ってミカド!ミカド!」
空洞にナギの声が響く。ミカドは肩で息をしながらもナギの方を振り返る。
「これ、ガーネットから薬だって。」
「これ?ああ、そうだ、そうそう、あとで、お礼、いわないと。」
これで疲れたキザトラやバンダナ、アリゲイツとモココを回復できる。束の間の休息の後、さらにミカドは走り出した。
「ミカド、落ち着いて、走っても・・・。」
「もうすぐでミラーボを追い詰められるかもしれないんだ、走らなきゃ・・・。」
スナッチマシンの重量がのしかかってくるように感じる。普段はなんともないのに、疲れが見えている。
「ミカド・・・。」
「俺は、大丈夫、だから。」
ミラーボの手下達が襲い掛かってくる。もしかしたらダークポケモンを持っているかもしれない。ミカドは1人ずつ潰すことよりも、一斉にポケモンを出させて、捕獲してしまおうとした。
「来いよ!ミラーボの手下め!一網打尽にしてみせらぁ!」
挑発したまではいい。ミカドに一斉にダークポケモンが襲い掛かってきたのだ。ハリーセン、アサナン、チルット、ノコッチ。4方向からかかってくるダークポケモン達に困惑しつつも、攻撃を加えるキザトラ、軽くはね除けるバンダナ。
「くずきり、そりゃなんでも無理だろ。」
「・・・ほっしー?」
「だいたい走り過ぎだって。行け、キーチ。」
ボールから出たキーチは素早くダークポケモン達に攻撃をした。しかし、手加減をしていたようで、ダークポケモン達は怯んだものの、倒れなかった。
「峰打ちしたぜ。後は体力がないはずだ。」
「ありがとな、ほっしー。あと、ナギ、眠らせてくれ。」
「任せて!」
ポポッコから眠り粉がばらまかれる。それはポケモンを狙ったものではなく、ミラーボの手下達をねらったもの。ポケモン達は体力がない上に、トレーナーからの指示がなく、せっかく「戦いの道具」となったのに役割を果たせないでいる。
「やっぱりポケモンらしく指示がないと動けないらしいな。」
一つずつ確実に。4匹は次々にスナッチの餌食となる。弱らせてこそあまり強くないダークポケモンだが、これがベストコンディションだったらどうなのだろう。それを考えると恐ろしくなるのでミカドは考えないようにしていたが、それでも4匹を相手にしたときは辛かった。
「スナッチできたか。そうそう、くずきり、これやるよ。」
そういって差し出したのはピーピーエイド。
「さっき拾った。早く行った方がいいぜ、後から来る手下は俺が止めるから。」
「ありがとなほっしー。行こうかナギ。」
「おう、ちなみに、外から見てた限り、ミラーボはこの奥に逃げ込んだっぽいぞ。」
「え?見てたのサフィリス君・・・。」
「まあな、なんかが落ちる音がしたから見に行ったら煙幕があって、アフロヘアーが逃げていったんだ。で、ビル登ってガーネットに話を聞いてきたわけさ。さあ、早く行けよ。いくら俺でも止められる時間と人数に限りがある。」

「待ってミカド・・・。何か音がする。」
地下水の通る道を歩いたところで、ナギは何かを聞いた。
「音?」
「うん、なんかソウルミュージックみたいな・・・。」
微妙な後ノリで低音が響いてくる。ずっと聞いてると気分が悪くなりそうだ。なるべく気にしないように先に進むが、それにつれて音がでかくなり、メロディも判明する。
「ヤバいナギ、俺気持ち悪くなってきたかも・・・。」
「え?なんで・・・。」
音楽を通し、ミカドの頭に不快なものを与えているようだ。悪酔いしながらもミカドはさらにさきに進む。
「へい、きたねミカド君あ〜〜〜〜んどナギちゃん。君たちを待っていたよ、このステージで!」
90年代のジュリアナのようだった。そんなもの見たことないミカドはさっきからの悪酔いもあってリバース間近。押さえるように口で短く呼吸する。
「ここに逃げたかミラーボ。追い詰めたぜ、ポケモンは返してもらおう。」
「やだよ〜〜〜ん。ミュージックスタート!」
さらに違うソウルミュージックがかかる。
「へいディスコ!さあ踊っておくれ僕のルンパッパ!」
音楽に合わせてルンパッパが踊り出す。普通のルンパッパなのだが、攻撃を仕掛けてくるようだ。
「と、とりあえず行けキザトラ、モココ。」
キザトラは一応ボールから出るが、主人に反応してか、気分が悪くなったようだ。しかし、モココの方はけろっとしている。
「な、ナギもしかして・・・。」
「ダークポケモンには通じないみたいね。」
「で、なんでナギにも通じない・・・。」
そんな冗談を言ってるヒマはなかった。キザトラのサイケ光線が左のルンパッパに、モココの電磁波が右のルンパッパにあたった。
「はーい、そんな攻撃通じない〜。」
ルンパッパは雨を降らせた。それと共にルンパッパが喜んでいるように見える。左のルンパッパは右のルンパッパの降らせた雨により、より生き生きしているようだ。
「なんだ?ルンパッパって・・・。」
砂漠に生きてきたミカドは、雨の多い地方にいるルンパッパのことなど全く解らない。しかもキザトラのサイケ光線が全く響いてない。モココの電磁波も対した影響をおよぼしていない。
「ミカド・・・。」
「そんな声出すな。俺は勝つ。」
とはいってもミカドは勝てる予感もしなかった。やはり運が下がるのは間違いないようだ。
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