真っ赤な炎が飛び交う。
炎をかき消す水は飛び出した葉に切り裂かれ、その葉はさらに黒い液体に当たり溶けて消えていく。
全速力で駆け抜けていた人間は地面の上に落ちて広がった黒い液体を踏み付け、靴の裏を溶かした。
一瞬にして原型の判らなくなった靴の底を見て、走っていた人物はぎょっとして立ち止まり、追手へと赤茶けた瞳をもって睨み付けるような視線を送る。
「何すんだっ、グリーン!?
 足が溶けたらどーするつもりだったんだよ!?」
片足でぴょんぴょんと飛びながら レッドは体を180度回転させてから緑色のポケモンにつかまって背後の人物に怒鳴りかけた。
ツンツン頭に今風のシルバーアクセサリーで首元をかざったグリーンと呼ばれた男は、
まるで抗議の声を聞かず真正面のレッドへと向かってため息混じりの声で言い返す。





「仕事サボって逃げ出す方が悪い。
 ったく、テメーが言い出したことなのに面倒なこと押し付けて逃げてんじゃねーぞ?」
全てのセリフを言い切ったとき、グリーンの足元にトゲトゲした水色のポケモンがやってきて、ぴったりと寄り添う。
高い背をかがめて鼻先をくしゃくしゃとなでてやると、水色のポケモンは嬉しそうに目を細めてから、レッドへと向かってするどいツノを向けた。
逃げ出せば攻撃するぞ、とばかりに。
レッドは軽く息を吐くと 苦笑しながら軽く首をかしげて見せた。
「わぁーるかったって、いてもたってもいられなかったんだよ!
 ちゃんと連絡してきゃ問題ねーだろ?」
「大アリだ、連絡どーこーで解決するコトじゃねーっての!! っとに、テメーは9年前といい5年前といいホウエンの時といい、後先考えずに行動するな。
 もう18だろうが、少しは落ち付きやがれ!!」
「しゃあねーだろ!? あいつ独りぼっちなんだよ、誰かが行って守ってやんねーと・・・!!」
「だからってトレーナーポリスの仕事抜け出すな、あいつのことならすぐにでも手配するっつーの!」
「うわっ!!」
「だっ!?」


突如として真横から大砲のような水が襲いかかり、レッドとグリーンは同時に吹き飛ばされた。
2メートルほど飛ばされてからきょとんとした顔で水の飛んできた方向に目を向けると、茶色い髪をたらした18、9ほどの女が2人の方を見つめている。
隣にはポンプを背負った青色のポケモン。 そのポケモンの背中から水がしたたり落ちている辺りから見ても、彼女の仕業に違いない。
「なっにするんだよ、ブルー・・・!」
「『ケンカリョーセーバイ』でしょう?」
悪びれもせず言い放つブルーに、グリーンはうつむいて「ダメだ、この女・・・」と彼女に聞こえないようにぼやく。
あまりに唐突なことに怒ることも出来ずポカンとしているレッドを軽く見てブルーは軽く髪をすくと、
反対側の手を2人へと向かって差し出した。
細い人差し指と中指の間に、ピンク色の小さな紙が挟まっている。
少し驚いたような顔をしたレッドとグリーンに対し、ブルーは自慢げに笑うと指に挟まった物体を口元へと持っていった。
「ミュージックグループ『ピンクサファイア』のルビーと、世界を救ったヒーローサファイア・・・からよ。
 確かに、今 迫っている危険もあるのだけれど、読んでから出かけても遅くはないんじゃない?」
レッドとグリーンの目が少しだけ見開かれた。
そこまで計算済みなのか、2人のことを気にしていないのか、ブルーはその場に座り込むと小さな封筒のノリを開く。











同じ頃、クリスとシルバーは そろって目を点にしていた。
2人の真ん前では、後ろ前に被られたゴールドの帽子、ひたいの部分にあたる場所・・・つまりは後頭部がはっきりと見える。
そのくらい深々と頭を下げられているわけで。
いまだ混乱の治まっていない様子のシルバーは、もう1度ゴールドに問い直す。
「・・・ちょっと待てゴールド。 今、何て言った?」

ゴールドは顔を上げると目の前にいる2人の顔を見比べて、真顔で言い返す。
直視することにすら抵抗のあるような金色をしていた瞳も 今では深い深い、純粋な黒色をしている。
この少し前にクリスがそのことを問いかけたところ、「守る必要がなくなったってことだから。」と、全く意味の判らない返答をしたくらいで。
周囲は混乱するばかりだが、彼自身はさほど気にしてはいないようだった。
「だから、言ったままだって。
 僕は初めて会ったときから、クリスのことが好きだった。
 だけど、すぐにクリスとシルバーがイーイ感じだな〜っと思ったから、さっさと身を引いて
 今の今までそのこと隠してた。 そのこと謝ってるんだよ?」
「・・・はい?」
クリスが気の抜けるような声を上げる。
シルバーに至っては 返事を考える気力すらないようだ。
それをいいことにゴールドは頭の後ろで手を組むと、とても楽しそうに笑いながら口を動かした。
「あー、スッキリした! 3人無事にワカバまで帰れたら言おう言おうと思ってたからさ。
 ココロに鍵かけとくのもラクじゃないんだよね〜・・・何でしょう、シルバー君?」
「・・・・・・つまりはだ、ゴールド。
 4〜5年前から、おれとクリスが一緒のときにワケの分からねぇイタズラしたのは・・・」
肩が震えるほどの感情を出来るだけ隠そうとするシルバーを、ゴールドはにんまりとして見つめる。
困り果てて物も言えないクリスをチラリと見ると、1度うなずいてからゴールドは1歩後ろに引いた。

「うん、大体僕だね。 ディアの『でんじは』に、ホワイトの『ねんりき』に、じょおうの『あまごい』に『みらいよち』と、後は・・・」
言いながらゴールドは1歩ずつ後ろに下がる。 シルバーが予想通り怒りながら前進してくるからだ。
数を数えるようにして折り曲げていた指を走りやすいように元に戻すと、ゴールドは体をひねって2人の元から逃げ出した。
その後をシルバーが追いかける、やや意味不明な言葉を口走りながら。
逃げるゴールド、追いかけるシルバー。
逃げるゴールド、追いかけるシルバー。
逃げるゴールド、追いかけるシルバー、状況についていけないクリス。
逃げるゴールド、追いかけるシルバー。
逃げるゴールド、追いかけるシルバー、何も知らない郵便屋。


「すいませ〜ん、郵便なんスけど、リーブスさん家ってどこか知りませんか?」
新米らしい郵便配達の青年に気付くと、クリスは目の前で繰り広げられている不毛な鬼ごっこから目を離して赤い自転車へと近づいた。
手紙やら封筒やらがぎっちりと詰め込まれている荷台の箱を見ると、後ろで走り回っている2人を指差してから笑ってみせる。
「ゴールドの・・・リーブスさんの家なら、この道をあと1キロ半ほど行ったところですよ。
 後ろで走り回ってるのが そこの家の子なんで、今日は私が彼に渡しておきますよ。」
「あ、スイマセン。 ところで・・・あなたひょっとしてポケモンリーグ優勝者のクリスタルさん?」
「アハハ、そう見えます? よく言われるんですよ!」
笑ってごまかしながらクリスはゴールドの家にきた郵便物を受け取った。
思っていたよりも多い封筒の山は、大半が彼の母親充てで、残りはファンレターらしき物と、電話料金やポケモンリーグなどの事務手続きの必要な書類。
何気なく封筒の表面を見ていたクリスは、そのうちの1通を見て大きく目を見開かせた。
味気ない茶色の封筒を、全世界にでも見せたいのかというほど高々と掲げると、胸の底までふくれそうなほど大きく息を吸い込む。

「・・・ッゴールドォ――――ッ!!!」
「何ぃ?」
急ブレーキをかけるとゴールドは体の向きを変え、クリスの方へと走り寄ってきた。
方向を変えられ転びそうになったシルバーが 思わず拍手したくなるほどの宙返りの後、追いかけて走ってくる。
このまま2人が停止したらぶつかるんじゃないかと思いつつ、クリスは郵便物の山の中にあった茶色い大きな封筒をゴールドへと差し出すと、
満面の笑みでその中身を説明する。
「合格通知!」
「本当ッ!? あ、ホントだ!! シルバーッ、受かった受かった! PMD試験・・・わっ!!?」
クリスの予想通り、振り向いたゴールドと追いかけてきたシルバーが見事なほどに正面衝突して、2人とも派手に転倒した。
ぶつかった頭をさすりながら起き上がると、ヘラヘラッと笑いながらゴールドは封筒の表面に書かれている『合格通知在中』の字を見せる。
今まで怒っていたのもどこへやら、シルバーの顔にパッと赤みがさしクリスですらあまり見ないような笑顔へと変わっていく。
「お母さんにも見せてくる!」
立ち上がって腕や足の泥を払うと、ゴールドはクリスに1度向き直って声を上げる。
腕の中にある手紙の山に気付き、クリスがそれを渡そうとしたとき、ふと他の事務的な書類の中に混じった封筒を見つけ
クリスは走りだそうとするゴールドに視線を向けた。

「待って! ゴールド!!」
立ち止まって怪訝(けげん)そうな顔を向けるゴールドに向かって、クリスは手紙の山の中からピンク色の封筒を引っ張り出し相手へと向けた。
大きな瞳が1度瞬かれると、クリスは笑って2人に向かってしっかりとした声を上げる。
「ルビーと、サファイアから。」





 『拝啓(はいけい)、親愛なる先輩方へ。

  元気にしているでしょうか? 元気にしていると思います。
  あたし、ルビーこと瑠璃 遥(るり はるか)と、サファイアこと小田牧 雄貴(おだまき ゆうき)はとても元気です。


  ポケモンリーグから1週間ちょっと経って、ようやくこっちは落ち着いてきました。
  テレビやラジオで流れているから事情は分かると思いますが、
  ポケモンリーグの1件では、予想通り各方面の方々から散々お叱りを受けました。
  でも、奇跡的に優勝権利はくだつ等のおとがめはなく、あたしは無傷だしサファイアもギリギリ軽傷で済みました。
  今は一旦ミシロの家に帰って、平おん無事な日々を過ごしてます。
  昨日初めて知ったんだけど、もうすぐサファイアの誕生日だそうです。
  どうりで子供っぽいと思った・・・じゃなかった、プレゼントを何にしようか、考えているまっさい中です。
  ・・・っていっても、もう決めてあるんだけどね。 急にやることなくなって、あいつだいぶ、ふ抜けてるみたいだから。


  先輩方、あたし、まだまだ暴れ足りません。
  旅してる間、つらいことなんていっぱいあり過ぎて数え切れないくらいです。
  だけどそれ以上に、ココロの中がキラキラしてる。
  たとえ、どれだけ強く打たれたって、削られたって、宝石みたいに輝ける時間が1番好きです。
  1年の間に積み上がっちゃった仕事はてんこもりです。
  勝手に抜け出したりしたら、マネージャーさんが今度こそショックで倒れそうだから、しばらくはアイドル活動続けなきゃ。
  しばらくしたらオンエアが始まると思うので、その時はホウエンにいる変わり者の2人のことを思い出して下さい。
  『Pink=SapphireのRuby』の名前を聞かなくなったら、話の長いマネージャーさんがショックで倒れていると思っていいです。

  みんなに助けられた命、大切にします。
  やっぱりあたし、ポケモンが好き。
  ポケモンがいて、たった1人だけど家族もいて、こんなにステキな先輩方もいて、サファイアだっている、この世界が好き。
  それはテレビ画面やラジオの音の中からじゃ、感じられません。
  だからきっと、あんまり長い間は持たないと思う。
  作り物なんかじゃない、本物の世界を求めて、あたしは旅立ちます。



  先輩方、警察官に学者にお医者サマ、お仕事お疲れ様です。
  お体には気をつけてがんばって下さい。

  ―ルビーとサファイアは、今日も明日も元気です。』





「・・・『P.S:新しい曲出来ました。 旅の間にお世話になった人たちに捧げます。』」
サファイアに教えてもらった 高台からの眺めは最高だった。
カントーやジョウトのような沸きあがるようなにぎやかさはないものの、ホウエンは静かで、人も、自然も、気候も暖かい。
見ているだけで沈み込んでいってしまいそうな、深い青色の海をもう1度黒い瞳に映すと、ルビーは灰色の階段を降りて小さな町を歩き出す。

ひゅうっと暖かい風が吹き、茶色みを帯びたルビーの髪をなでて笑った。
「もうすぐ春だよ」と告げる 風にルビーは笑いかけると、待ち合わせていない人の元へと向かって歩き続ける。
空から、海から、大地から聞こえてくる音楽に合わせて、小さな声で歌いながら。



「・・・あ、」
鼻をひくつかせると、サファイアは寝転がっていた小さな木の根元から頭を持ち上げた。
起き上がると 既に太陽はかたむき、ひざの辺りまで長い影を作り出している。
少し冷えた体をこすりながら辺りを見回した後、そっと目を閉じると、高い声で唄われる小さな歌が 耳の奥底に響いてくる。
「・・・ルビーの歌や。」
隣で寝ていたカナの頭のヒレが ピクッと反応した。
薄く目を開けて、立ち上がる主人の背中をじっと見ると 何事もなかったかのように前足の中に頭を隠す。
地面を蹴って走り出す音は ちょっとうるさいけど、いつものこと。
きっと叫び声にも近い大声だって 聞こえてくるんだろうけど、いつものこと。
カナは気にしないことにしていた。 まだ、そんなに大きなニュースではないだろうから。





飛ぶようなスピードで走ってくる少年に気付くと、ルビーは口元に手を当ててクスクスと笑った。
そんなに急がなくても逃げやしないのに。
彼女の考えをよそに、ご丁寧に ランニングシューズのスピードアップ機能を使ってまで走ってきたサファイアは
ルビーの直前で停止すると、はぁはぁと息を切らして笑いかける。
「帰ってきてたんか、ルビー!」
「あーあ。 いきなり行って驚かそうと思ってたんだけど、上手くいかないね。」
「つれないなぁ・・・仕事仕事っちゅうて、なかなか会えひんいうのに。」
おどけるサファイアの顔面に ルビーの『みねうち』攻撃が飛んでくる。
眉と眉の間を軽く押さえながら、サファイアは楽しそうに話しながらコロコロ変わるルビーの表情をずっと見ていた。
驚いたかと思えば笑ったり、そうかと思えばちょっと怒ったような顔になったり。
飽きもせず延々とサファイアの知らない世界のことを話していたルビーは、ふと、顔を上げると茶色い瞳でじっとサファイアを見つめる。
反射的に顔を赤くして、身をこわばらせたサファイアを指差すと、ちょっとだけ眉を潜めて唇を動かした。
「また、寝てたの?」
「へ?」
「口の周り、よだれ。」
えっ、と声を上げるとサファイアは慌てて 服のそでで口の周りをごしごしぬぐった。
テカテカした物体を見て「あちゃあ」と自分で自分のひたいを叩くサファイアを見て、ルビーは呆れたように腰に手を当てる。

「そんなんじゃ、『サファイア』になるのは、まーだまーだ先の話だね。」
「なっ、なる言うたらなるんじゃ!!
 ルビーのおかん超えるくらいの スーパーウルトラ超ビッグな商人(あきんど)になって「おんどれしました」言わせたるわ!!」
高らかに笑うと、ルビーはサファイアの肩を叩きながら親指を立てて見せた。
それを見てサファイアは口元をゆるませると、調子に乗って自分が面白いと思えることを手当たり次第に話し出す。
腹痛を起こすのではないかというくらいまでルビーを笑わせると、ふと言葉が切れた瞬間サファイアはあることを思い付いた。
笑い過ぎで涙の出てきた目をこすりながら顔を上げた彼女に、わくわくした顔をしながら尋ねてみる。

「なあなあ、ワシがもし『サファイア』超えるくらいの大商人になったら、何かくれるか?」
一瞬きょとんとした顔をすると、ルビーはサファイアにもたれかかるようにしてまた笑うと、顔を上げて見せる。
ちょっと動いたら くっついてしまいそうな距離感に、顔を赤くするサファイアを見て、いたずらっぽい表情をすると
ルビーはサファイアの耳元に口を近づけて、ささやくような声で言った。


「キスしてあげるよ。」

脳神経までショートして、首まで真っ赤にしながら1メートルほど飛ぶように後ずさるサファイアを見てルビーはクスクスと笑う。
「ウソじゃないよ?」
何かを言いかね、あごをカクカクさせるサファイアに黒い瞳を向けて、
今にも壊れそうな車のように プスンプスンとあらぬ方向へと向かって歩き出した彼を、面白そうな顔で見送る。
右に左にふらふらと揺れながら歩き、ゴンッ! と派手な音を立てて手近な木にぶつかると、サファイアはとことことこと戻ってきた。
悪いことをしているわけでもなかろうに、何故か口を固く結び、ビクビクした様子でルビーへと話しかける。
「前払い・・・」
「?」
「前払い、でけへんか?」
ハタから見たら挙動不審、ルビーから見ればガッチガチ。
ルビーは、肩が上がりきってほっぺたの筋肉が不自然にピクピク動く少年を見ると ちょっとだけ目を開き、
また、クスクスと笑って小さくうなずいた。

「いいよ。」
「ホンマ!?」
ダメダメダメダメダメで元々で言ったサファイアは、思わず声をひっくり返して聞き直した。
うすーく目を伏せると、ルビーは上目づかいに相手のことを見て、小さく小さくうなずく。
「目ぇ、つぶって。」
吹っ飛びそうになる心臓を何とか押さえながら、サファイアはぎゅっと両目をつぶった。
破裂寸前の風船のようなサファイアを見て、ルビーは息をつきながら笑った。
出会ったばかりの頃、背が自分よりも小さかったのがやけに印象に残っていたというのに、今じゃ、すぐにでも追いこされそうだ。
体つきもずいぶんたくましくなったし、肌も少し焼けている。
どんなポケモンよりも頼もしく感じられる腕に触れると、
ルビーはこの1年間のことを思い出しながら、そっと顔を近づける。



  ちゅっ。



「・・・・・・・・・・・・?」
みょーに硬い感触に、サファイアは目を開けた。
目の前には鳥のクチバシ、持ち主はバシャーモのイオン。
「いやーん」と困ったように前足で顔を隠すイオンをよそに、石化したサファイアがギギーッと音を立てて首を回すと、
イオンの後ろで、ルビーが腹を抱えて笑いをこらえている。



「・・・『くーりんぐおふ』じゃあっ!!」
泣きながらサファイアは叫んだ。
こらえ切れずにルビーは大笑いすると、事情をつかみ切れていないイオンを連れて走り出す。
「ちょー待ちっ、ルビーッ!! ウソつくと『どろんぱ』にヘソ取られるんやで!?」
「成功したらの話で、前払いなんて言うサファイアが悪い!」
「ルビーッ!!?」



 『はいけー、ゴールドとシルバーとクリスとレッドとブルーとツンツン頭へ。
  ルビーが手紙りょう方いっぺんに出すっていうから、どっちがどっちにとどくか分からへん。

  ルビーは元気です、ワシも元気です。
  もうすぐ店を開きます、何でもやです。
  ワシはがんばってます。
  だけど、ルビーには、どうしても勝てなさそうです。』


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