〜最終決戦・十四〜



 「まずは4人の内、一番うざ〜なやつから狙っちゃおうかな」


 ・・・・・・


 破壊の能力者、カータのレアコイルの攻撃
 それにより音もなく、ただひとつ残された靴

 レッドは声をあげた

 「トウド博士!?」

 彼は確かあの辺りに逃げたはずだ

 「よォ〜し」

 ぐっとカータが小さくガッツポーズを取る
 おろおろとルネが落ち着かず、彼女の周りで手をやきもきさせている
 
 「・・・・・・ふぅ〜」

 上空からひとつ息をつくような、そんな声がした
 そういえば、彼が出したポケモンはカイリューだった

 「っち、うざ〜」

 カータが舌打ちし、首を傾けた
 トウド博士は含み笑いをしている
 
 「空はいいね。空は広くて、沢山逃げ道もある」

 「へ〜、あんた、空でなら逃げ切れるって言いたいの?」

 カイリューの手につかまり、ぶら下がってトウド博士がカータを見降ろす
 そういえばトウド博士はあの待機キューブで、カータを無茶苦茶に挑発していた
 一番うざ〜奴に認定されていてもおかしくないな、とキョウは影ながら納得する

 「・・・いや、にしても賢明だ。4人のなかでまず誰を狙うべきかよくわかっているじゃないか。頭の悪そうな濃いメイクし」

 「レアコイル」

 上空にいるカイリューに、レアコイルの砲身が向く
 一瞬でも光るのを真正面から見えたら、アウトだ
 トウド博士のカイリューがすぐに逃げるが、レアコイルはちょっと向きを変えただけですぐに追いつく

 逃げ切れない

 「ブイ、スピードスター」

 星状のエネルギーがレアコイルに直撃するものの、体勢は殆ど崩せない
 タイプ不一致の上、鋼にノーマルは相性最悪
 遅れて、レアコイルの身体が一瞬光る

 またしても音のない攻撃
 レッドのおかげでわずかに逃げられたカイリューは直撃だけは避けたが、うめき声をあげてバトルフィールドへ落下していく
 
 「まず1体、かな〜?」

 カータは笑う

 レッドが鉄壁の蔭を利用しながら、ささっとカイリューが落ちた付近まで走り寄ると先にキョウが来ていた
 しっ、と唇に人差し指を当て静かにするよう声のないコミュニケーションを交わす

 「(大丈夫なのか?)」

 「(ああ。何とか)」

 見ればカイリューの下半身が丸ごと黒ずんでいる
 どんなダメージなのか、よくわからないが消滅したわけじゃなさそうでほっとする
 それでも戦闘不能直前、ぎりぎりといったところだ

 小声で、波音にかき消されるくらいの声量で会話をする

 「心配しなくてもいい。キョウの能力がある」

 トウド博士はひらひらと手を振って応える

 「そうなのか」
 
 「ああ。どんな傷でも問題ない。だが、少し時間がかかる」

 「時間稼げ、ってことか?」

 「それほど大層なものではない。もう治療は始まっている」

 ずぶぶっと地面からベトベトンが姿を現す
 アスファルトなどに溶け込めるのはこのポケモンの生態でもある

 「!」

 「わずかな時間でいい。やつの気を逸らしてくれ」

 「わかった」

 レッドが走り、鉄壁から飛び出すとレアコイルがまた光っている
 まずい、カイリューに追い打ちをかける気だ

 そして、キョウ達が陰にいた鉄壁がまるごと視界から消えた

 「っ!」

 あの攻撃、本当に防ぐすべはないのか
 レッドは立ち往生することも許されないんだ、と爪先に力を込めて地面を蹴って鉄壁の蔭に隠れる
 
 するとレッドの足元に紫色の染みが広がっていく
 それをじっと見ていると、やがて盛り上がっていき・・・大きなヘドロの塊が現れる

 しゅばっとヘドロが、風呂敷包みのように開いていくとなかからカイリューやキョウ、トウド博士が出てくる

 「ククク、これぞベトベとんの術・・・」

 かつてカントー四天王の事件の舞台になったスオウ島で使用した、キョウの脅威の移動術
 バトルフィールドの下が都合良く空洞のような移動出来るものだったことが幸いし、またレッドの足音から逃げる方向を定めたらしい

 「礼を言うぞ」

 「え? あ、ああ」

 正直、何もしていないと思うが礼を受け取る
 と、ここでトウド博士のカイリューを見て驚く

 見ればカイリューは毒に侵されている、ベトベトンに包まれたせいだろうか
 いやこれは『技・どくどく』による猛毒状態、そのせいで顔色は真っ青だ
 こんな追い打ちをかけて、大丈夫なわけがない

 「何考えてんだよっ?」

 「ククク、見よ、私の能力『百薬の長』、反転!」

 しゅううううとカイリューの顔色、黒ずんだ下半身の色が元に戻っていく
 ひと目見ればわかるほど、完全回復を果たしている

 「これは・・・!」

 「薬も過ぎれば毒となる。ならば、その逆も然り」

 キョウの能力、百薬の長
 ポケモンが侵されている毒を薬、まんたんのくすりやかいふくのくすりへと体内で変換させるのだ
 毒ならまんたん、猛毒ならかいふくのくすりに・・・・・・2ターン近くかかるなど制約はあるが強力な回復能力だ
 一度毒状態にさせるというのはポケモンに負担をかけるが、それを帳消しにすることも可能

 「助かったよ」

 「ああ。だが、この治療にはどくどくのPPの限りだぞ」

 「そしたらヘドロばくだんでもぶつけてよ、手加減してさ」
 
 トウド博士がカイリューをぽんぽんと叩いて、具合を確認する
 しかし、トウド博士が指示してカイリューが尾を振って、キョウとレッドを鉄壁の蔭から吹っ飛ばした

 「!!?」

 また鉄壁、その周辺が消し飛んだ
 トウド博士は鉄壁に阻まれた状態で、破壊の能力者の攻撃を察知したというのだろうか
 
 「危ないところだったでしょ」

 「もう少し優しく扱ってくれよ」
 
 トウド博士はまた空に逃げている
 あたたたたとレッドは地面を転がって、ちょっと文句を言った
 だけど、助かった
 やはり固まっていると狙い撃ちにされる、というか今位置がばれたのはカイリューの図体の所為だが
 
 「てか、破壊の能力者の攻撃タイミングがわかるのか?」

 「んー、まぁ何となく」

 確かにトウド博士は氣などの感知に優れたところがあった
 しかし、タイミングがわかったところで防げるものじゃない

 「もう少しデータが欲しいな。そしたらあの攻撃の正体がわかるかも」

 カイリューが突然、急降下する
 レアコイルがその方を向いていたことに後から気づき、その直線軌道上にあった雲に不自然な△の穴が開いていた
 お喋りも許されない、本当に為すすべがないくらい速い

 「そういやイツキは?」

 「単独行動で機をうかがっているんだろう。勘付いているはずだからな」


 破壊のレアコイル攻略法、その1

 レッド達が分かれて、回り込むように距離を取り始める
 流石は戦う者を筆頭にした実力者達、声に出して言われなくても同じ対策を取った

 砲身の真横に回れ!

 あの△の穴が前後関係のない砲身というなら、完全に見えなくなる「真横」に回れば・・・あの光速級の攻撃も直線軌道である限り当たらない

 「うざ〜」

 カータが面倒臭そうにつぶやくものの、笑っている
 するとレアコイルの1体1体が、その身体や目をぎょろぎょろっと四方に動かし始めた
 レアコイルは群体・・・・・・3つのコイルから成り立ち、それらを時に切り放し別個としても扱えるボディに死角は存在しない
 3体の位置を組み換え、瞬時に身体の向きを変えてくる


 見つかったのはキョウだ
 ベトベトンの遅さがあだになったのか

 「!!!」

 ボッという音がわずかに聞こえた気がする
 
 ・・・キョウの、ベトベトンの身体の一部が消えていた
 ごっそりと欠けたように、痛々しい

 「(おおおおおおっ!?)」

 声にならない、レッドの足も思わず止まる
 ベトベトンが遅いとはいえ、忍びを自負するキョウなら隠れようは他にもあったはずだ
 何かに気を取られて、光速の攻撃に反応が遅れたのかもしれない

 「ブイ、サイコキネシス!」

 キィィインと念波を飛ばすが、効果は薄い
 それどころか相手に位置を把握され、また光ってくる直前でレッドは離脱する

 「・・・?」

 もぞもぞと身じろぎをするキョウのベトベトンが、にゅるんと身体を元に戻した
 まるでじこさいせいのようだが、そんな技おぼえない上に・・・かいふくのくすりでもあそこまでごっそりいった身体の欠損はすぐには治らないはずだ
 
 「みがわりを身体のなかに仕込んでおいたのよ。そうすることで身体の容積を増やし、致命傷を免れさせたまで」

 自分を追い詰め、身を削ることに耐え抜いてまで得る勝利
 それは本来忍びには許されない、滅私奉公からはずれた行為

 「なんでまた・・・」

 ただみがわりするだけでも良かっただろ、とレッドはその場を離れながら思うが違う
 それではわからないのだ、知りたいのはあの技を食らったらどうなるのか
 鉄壁は消滅するのに、カイリューは黒ずんだだけだ
 そして、ベトベトンのダメージ状況

 そうしたデータ、それさえ提出すれば・・・破壊のトレーナー能力を解析してくれる
 利害一致の目的で繋がっただけの、頼れる変人博士


 「ほーほー、ナ・ル・ホ・ドね」

 カイリューにつかまって空を飛ぶトウド博士が頷き、レアコイルの方を見る
 それからカータを見て、パチンと指を3回はじく

 「まだデータが足りないな」

 絶え間なく寄せては引く波や風の音に混じって、ザザザザァアアと何か大きな音が割り込んできた
 カータとルネがちらっとその方を見てみると、ルネが「うううううぅうわわわ」と奇声をあげて跳び上がった

 「カイリューのなみのり」

 横に凄まじく広い、このフィールドを呑み込めそうなほど大きな津波が押し寄せてきている
 周囲が海というこの技に最高の状況だからもあるのか、通常のなみのりの倍ほどの規模だ
 というか、この技はダブルバトルでもお馴染み・・・敵味方関係なし
 ・・・あんななみのりに巻き込まれたら、フィールドから押し流されて・・・下手すると海の藻屑になる
 
 「レアコイル」

 カータはびくつくルネをぐいと押しやり、津波に向かって指を指す
 光ったレアコイルが向いている先、その津波にどでかい△の穴が出来る

 その大きな穴から津波の形が崩れ出し、上の方の海水を支えきれなくなったようだ
 どばばばばばと派手な水音を響かせながら、無様な形に潰れ・・・・・・なみのりは不発に終わる
 
 「・・・!」

 一撃であの津波を制された
 カータは「うざ〜」とつぶやきながら、次にトウド博士を指差そうと振り向く

 「あいにく威力より規模を優先させたんでね」

 トウド博士はそうつぶやく
 確かに威力のない津波は簡単に崩れたのだが、一度持ち上がった大量の海水は勢いづいたままこちらに向かってくる
 カータが振り向くのをやめ、もう一度津波のあった方を見て指示を出そうとするが少し遅かった
 バトルフィールドを半分ほど浸すほど海水が乗り上げてきて、カータとルネはその跳ねてきた波飛沫に顔を覆った

 トウド博士が「狙い通り」と不敵に笑い、ここぞとばかりに指を鳴らす

 「はかいこうせん」

 狙いは勿論、波飛沫に気を取られたカータとルネ

 レアコイルを一切狙わない、完全なトレーナー攻撃
 カイリューは光線を吐き続け、上空に留まる

 それは余裕そうに鉄壁の蔭にすら隠れない破壊と再生の能力者に直撃したかに見えるが、断定はしない
 そういうフラグが立つからだ、とトウド博士は頭をかいた

 「1分だけ黙っててくれ」

 トウド博士は再びパチン、と指を鳴らす

 それだけの為に普通のトレーナーなら重傷どころか死んじゃう攻撃をしたらしい
 しかし、こうでもしないとレアコイルがばんばん反動なしで撃ってくるから仕方ないと自分を納得させている
 長く残る光線を吐き続けるカイリューから傍の鉄壁に跳び移り、更にベトベトンをクッションにするように飛び下りた
 みがわりが大部分だったとはいえ、ダメージを受けたポケモンの上に・・・・・・どこまでも自分が過ぎる男だった

 「さて、破壊に対するイメージというものはあるかな?」

 唐突に、格好つけにしか見えない指パッチンしながらトウド博士はそう聞くようにつぶやいた
 キョウはふむ、と少し思案するようにアゴに手を置く

 離れたところにいるレッドが思うに、こう鉄球とか重いものを振り回して砕いたり壊したりするものだ
 少なくともレーザーのような攻撃ではないし、あのレアコイルの破壊は消滅といった方がしっくりくる
 
 「簡単に言うとあのレアコイルの光撃は、膜状の破壊エネルギーに包まれた棒状の破壊エネルギーの束・・・三角錐型の光弾を放っていると見るべきだ」
 
 膜状と棒状の束?
 破壊エネルギー?

 「破壊エネルギーは質量を持った光と仮定して、その棒状のものを束にする。
 それを光速で放つとどうなるか、想像つくだろう」

 トウド博士は頭の上に手を置き、ぱちんと鳴らした

 質量を持ったもの、例えば鉄の棒を投げれば当たったものに穴が開く
 
 「光線の軌道上のものが消滅しているんじゃない。速さと重さが相まって、当たったところだけくり抜かれているんだ」

 つまり消えたように見えた鉄壁や床はくり抜かれたように吹き飛んだあとであって、今も海の底に沈んでいることになる
 攻撃エネルギーによって燃え散ったわけではないのだ

 「凄まじい重さと速さが相まったものなら、綺麗にくり抜かれたようになるだろうが、そこに破壊エネルギーの特性が絡んでいるのには間違いない。
 膜状に包まわれている、というのは余計な破壊を生まない為のものだ。通常、懐中電灯の光のように、光線というもののすべからずその軌道上に指などの異物を入れることが出来る。
 だが破壊という行為は無差別ながら、余計なものを巻き込まない美徳がしかるべきだ。故に破壊のエネルギー光線はその軌道上、横から異物が入り込まないように膜状の破壊エネルギーで包まれているのだ。
 正確に言えば直線軌道の光線エネルギーに膜のように螺旋に近い流れでまとわりつき、外から内・内から外に向かってはじく方向性を持つエネルギーだろう」


    ↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓  ◎
 <<=\=\=\=\=\=\ ◎   (レアコイル)
    ↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓  ◎

 「膜状の破壊エネルギーの効果はそれだけじゃない。
 射光方向をより正確にし、放出中に無駄にエネルギーを拡散させない。
 放ってからの最大威力を常に保っていられるんだ」

 トウド博士得意の、悪い癖・一気喋りだ
 相槌も返せないほど話についてこられなくても、がんがん進めてしまう
 その合間もぱちんっぱっちんと指を鳴らし、たまにポーズを取るのがなんだか目障りだ
 
 「破壊エネルギーの恐るべき特性は、恐らく『すべてのタイプを併せ持ち、瞬時に対象の弱点タイプになる』そして『物理と特殊のどちらにもなりうる』ことだ。
 万物にはポケモンと同様タイプに近いものがある。紙は草タイプ、石やコンクリートは岩などというようにね。
 破壊はそういったタイプに全て対応し、その弱点タイプのエネルギーになる。故にどんなものでも効果は抜群、抗えないんだ。ヤミラミだってみやぶるから格闘タイプの技で効果は抜群が出るし、破壊エネルギーなら多分そういう効果もあるだろう。
 しかもあの光線、素の威力はざっと250〜300はある。だいばくはつ級の威力を反動も無しとは、いやはや反則だね!」

 トウド博士は背をのけぞらせ、ぱきっと指が鳴った
 ちょっと失敗したらしく、手をぷらぷらさせている

 それが正しいなら、どんなものに対してもタイプ一致なら絶対に600ダメージ前後が期待されるということだ
 破壊の圧倒さ、トウド博士の早すぎる推測にはあきれるばかりだ

 「三角錐型の光弾は棒状の破壊エネルギーを束にしたものといったね。
 束がぎゅっとまとまって固くあれば軌道上を遮るもの、当たったところはくり抜かれるように押し出されるばかり。
 だが、あの攻撃範囲をもっと広くするか膜状のものを無くした場合は、恐らく通常の光線同様に軌道上を遮るものの位置をそのままにすり抜けていきつつダメージを残していくような効果も出る。
 そう、押し出しの物理攻撃にもすり抜けの特殊攻撃にもなれるから、ポケモンの身体ステータスの防御と特防どちらか低い方に合わせることも可能だ。
 とにかく、破壊のエネルギー光線とまともにやり合うな。あれは考えうる限り、最強の攻撃技だ」

 カイリューの身体が黒ずんだ攻撃は範囲を広く取った場合の特殊光弾、ベトベトンをえぐった攻撃はぎゅっと押し固めた場合の物理光弾だったのだ
 前者は氷エネルギー、後者は地面エネルギーだったものと推測される

 万物に対して物理か特殊か選択し、瞬時にその弱点タイプに合わせることでより効果的に破壊しやすい攻撃となる三角錐型の光弾
 それがあのレアコイルの速過ぎる攻撃の正体

 どーんとトウド博士が力強く、相手の実力を肯定し断言した
 その説明は決してわかりやすいものではなかった
 しかし、恐ろしさはわかった
 速さも威力も兼ね備えた、勝ち目がない相手だと認めざるを得ない

 「・・・そこまで分析出来たなら、対抗策はあるんだろうな」

 キョウが問うとトウド博士は頭を振った

 「理解したら余計絶望したよ。・・・以前もそう感じたけどね」

 あれは空の境目で、ジークと対峙した時だった
 組織の上級幹部というのは、戦いたくない相手ばかりだ
 ぱちんと指を鳴らしながら空を見上げたトウド博士は、そう思う

 「うざ〜」

 トウド博士の眉がぴくっと動いたかと思うと、ベトベトンは2人を包み込んで地面に溶けた
 光の三角錐が通ったと思われる、わずかな残滓が2人のいたところに漂っているように思えた

 ベトベとんの術で、別のところからトウド博士とキョウが姿を見せる
 またしても間一髪だ

 「再生のハピナスで受けられたのかな? 1分保たなかったか」

 「それにしてはタイムラグがあった。ダメージは無かったかもしれないが、不意打ちとしては成功したのだ」

 キョウが慰めてくれるが、トウド博士は不満げだ
 どんなにトレーナー能力が凄くても、能力者は同じ人間だ
 きっと突破口はある
 それをなみのり→はかいこうせんから立て直すまでのタイムラグが証明してくれている

 「・・・自分は少し休むよ。ちょっと連続的に氣を放出しすぎた」

 そんな悠長は許されないが、仕方ない
 鉄壁と氣の感知があれば、多少ならへたりこめるだろう

 トウド博士の能力は『ベット』、彼の指をはじく行為で攻撃に自らの氣を上乗せすることが出来る
 はかいこうせんを1分弱も長く続けられたのはたびたび指をはじき、エネルギーを追加し続けていたからだ
 おかげでカイリューは反動で身体がガタガタ、氣を溜めておける トウド博士の器も大きいものではないから少し虚脱感と眠気がきている
 トレーナーもポケモンも厳しいが、ポケモンはHPさえゼロにならなければキョウが回復してくれる
 
 「レアコイル。あのうざ〜カイリュー潰しちゃって」

 はかいこうせんの反動ターンだ、空中だろうが何だろうが動けなくなる
 そして破壊の光弾が直撃すれば、種族値の高いカイリューでも瀕死は免れない
 指示しても無意味とわかっているからか、眠気からかトウド博士は上空をぼーっと見ているだけだ

 光る前にレアコイルに水流が直撃する
 シュバババっと電流がはしり、レアコイルは行動を解除した

 「!」

 あれはハイドロポンプか?
 この場に水ポケモンはいないはずだ
 まさか野生のポケモンの乱入?

 水流が来た方向を見れば、その軌道には鉄壁もない
 ぽっかりと穴が開いた、跡地があるばかり

 そこに立っていたのはレッドだった

 「ブイのひみつのちから」

 破壊によって開けられた△状の大穴、トウド博士のなみのりで呼び込んだ海水がそのなかにたっぷりと溜め込まれていた
 元よりエーフィは水中タイプではないが、1ターンくらいなら潜って攻撃することは出来る
 レッドの指示した技、ひみつのちからは使うフィールドによって技が変わる

 平地ならスピードスター
 水中ならハイドロポンプ

 「うざ〜」

 レアコイルに初めてダメージらしいものを与えられた
 電気・鋼タイプという組み合わせの、あのポケモンは弱点の地面・炎・格闘タイプともうひとつ以外、その他のタイプ全てに抵抗力を持つ
 ああして宙に浮かれていると直接攻撃の多い地面や格闘攻撃も当たりづらく、実質炎タイプでしか対抗出来ないが・・・唯一「等倍」を取れるのが水タイプなのだ

 「流石だな」
 
 「カイリュー、降りてこい」

 いくら破壊の攻撃が圧倒的でも、こう数で翻弄されてくれればしめたものだ
 こうやって狙いが反れている間に、キョウの回復や別方向・別ポケモンによる断続的攻撃をちまちまと与えられる
 鉄壁や開けてくれた床の穴は身を隠すのに都合いいし、何よりフィールドが広いのでそういったことがやりやすい

 「カイリューの回復がすんだら、破壊のエネルギーや攻撃について他の2人に教えて回ってくれ」

 「了解した」

 図体のでかいカイリューが降りてくると、その主人の位置ももろバレだ
 だが、キョウのベトベとんの術でこっそりと違う場所へ移動することが出来る
 こんな広いフィールドだ、一旦見失うと追う側は探すのに苦労するだろう

 そうベトベとんの術があれば、破壊や再生の能力者に気づかれることなくレッド達の元へも行ける
 ほぼ確実に情報は伝わるだろう

 この戦いのキーは、キョウとそのベトベトン
 回復と隠蔽&移動手段を兼ね備えた彼らを、絶対に失うわけにはいかない
 向こうにはまだ再生の能力者がいる、名前からしてもう回復系の頂点っぽいのだ
 キョウの脱落はこちらのチームの全滅に繋がる、間違いない

 向こうもそれに気づくはずだ
 鉄壁に隠れながら回復も移動もしているから、実際どんな手段なのかは見当がついていないかもしれない
 しかし、SHI☆NO☆BI☆の特異性や神秘性はあまりに高名で・・・・・・他にそんなことが出来そうなトレーナーはいない
 カータはばかばかしいと一笑しつつ断定もしきれないが、確実にキョウを重点的に狙ってくるだろう

 「・・・自分が破壊の能力者なら、次は鉄壁を片っ端から消していくかなぁ」

 ぼーっと座りこむトウド博士は嫌なことをつぶやく
 キョウは振り向き、頷く

 「それとー・・・・・・風が変わった」

 「釈迦の耳に説法だぞ、それは。私は抜け忍、風向きと自らの立ち位置は常に念頭に置いている」

 そうキョウが返すと、トウド博士は手を横に振った

 「ほら、あっちの空・・・」

 先程まで鉄壁に遮られて気にならなかった海風が、ばたたたっと座っているトウド博士の服の裾をはためかせた
 風が強くなって、空模様の進行が早くなった

 「雨雲。・・・天気が崩れるよ」


 ・・・・・・


 「・・・んもー! 最悪っ!」

 灰色のドレスを着た女性が水浸しになって、ぷんすか怒っている
 その横でクリスが子供達と抱きしめ合い、笑っていた

 「まさか私がハイスシャワーで出来た地面の穴にはまるなんてぇ!」

 「そんなドレス着てるから足元が見えないんだよー」

 悔しがるアーシーを指差し、ポケモン塾の男の子が笑う
 彼に対しむきーっと声をあげると、笑いながら逃げていった

 アーシーの能力で洗脳状態に近かった子供達は、徐々にポケモン塾にいた時のような感情を取り戻していた

 自意識を揺らす彼女の能力からくる洗脳は別に彼女を倒したからといって、ハイすぐに戻りましたーということはない
 揺らされ、見失った自意識を取り戻す為には『時間』の他・別の『何か』が必要となってくるのが殆どだ

 ポケモン塾の子供達が必要とした何か、それは優しいクリスお姉ちゃんの姿と声だった
 彼女との思い出のなかに、自らを見つけ、確実に取り戻していった

 
 クリスがアーシーを倒してから、もう30分くらい経っている
 倒した一因は先程悔しがっていたこと、シャワーズの特能技ハイスシャワーによって出来た地面の穴ぼこに能力者の彼女が自らはまったことにある
 運悪くアーシーは足をひねり、その痛みに耐えきれなくなって指示やバトルに集中出来なくなって半ば自滅
 狙っていたこととはいえ、かなり痛々しい勝ち方だった

 「ってか、何時までいるの! さっさと先進みなさいよー、もー!」

 ヒステリックにアーシーが叫び、クリスは苦笑する
 子供達が不安でずっとついていたかったが、もうだいぶ平気そうに見える
 しかし、これからの戦いについてこさせるわけにもいかない

 このキューブに置いていくしかない
 アーシーはMBを取り上げてからキューブの檻に入れておけば、子供達に危害を加えることも出来ないはずだ

 クリスは子供達にその旨を、ゆっくりと話した
 突然見たこともないキューブとやらにいて、ようやく混乱などから回復してきた子供達の顔が一瞬で曇る
 ぐっと心が揺れるのを堪えて、クリスは小指を差し出した

 「きっと戻ってくるから。ね、指きりげんまん」

 1人1人、しっかりと小指を絡めて約束を交わす
 
 絶対に、ここに戻ってくる
 それまで、皆、待っていて


 ぶんぶんと思い切り手を振って、子供達はクリスのことを見送る
 2本の後ろ髪を強くひかれながらも、彼女は振り返らず・・・噴水キューブを後にした


 「幹部候補、アーシーの噴水キューブ」
 侵入者クリス、勝利
 

 ・・・・・・


 クリスが次に跳んできたキューブは、いきなりその内部だった

 きっちりと正確に測られて作られたような、真っ白な正立方体のなかだった
 その内部には縦横に寸分狂わぬ、きっちりとした直線で枡目模様がはしっている
 そして枡目と同じサイズの正立方体が、升目に沿った形でところどころに積み上げられている
 枡目で描かれた床の正方形の数を数えると端から端まで40ずつ、その正方形の一辺はクリスの足のサイズと見比べてみると大体1mくらいだろう
 つまり、ここは40m四方のキューブなのだと推測する

 積み上がった正立方体の数々はどれも1mmのずれもなく、美しさを感じるほどだ
 縦に10個ほど積み上がった直方体の柱、4段積みくらいの正立方体のピラミッドなどがある
 触ってみると少し冷たく感じるものの金属という感じはしない、材質は石か何かだろう

 このキューブの主はかなりの几帳面、もしくはある種の潔癖症かもしれない
 なんとなく数学が好きそうでもある、いやイメージでしかないのだが
 
 ・・・クリスの目の端に、何か違和感をとらえた

 そちらを見ると、このキューブから浮いた造形物が置いてあった
 
 何かのさなぎにも見える、ぐるぐるに巻かれた鎖の塊だった
 その大きさは全長2mくらい、ピクリとも動かない

 あれが・・・・・・キューブの主?
 なかにどれくらいの身長の人が入っているかわからないが、息苦しいとか鎖がはさまって痛いとか無いのだろうか
 
 とにかくこの整頓かつきっちりしすぎたキューブ、そこに鎖の塊とは組み合わせとしては奇妙すぎる
 クリスは思いきって、声をかけた

 「あのっ」

 「・・・・・・」

 声は返って来なかったが、鎖の塊に変化が見られた
 ぶるんっと塊が震えたかと思うと、塊のあちこちからいくつもの鎖の端が地面に落ちた
 それを皮切りにじゃらじゃらじゃらと金属製の音が響き、複数の鎖ががちゃちゃと擦れ震え鳴く


 徐々に内部からほどかれていく鎖は床の石にいい音を立てて、落ちていく
 何本もの鎖で、何重にも巻かれていた中身はまだ見えない
 
 ジャリッ!

 鎖の塊のど真ん中から左手が飛び出し、まるで生えてきたかのようだ
 続いて右手も飛び出し、両手が揃うと残りの鎖を縦に引き裂くように一気にジャジャジャジャジャジャリリンと派手な音を立てて振り払う
 落ちた鎖の束が石の床で、大きな残響音をキューブに震わす


 なかから出てきたのは細く締まった身体つきの、異様に雰囲気のある青年だ
 短く刈り上げたくせ毛の黒髪、彫りの深い造詣と表情
 三白眼のような目つきも相まって、笑顔と善人には程遠い存在に見える
 全身を覆う皮のような外観の硬そうな材質で出来た黒地に白に近い灰色で炎のような何かを象ったデザインのライダースーツ、彼が腕を曲げるたびにぎちっと音がするくらいぴったりとしたサイズだ
 
 「・・・・・・あなたが、キューブの主ですか?」

 「ああ。私がそうだ」

 ぎちちっと腕を曲げ、身体の具合を確かめるような動作をしながら青年が答えた
 独特の声調があり、やけに耳に残る声だった

 「名乗ろう。私は白虎組がリーダー、タスカー」

 足元の鎖を蹴りあげると、なかからそれに絡まった状態のMBが2つ舞った
 タスカーが両手でその2つを受け止め、なかからポケモンを出した
 
 牙を剥き出しに威嚇どころか、殺意を漲らせたグラエナとヘルガー
 幹部十二使徒、戌のタスカーのエキスパートタイプは悪、象るのは犬
 フォースWバッジを所有する、超実戦派の白虎組幹部以下の者達を束ねるリーダー

 「エビぴょん、ウインぴょん」

 クリスが出したのは悪に強い格闘タイプのエビワラー、スピードのあるしんそく使いのウインディ
 タスカーのポケモンがたぎらせる気迫に押されまいと、睨み返す

 2VS2
 
 グラエナとヘルガー、そしてウインぴょんが主人のもとから離れてキューブ内を走り回り始める
 エビぴょんはクリスの傍を離れず、じっと身構えて様子をうかがっている

 「(・・・やっぱり速い!)」

 ヘルガーの素早さの種族値はウインディと同等
 いや、相手の方が確実に速かった
 おそらくレベル差だろう、ウインディより種族値は遅いはずのグラエナにもウインぴょんは差がつくほど負けている
 
 相手の2体は大きくキューブ内部の外側を駆け回り、積み上がった正立方体の上に飛び乗るなど自在に距離を取っている
 対してウインぴょんはクリスからあまり離れない程度に、小さく立ち回ることで相手の速度に間に合わせている

 「様子見か? ぬるいぞ」

 駆け回っていたグラエナがダンッと力強く踏み込み、ウインぴょんに噛みつきかかる
 それに合わせて、ウインぴょんはカウンターの如く迎撃しようと体勢を低く構えた

 「・・・ヘルガーはっ?」

 見失ったっ!
 まずい、とクリスがエビぴょんの見ている方向とは逆を見てカバーしようとする
 
 そこに、彼女が目を逸らし後頭部を向けたところにヘルガーが襲いかかった
 まるでクリスの頭が向く方を予測していたような、完全な死角をついてくる

 ちりっと危機感が、首筋に焦げ付くような感覚で察知する
 振り向き直るより早く、クリスはエビぴょんに指示を出した

 「マッハパンチ!」

 格闘タイプの先制技
 その初速のおかげで、間一髪で間に合った

 ヘルガーにマッハパンチが命中し、ウインぴょんもかえんほうしゃでグラエナを迎撃した

 よし、とクリスは頷く
 初手はいい感じだ、次の指示はどうするかと距離を取ったグラエナとヘルガーを見る

 確かヘルガーは特性にもらいびがあったから、きっと次からはウインぴょんを狙ってくる
 さっきの攻撃が、ヘルガーとグラエナ逆だったら危なかった

 ・・・ふと、ヘルガーという種族が持つもらいびと・・・もうひとつの特性が出てこない
 こんな時にど忘れとは、ああもう!とクリスはポケットからポケモン図鑑を取り出した
 それで確認するとはやおきとわかり、胸の内に出来たもやもやは一瞬で消えた
 実に便利な機械だな、と改めて思う

 ・・・・・・ふと、クリスはなんとなく図鑑のボタンを押して、自分のポケモンの状態を確認したくなった
 何故かはわからない、今のところ見る意味もない
 なのに、もやもやが消えた胸の内がざわめくのだ

 ピッ、と2体のステータスを表示する
 状態異常にもなっていないし、HPも減っていない
 ほっと安堵し、次に技を確認する


 目を疑った


 「う、そっ?」

 クリスは驚愕し、そして声を失った

 エビぴょン、ウインぴょんは先程の噴水キューブで回復マシンで全快にしてある
 戦ったのがネイぴょんだけでも、手持ちすべてを機械に載せるのが彼女の習いだ

 なのに、どうだろう

 ウインぴょん
 ・かえんほうしゃ PP 0/15
 
 エビぴょん
 ・マッハパンチ PP 11/30

 バトルは始まったばかり
 たった1回しか使っていない技のPPがごっそりと減って、しかもかえんほうしゃはゼロになっている
 こんなの、うらみでも特性プレッシャーでもあり得ない

 
 あり得ないことが起きれば、それは・・・・・・相手のトレーナー能力である可能性が高い

 「・・・グラエナ、とおぼえ」

 タスカーの指示で部屋全体にグラエナの遠吠えが響くと、途端ウインぴょんが身体を床に伏せた
 エビぴょんも苦しそうに、身構えていたポーズが緩んでしまう

 「なにっ、これはどういうこと!?」

 クリスが再び図鑑を見ると、愕然とする

 ウインぴょんのしんそくのPPがゼロ、エビぴょんのかみなりパンチのPPが残り10になっている
 とおぼえの効果は攻撃を1段階上げるだけ、PPを減らす効果なんてあるわけがない

 「・・・ウインぴょん、しっかりして!」

 小さくウ〜と唸るウインディは怯えるように、委縮してしまっているようだった
 闘志はまだ残っている、しかし今にも潰れてしまいそうだ

 この戦闘不能一歩手前みたいな状態、どこか『ひるみ』に似ている
 
 まさか

 ・・・まさか・・・・・・!


 クリスがタスカーを見るが、彼は何も答えない
 グラエナとヘルガーが彼女の真正面に回り込み、好戦的な唸り声とにらみを利かせている

 エビぴょんもウインぴょんも何とか戦う姿勢を取るが、腰が引けてしまっている
 恐らく技の指示をすれば、きっと何事もなくやってくれるだろう
 だが、こうなってしまう要因をはっきりさせなければこのバトルの負けは濃厚だ

 気迫でも特性でも技の効果でもない、これはトレーナー能力だ
 あったことをそのまま受け取って考えるなら、相手に影響を及ぼすプレッシャーの強化版とひるみ効果を与えるものだ
 それもPPは一気に10以上、20近くも削る・・・強化どころか超強化版だ

 そんな能力に、どうやって立ち向かう?
 
 更にマッハパンチ、かえんほうしゃは確かに直撃&迎撃させた
 なのに、向こうのダメージが軽すぎる
 これも何らかの形でひるみが関わっているのか、無意識に腰が引けて威力が削がれたとでも?

 クリスはタスカーを見る
 嫌な汗が吹き出し、足が震える

 ただポケモンバトルをしているだけなのに、クリス自身を傷つけられたわけではないのに
 どうして、こんなにのどが渇いて・・・寒く感じるのだろう


 この感覚、おぼえがある
 ずっと、ずっと前・・・・・・この最終決戦が長旅の終わりになるなら、それをおぼえたのは長旅の始まりとなる時のことだ


 場所はワカバタウン、時刻は昼前
 初めて、四大幹部のジークと対峙した時におぼえたものだ

 二度と戦いたくない、そう思わしめたあの・・・・・・恐怖


 「久々に鎖から出たんだ。暴虐を、可能な限りの悪を尽くさせてもらおう」

 タスカーがつぶやくと、クリスは何故か一歩後ろに下がった
 下がる気なんてないのに

 「嬲り、屈服、そして・・・・・・」

 タスカーが何を言っているのか聞こえているが、頭で理解することは完全に拒絶している
 彼に見られただけで、悪寒がはしる
 歯の根がかみ合わない、寒い

 これまでの人生で一度も感じたことのない恐怖、いや現実的な身の危険
 今すぐにでも逃げ出さなければ、約束を果たせない

 あの噴水キューブで待つ、ポケモン塾の子供達との約束が果たせなくなる
 ついさっきしたばかりの約束なのに、随分と遠い日にしたように思えてしまう
 薄れていくような、そんな追懐の感覚


 嫌だ嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ

 「ウインぴょん! エビぴょん!」

 クリスは必死になって、身体を小さくして身構えるように声を張り上げる
 タスカーは意に介さず、ざっと一歩前に踏み出した
 牙を剥き出しにしたグラエナとヘルガーが、じり・じりとゆっくりと距離を詰めていく


 ――『侵入』という悪行、それ以上の悪行で報いてやるべし
 隙も情も慈悲も無い、この手で徹底的に彼女の心身を犯し尽くすことで侵した罪を悔いさせる
 蹂躙し彼女の心身に残された傷によって二度と悪にならぬよう、悪に染まる純潔を救いようのないまでに踏みにじれ
 そう、全ての罪悪は私唯一のものであれ――


 「繊弱な悪は平身低頭に這え、『パニッシャー/絶対悪』の下に」

 「一撃で決めて! りゅうのいぶき! メガトンパンチ!」

 でないと、私が私でいられなくなる・・・から・・・




 
 To be continued・・・
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