事件から7日後午後4時30分・・・とある場所

事件から一週間が経つ今日この頃・・・。優磨は事の真相を確かめるべく、授業が終わった後ある場所へと向かっていた。
そこに着くと膝を着き、ハンカチを手に持ちある物を持ち上げた。優磨は、それを見るやいなや笑みを浮かべそれを戻し、立ち上がって膝についた汚れを払いその場を去りながら「俺の推理は間違ってなかった」と呟いた。


事件から8日後午後3時50分・・・廊下

部室へと続く廊下を優磨は歩いていた。
自分の推理が合っているかどうか確かめる今日この日、不安と少ない希望を胸に歩いていた。
それと、迷いが心にあった。
本当に、やっていいことなのかという事だ。
職業でもないし、相手にこれといった怨みもないし、それに相手の人生と自分の人生を狂わせる可能性があるからだ。
推理して事件を解決する「探偵」と言う仕事は、死と隣りあわせなのだ。

もし、自分が推理した物と合わなくて間違ってしまったらすいませんじゃすまない。もし間違えた相手が「訴えてやる」と言ったら慰謝料を払う可能性が出てくる。そして多額のお金を払い自分の知名度が下がり仕事が来ず途方に迷い終わる、そんな可能性があるから優磨は迷っているのだ。
職業でもないただの遊びのような物、もし間違ったら本当に危ない。自分だけではなく、家族も危ない。

そんな事を考えながら歩いていたら、とうとう部室に着いてしまった。緊張しているせいか、部室のドアがとても怖い。
仕方ない、ここまで来たんだ。やろう。もしダメだったら未来の力を貸してもらおう。
そう思いながらドアの前で深く空気を吸い、目を閉じながら息を吐きそしてゆっくり目を開けてドアノブを掴みドアを開けた。
そこには淡い赤色の紅茶が入ったティーカップを手に、楽しく話をしている未来と間宮が目に入った。
そして未来が入ってきたことに気付いた。

「あ、優磨さんw」
「や、優磨君」
「お、お前ら」

ニコヤカに二人は優磨に挨拶しまた、話に戻った。
(さっきの緊張はなんだったんだ?)
自分が緊張になってた事がバカらしく思い、ため息をつきながら未来の隣に座った。
肩を叩き、未来を呼び小声で間宮に聞えない程度に話をかけた。

「未来、何してるんだ?」
「え?何って間宮先生と、たのし〜くお話をしてるんですよww」
「お前に緊張と言う物はないのか」
「え?何故緊張する必要があるんですか?」
「もしかしたら、安部殺人事件の犯人かもしれないんだぞ?」
「そうとは決まってないじゃないですか。こんな良い人が犯人名分けないですけど」

間宮に「ですよねー」と話かけ間宮も「ねー」と返してきた。全くどうなってんだこの二人はと優磨は思った。
その後に、優磨も未来に紅茶を頼んだ。むっとした顔をして、戸棚に向かった。
そして間宮は笑みを浮かべ、優磨に向き口を開いた。

「優磨君、僕に用があるって聞いたから何かな?」
「用って言うのは他でもない安部先生の事だ」
「・・・・・。その事はちゃんと話したけど、まだ何か?」
「そうですよ〜。聴取は終わったじゃないですか〜〜」

紅茶の入ったティーカップを持ってきながら未来が話しに入ってきた。

「聴取をするんじゃない。未来、お前が「解きましょう」と言ったから今から解くんだ。安部先生殺人事件をな」
「ええ〜〜〜〜!?」
「・・・・」

俺がそんな事言うのが意外だったのか、未来が耳をつく声を上げた。一方間宮は、笑みをやめ顔が怖くなった。恐らく聞くのが知っていた様な感じだ。暫くして笑みを戻した。

「その事で呼んだのかい?」
「ああ。悪かったか?」
「いや、僕も聞きたいしね。君の推理を」
「推理を話すのに何個か聞く。まず、これはあくまで遊びだ。それを踏まえた上で教える、いいな」
「うん、いいよ」

笑みを浮かべ、間宮が承諾した。それを確認した優磨は髪を一回かきあげ、口を開いた。

「まず、最初に事件を解決するキーワードがある。1・凶器2・偽装工作3・焦りの三つだ」
「凶器は分かりますけど、2と3の二つがよく分かりません」
「だから、それはキーワードだ。自分で考えろ。水を差されたが本題に入ろう、安部先生の死亡推定時刻は発見される3日前の午前12時から午前1時の間。殺害された場所は資料室、滅多に人が入らない場所だ。それは先生も知ってるだろ?」
「ああ、あそこは資料室と名ばかりで何も置いてないしあまり使わない場所だったからね」
「人を殺害するには、いいところですね。だから、3日も見つからなかったんですね」
「ああ、犯人はそれを見越してやったのだろう」

つまりこう言う事だ。何年も前から人が滅多に入らない場所、自然とそこを忘れ誰も寄り付かない。犯人はそれを利用し、犯行に及んだ。
もしかしたら、このまま見つからなかった可能性もあった。

「もしそのまま忘れていれば、体は腐敗し見つかったとしても何で殺されたか特定できず良ければ捜査打ち切りになると考えたのだろう」
「なるほど、犯人はそこにしたんですか〜」
「・・・・犯人も考えたね」

優磨は紅茶を少し飲み口を潤した。未来は、間宮が飲んでいたく紅茶がない事に気付き慌ててティーを淹れた。

「ああ。話が反れた、話を戻そう。それで、安部先生を殺害した凶器は・・・・。なんだと思いますか間宮先生」
「うーーんそうだな、殺害された日ガシャーンと音が鳴ったからガラス系かな」
「そう、その通り。凶器は現場に落ちてたこの花瓶だ」

ポケットから写真を出し間宮に見せた。その隣に未来が来てテーブルに腕を着きながら見た。

「恐らくこれだよ、夜聞えたのは」
「ああ、鳴ったのはこれだよ。でも、夜じゃない。鳴ったのは早朝だ」
「え?な、なぜですか?凶器はこれですよ、何故朝に鳴るんですか?安部さんが殺害されたのは深夜の12時頃ですよ?」
「その話は後に取っておく。それより二人ともこれを見て気付かないか?」
「話を逸らさないで下さい!」
「逸らしてない、話の順序がおかしくなるから敢えて後にする」
「未来ちゃん、話を聞こう」
「ハイ」
「もう一度聞く、これにおかしな点はないか?」
「いえ、別におかしくないですけど。ねー」
「そうだね。どこがおかしいだい」

二人とも何がおかしいかよく分からないようだ。優磨は、軽いため息を吐き写真の花瓶に指を差す。

「よく見ろ、この花瓶は安部先生を殺害に使った凶器だ。それなのに破片に血がまったくついてない。しかも血の上に乗ってるのに」
「あ、本当ですね」
「・・・本当だね。でも、犯人が拭き取った可能性もあるよね」
「そんな事はしないだろう。血の着いた破片をチマチマやるよな奴はいない」

確かに、そんなめんどくさいことをやる奴はそうそういないはずだ。
まして、人を殺したんだ。そんな考え、気が動転して忘れるだろう。
たとえもし全て拭いたとしても、破片は細かくなって拾うのも大変だしまして血の上だ。拭いても意味がない。

「ここで出てくるキーワードは、1と2の凶器と偽装工作だ」

優磨は席を立ち、人差し指と中指を立て部屋を歩き始めた。

「俺の推理はこうだ。犯人は花瓶とは別の凶器で安部先生を殺害し、偽装工作のために花瓶を割り逃げた」
「何故そんなことするんですか?」
「恐らく捜査をかく乱させるためだろう。そして、その間に何処かへ逃げる。そんな感じだろ」
「なるほど〜」

未来がなぜかメモ帳を出し、メモっている。間宮は間宮でこちらに目を向け推理を聞いている。

「だけど、そこで偽装工作に問題が起こった」
「?どんな問題ですか。別に問題ありませんよ」
「その問題を解決するキーワード、3の焦りだ」
「・・・焦り?」
「そう焦りだ。犯人はあらかじめ計画をしていたんだ、だが殺害当日ある問題が起こったんだ」
「そ、その問題とは」
「犯人は、殺害した当日偽装工作するのを忘れてしまったんだ」
「へ?」

未来は裏返った声を出し、優磨に迫ってきたが優磨は後ろに下がりドアの方へと向かい手をポケットにしまった。

「つまりこういう事だ。あらかじめ計画をしていたが殺害した当日、
自分が「本当に殺してしまった!ヤバイどうしよう」等と気が動転してしまい、花瓶を割るのを忘れてしまいそのまま逃げてしまった。言う事さ」
「・・・・言ってる事は分かりました。でも矛盾しています!計画していたならそんな事は起こらないはずです!」
「人の心は何が起こるかわからないからな、殺る前は大丈夫だとしても殺った後は罪悪感と恐怖で忘れてしまう、よくある事さ」

間宮が座っている方へと足を進める。
読者のために、簡単な説明をしよう。
もしあなたがとある店で万引きをしようと考えた。だが、いざやろうとすると相手の店に対してや家族などいろんな事を考えてしまい止めてしまう。こんな所だ。優磨は、その心理を使いこれを推理した。

「納得はいきませんが、この場は納得しましょう。でも、ここでまた矛盾が出てきますよ。ほら現場に花瓶が落っこちてましたよ、そこはどうするんですか?」
「答えは簡単だ、後でやれば良い」
「後で?」
「ああ、犯人は殺害した二日後割るのに気付き急いで花瓶を割りにいった。その証拠に写真を見ろ」

机に置いた花瓶の写真を指差し未来はその写真を凝視する。そして、「あ!」っと声を出し写真を持ち上げ続いて「分かりました!」と声を出した。

「その証拠は、血です血!これが証拠です!」

またまた解説しよう。人間の血は、時間が経てば固まり固体になってしまう。それによって、花瓶に血は着かず後から割ったと言う事になる。

「そうだ、これでキーワードの焦りは終わりだ。これを踏まえたうえで事件の本題に入る。1・本当の凶器は何か2・犯人は誰かだ。これをこれから明かす」
「それで、犯人は!?」
「犯人は・・・」

優磨は暫く沈黙し、テーブルに近づきポケットに入れた右手をゆっくりと上げ指を指した。未来は指を指した方向見た。その方向には・・・・・。



            「間宮孝則アンタだ」


「這這狽ヲーーーーーー!!」
「・・・・・・・」

間宮はいつの間にか閉じていた目をゆっくりと開け、優磨を見た。
その目はいつもの目ではなく怒りと恐怖の目をしていた。そして、紅茶を飲み笑みを浮かべながらゆっくりと口をあけた。

「何故僕だと分かる?犯人と決定付ける証拠でもあるのかい」
「そ、そうですよ優磨さん!!証拠でもあるんですか!?」
「証拠はある、決定的なものが。それが本当の凶器だ」

指を下ろし、また右手をポケットに入れ歩き始める。

「本当の凶器が証拠と言うのならそれをみせてくれないか?」
「無理だ、それにはあんたの許可が必要だ。あんたが良いと言えば見せてやる」
「え?え?ど、どういう意味ですか?」
「つまり、本当の凶器は間宮の家にあるのさ」

机に両手をつき、間宮を見る。一方未来は訳が分からずハテナマークを飛ばしている。

「その凶器は・・・・・レンガだ」
「れ、レンガ??」
「ああ、間宮の家に行っただろ。そのとき庭にレンガが置いてなかったか?」
「・・・・・・・・・・・。あああああ!」
「そう、アレだ。アレを使って殺害し、庭に埋めバレない様にした」
「で、でもその理由は!?」

優磨はバックから一昨日未来に貰った紙を取り出し机に広げ、指を指す。

「一昨日お前に調べてもらったろ?これで分かったんだ。ここに「死因は鈍器による物だが傷口と花瓶を照合した所合わなかった」と書いてあるだろ。それで、レンガを思い出しこれだと分かったんだ」
「本当ですね。でもそれだけじゃ犯人とは決め付けられないですよ?」
「まったくお前は質問が多いな」
「読者のためと私のために行ってるんです!」
「はいはい、分かった言うよ。俺は昨日、間宮の家に行ったんだ。そして一個ずつ調べたら確実にレンガに色の合わないやつを見つけたんだ。すぐに調べれば分かる」
「な、なるほど〜〜」
「どうだ間宮、これで何か言えるか?」

間宮に問いかけると笑みは消え沈黙していた。
意を決したのか笑みを浮かべ口を開いた。

「まさか、遊びで僕のトリックが暴かれるなんてね。すごいね優磨君、何か習ってたの?」
「いや、情報を駆使して解いたまでだ。それより、安部さんを殺害した理由はやっぱり金か?」
「いや、それとは別に理由があるけどプライベートだから言えないね」
「別に言わなくていい。ただ確認しただけだ」
「そうか・・・・。ふぅーーーー。さて」

間宮は席を立ち、ドアの方へと向かう。

「どこへ行くんだ」
「もちろん警察さ。もう会う事はないと思うからじゃあね」

部室のドアを開け、去っていった。未来が後を追いかけたが間宮の姿はなかった。優磨は伸びをして自分のと未来のバック持ち、未来に投げる。

「さて、俺は帰るぞ。お前も帰れよ、もう5時だ」
「・・・・・・・・。間宮先生が犯人だったなんて」
「人は見かけによらない。それだけだ」

優磨もドアを開け部室を出た。いつの間にか緊張していたのが嘘のように楽になった。もう終わった、フゥー疲れたと呟き校舎を出て行った。
その後に、未来が走って追いかけてきてなぜか一緒に帰った。






エピローグ
アレから数週間後。その後間宮がどうなったか知らないが、未来の話によると警察に出頭に服役中だという。
容疑者に上げられた天見の疑いも晴れたが、何日かして地方の高校に行ってしまった。
未来と優磨はまた平凡な生活に戻った。
だが、またもや問題が襲った。
その話は、また会う日まで・・・・。



推理〜Inference of God

END
後書き
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