〜最終決戦・十六〜




 「そ。じゃあ、今のアタシを越えるしかないんだ」


 ・・・・・・


 「・・・っ」

 膝を折ったゴールドが、何かつぶやきかけた
 ドダイは潰れ、半壊した円形闘技場を見つめる
 あの巨大化したケンタロスの突撃をまともに食らっているのだ、無事ではあるまい
 
 「ごめんっ、ウーたろ・・・っ」

 ゴールドが目もうつろにつぶやき、膝に手をついてゆっくりと立ち上がる
 ドダイはそれを見て、雷のような声を落とした

 「嘆くな。最後まで逃げず、諦めず、戦い抜いたポケモンと己を誇れ。
 この戦いで得たものすべてを胸に抱き、次に訪れる時・・・前へ進め」

 「・・・ウー、たろ」

 ギンッとゴールドの涙を浮かべた金目が、ドダイのケンタロスを一瞥しドダイを見据える
 それはまるで決別の・・・・・・

 ドッ!!! ズガガガガガガガッガ!!!!!

 くぐもったような、それでも抑え切れない轟音
 円形闘技場全体が震えているようだ

 『・・・ブモォォオオ』

 闘技場に頭部を突っ込んでいたケンタロスがうめき、膝を折ってその巨体が崩れ落ちていく
 ケンタロスの頭部は毛が黒焦げたからか煙が出て、目に大きな火傷を負っている

 「これは・・・」

 ドダイが目を見張る
 これは・・・・・・まさか・・・

 轟音の中心となったケンタロスの頭部があったところ・・・砕かれた闘技場を見ると、そこは半球状と横方向にえぐれていた
 
 「・・・悪い、ウーたろう。絶対、あとで迎えに来るからよ」

 ゴールドは低く、小さくうなるようにつぶやく
 顔の前面を覆うようにし、ドダイは苦々しい表情を浮かべた

 「なんということを」

 この侵入者、正気ではないのか
 まさか、あの状態のウソッキーに『だいばくはつ』の指示をしたのか

 ドダイの特能技・インプレスにより、ウソッキーの身体には圧縮された高エネルギーが詰まっていて、外部の振動によって内部から破壊される
 ゴールドはその高エネルギーを逆に利用し、だいばくはつのエネルギーに上乗せしたのだ

 だが、それは大きな過ちだ
 ポケモンの各タイプの技は最大威力でも150、それ以上は自らを瀕死に追い込むじばくかだいばくはつしかない
 その理由は150を越える技の威力はポケモンの身体に大きな負担を強いるからであり、特能技であろうがその例外ではない
 一度で放つ技として150の威力を越える特能技になれば、準備に数ターンかかったりそれに見合う負荷がかかる

 ましてや、それが瀕死と引き換えの威力250のだいばくはつで更に負荷をかけるようなエネルギーの相乗
 
 ドダイのケンタロスが突っ込み、爆発と共にえぐれた場所
 そこにはウソッキーの姿はない
 
 跡形もないくらい粉々になったか、下手しなくてもえぐれた中心の瓦礫に半壊状態で埋没し再起不能
 それがわかっていた上で、指示したその同じ口で謝罪のつぶやき・・・見せたのは決別の目

 どうして、今まで旅して連れ添ってきた相棒にそこまでの指示が出来る
 ・・・そんな男だったのか、この侵入者は

 ドダイはデータや話に聞くゴールドと目の前にいる侵入者とのギャップ、その理解に苦しんだ
 

 ゴールドはふらつき、歩きだす
 ケンタロスは戦闘不能、少なくとも戦わせていい状態ではないとドダイは見受ける

 相討ちだろうが、ゴールドは先に進むのだ

 彼は微かに、ぶつぶつとつぶやき続ける

 『この先も止まらずに進んで、どこかにいるはずの再生の能力者を見つけ出すんだ。
 そうすればニョたろうやマンたろう、ウーたろうだって・・・・・・』

 すべて取り戻せる、取り返せる
 その道がある
 だから、先に進まなくてはいけない


 ゴールドは歩く
 自分の背丈をはるかに越えた、巨大な武人の影のなかと足元を通って
 
 「・・・・・・愚か者め」

 ドダイはたまらず吐き捨てるように一言、そして目尻でゴールドの背中を追った
 その目は命を賭した相棒を置いて、お前は何処へ行くのだと非難と同情に満ちたものだった

 
 本当に取り返せると、そう信じているのか
 それは愚者のする軽佻としか、他に言いようがない
 
 置いていく?
 どういうつもりだ
 それは本当に気遣いなのか?

 取り返す前にお前は捨てているのに等しい
 もはや取り返しのきかない道へ足を向けようとしている


 どうして負けてしまったのか、とドダイは悔やむ
 なんとしても止めるべきだった、負かすべきだった

 誰か、止めてやってくれ
 今の彼は正常ではない、もしもあれが剥き出た本性いうなら再度歪め

 1人の能力者、いや年長者として願う
 早くあの侵入者を、ゴールドを負かせて止めろ
 悪しき旧態を廃し継いでもらうべき未来が、前途ある若者に示すべき道が閉じてしまう前に

 『彼ら』のように戻れなくなる前に

 
 ・・・・・・
 

 びゅうぅううううと風が強くなっていく
 雲行きも怪しい、これは相当やばそうだと・・・素人目から見てもわかる

 「・・・あーもーうざ〜、セット崩れるじゃん〜。うざ〜、サイアク〜」

 「うわわわわぁ」
 
 吹き荒れる風にカータが髪を押さえ、手櫛でなんとか押さえつける
 ルネはおろおろとしてこけて、そのタイミングで吹いた風に飛ばされないようハピナスが彼の服の裾をつかんで支えてもらうなどあべこべだった

 「ところであいつらはどこさ」

 「ああああのの、てて鉄壁をどどどどうにかししないいぃと」

 「・・・ふーん、ま、そうだけどさ。あんたもそんなえぐい発想出来るんだ〜」

 「いっいいいやそんななな!」

 カータはふっと意地の悪い笑みを浮かべ、手を振って「そんなの私もわかってるってぇーの、別に普通だっつーの」とあきれる
 
 鉄壁がなくなれば、向こうの勝ち目はゼロになるも同然
 そして身を守る手段が無くなれば、下手すると死ぬかもしれない

 「ま、こんな戦いに来るくらいだから自殺願望あんじゃない」

 「っそそそそそれはは」

 カータがははっと笑う後ろに、すーっと降りる影
 ルネがびっくりして声を出す前に、レアコイルの3つの目がそれをとらえた

 レアコイルが電気を放つと、ささっとその影が避けた

 「ん〜?」

 「ネイティオ、サイコキネシス」

 影で誰かが、いやイツキがつぶやくように指示をする
 ふ、とレアコイルの身体が突然きしむ
 今までずっと、こんなタイミングを狙っていたのだ

 これ程静かなサイコキネシスは初めてだ、振り向き気づいたカータが舌打ちする
 タイプ相性的にはいまひとつだが、こうちまちまとダメージを与えられるのはむかつく

 「うざ〜」

 一撃与えたらまたネイティオの姿は消える、ヒットアンドアウェイ
 カータは頬をヒクつかせ、じと目で辺りをにらんで最終的にその視線はルネに向けられる
 なんでぇ、とルネがおろおろする

 
 レッドは物陰からそれを見て、おーと歓声をあげる
 キョウの話、トウド博士の『破壊のトレーナー能力』の推測を聞いた

 「すげー能力だな」

 「おそらく破壊の能力、その一端は超威力に対するポケモンへの反動や負荷軽減に関わるのだろうよ」

 災厄は技を束ねる力で、それによる極大はかいこうせん島の一部を吹き飛ばしたことがある
 あれはあれで凄まじい威力を誇っていたが、破壊も格別だ

 「・・・なぁ、破壊のエネルギーって触れたものの弱点タイプになるんだよな」

 「ああ」

 「それって一度触れたら変わらない、戻らないものなのか?」

 レッドの問いにキョウが首を傾げる
 それはわからないが、あの光弾は速すぎて一度接触したらそのまま海か空へ視界から消えてしまうから・・・確認出来ない

 「どういうことだ?」

 「あれさ」

 レッドの視線にあるのは雨雲だった
 キョウはなるほど、と頷く

 「雨のなか光弾放ったら、何においても最初に触れるのは雨・・・水だろ。そしたら電気か草タイプになるはずだ」

 「確かに無効化は可能かもしれないが、肝心の地面タイプがいないな。
 それに考えてみると光弾を放ったらまず空気に触れる、弱点タイプは何度も変化するとみていいのかもしれんぞ」

 「うーん」

 こればかりは推測は無理か
 しかし、あの雨雲・・・嵐は使えるかもしれない
 いや、あれが来る前に片を付けた方が本当はいいのだ
 こんなところでまともに荒れ狂う嵐を受ければ、破壊の光弾を無効化以前に人間が無力だ
 
 「とりあえずイツキを見習ってこそこそヒットアンドアウェイしつつ、もう少しデータを引き出すべきだろう」

 「ここ広いのはいいけど、あんまり離れ過ぎても技当たらないからなぁ」

 技には射程距離・指示には声が届く限りというものだから、どうしてもポケモンと付かず離れずなセットになって動く必要がある
 グリーンの理力なら単独行動、自在に動きを操れる飛び道具があれば良かったのだが・・・そうでもしないとこの広さは活かしきれないのが現状だ
 もっとも狭いより広い方が、破壊の攻撃で足場を失わなくて済むのだが・・・

 う〜ん、とレッドが考えていると凄い放電が辺りをはしった
 カータのレアコイルだ
 破壊の攻撃以外にも、通常の電気攻撃も相当な広範囲攻撃だと感心する

 「これってイツキのネイティオのせい?」

 「恐らく、あの破壊の能力者がイツキのことを捕まえられなくて業を煮やしたのだな」

 キョウは一応、そうでなくてもやってきそうなことではあるがとフォローを入れた
 バシッと足元に電撃の端が飛んできて、レッドはうわっと驚いて跳ねた


 これで一番とばっちりを受けているのはカイリューに乗ったトウド博士だ
 レアコイルとは大きく距離を取って、ことを窺っていたのだが・・・

 「ああ、もう・・・!」

 これはただ飛行タイプを持つネイティオをあぶり出そうとするような、そんな単純な無差別攻撃ではない
 まず電気タイプの攻撃にはまひがつきものだ、破壊の能力者達はこの電磁網で逃げられる場所と素早さを奪いにきた
 くわえてあちこちにある今もなお津波をかぶり続ける鉄壁、そこらに出来た穴に溜まった海水に浸っている鉄壁は『電極』になり、海水・・・食塩水を分解して有毒なガスを発生させる

 破壊の攻撃に邪魔な鉄壁をこんな形で利用してくるとは、トウド博士はまずいとにらんだ
 このままではフィールドに残っているレッド達が危ない

 ・・・出来れば、使いたくなかったんだが・・・

 
 トウド博士とカイリューが上空に飛び、鉄壁の邪魔にならないフィールド全体を見降ろせる高さに来る
 それで、すぐにレッド達を見つけ出して急降下
 散らばっていた皆の言葉を聞かずに拾い上げ、まだ飛び上がる

 「おい、トウド博士!」

 「どうする気だ」

 「レアコイル、こっちガン見してるよぉ〜」

 これでは格好の的じゃないか、とそんな当たり前の抗議も無視する
 まずこれで有毒ガスの脅威は無くなったが、それもある意味破壊の能力者の目論見通りだ
 電磁網を避けながらも、鉄壁という防御壁から離れさせ飛び出させた

 「よしよし」

 ハピナスがいれば有毒ガスなんて平気である2人はフィールドから、上空にいるカイリューを見上げた
 カータが満足そうに微笑み、レアコイルに指で示す
 キィ、と光り出す直前

 「ベットッ!」

 トウド博士がすくっと立ち上がり、指をはじいて叫んだ
 そして風にあおられながら、何度も何度も指をはじく

 「ベット! ベット、ベットッ、ベットッ、ベットッ、ベットッ、ベット!!!」

 ぱちンぱちんばちっすかっばちんばちばぱちんぱちんと連続で、こう腰を使って上体を揺らしながら指をはじく
 
 「なにあれ」

 「ッベットッ! ベットッベットッベットベットベットッベット! ベットッベットッベット!!」

 ゲシュタルト崩壊起こしそうな程、指をすかりながらもトウド博士は続ける
 レアコイルの身体が光を増し、ぐんぐんと3つの身体が少し膨れたようになる

 「!!?」

 カータが何かに気づき、声に出そうとする前にトウド博士はそれを見極めてフッと微笑みと必死な形相で叫んだ


 「コール!!!」

 その言葉と同時に、ビシッとレアコイルの身体にひびが入った
 
 ビギギィィギッギギガッ、ピッシシャァァアアァアアとその発光が増していく


 そして、レアコイル自身が凄まじい爆音と共に破裂した
 周囲にまき散らす複数本もの光線状のエネルギーがフィールドを貫通し、穴だらけにしていく
 拡散する発光とエネルギーで周囲は真っ白になり、レッド達は遅れて顔を手で覆って目を閉じた


 「・・・ック、これは一体」

 「うわはぁあはは〜」

 「じばく、だいばくはつ・・・?」

 何が起こったのかわからない、という3人が未だエネルギーや光の残滓で真っ白な視界を見つめている
 それから視線をこの爆発の原因と思われるトウド博士に移すと、ふら〜っと彼が後ろに倒れる
 慌てて3人が受け止めると、トウド博士の首が更にがくっと倒れてきたものだから目を剥いた
 気持ち悪い、てか重いので座らせた

 「・・・っふ〜、流石にきついなァ」

 「トウド博士、おぬし何をした」

 髪をかき、次に首の裏をつかんで傾げるトウド博士にキョウが問い質した
 彼は指をはじく手の形を取って、徐々に晴れていく視界を指差した

 「見ての通り、レアコイルを爆発させたんだ。同時にまもるを発動させた」

 「・・・それはわかった。だが、こんなことをどうやって・・・」

 ハッと気づき、トウド博士の指の形を見た
 彼はにやっと笑った

 「ご明察。破壊の光弾を放つ直前のレアコイルに自分の氣をベットで大量に注ぎ込んだ。
 最初から扱うエネルギー量が通常レベルじゃないにしても、放つ時にはそれなりの扱い方がある。
 いくら破壊のパートナーポケモンであれ、わずかでも扱い損ねれば、放つ直前まで溜められ許容量を越えたエネルギーに肉体は保たない。
 そしたら、ボンさ」

 指をはじく手の形をパーにして、ぼーんと爆発を示した
 
 「そしてとっておきの『コール』は一度に威力10分ずつしか与えられない氣をね、他に氣を与えた対象と同じだけ一気に注ぎ込む。
 これで破裂寸前までレアコイルに与えた同量の氣をカイリューのまもるに注ぎ込んで、強化したんだ。じゃないと通常のまもるじゃ、絶対耐えられないからね」

 レアコイルにベット10回で100の氣を注ぎ込んだのなら、コールの一言でカイリューに一気に100の氣を与えられるのだ
 しかし、これは一度に多量の氣を引き出すということでトウド博士の身体にも負担がかかるので使えばへとへとになる
 そして、カイリューにも負担がかかるのだ

 『まもる』は相手の攻撃と同量のエネルギーを自らが一気に引き出すことで防御膜を張る、相手の行動よりも早くエネルギーを引き出す無茶さ故に連続では扱えない荒技
 この場合では、トレーナー能力によってレアコイルに氣を注ぎ込んだ分はカイリューから引き出せない可能性があった
 それにレッド達というカイリューに同乗した3人と3体、その分いつもよりエネルギーを費やして大きな防御膜にしなければならない
 同じだけベットするには時間がない、だからトウド博士はコールを使わざるを得なかった

 コールもまもるも似たような感じで、多量のエネルギーを無茶に引き出す技
 おかげでトウド博士の器は空っぽに近く、もうウトウトしているくらいだ
 元々器も大きくない、空からの氣の補充というのも広大故に恩恵も薄い
 ・・・決して性格的な器のことではない、今回のバトルでかなり頻繁に能力を使っているからだ

 「無茶するなぁ・・・」

 他に毒ガスのことも聞いて、頑張ったらしいトウド博士にレッドは感謝と労いの言葉をかけた
 イツキは未だ消えないまもるの防御膜にうひゃあと驚き、じぃっとその外に目を凝らしてみている
 防御膜に何か聞き覚えのある音がしたような、攻撃とかじゃない・・・雨粒のような気がする
 
 「しかし、これほどの規模の爆発になるとは思っていなかった・・・よ・・・」

 眉間にしわを寄せ、眠そうにトウド博士がつぶやく
 もう寝る一歩手前という感じで、がくっと首が前に倒れるのをレッドが肩を揺すって耐えさせる
 とりあえず安全が確認出来るまでは起きていてもらわないと、まもるの防御壁が保たない

 どれだけのエネルギーが、破壊の光弾というものに使われていたのかがよくわかる
 こんなものに更にトウド博士の氣を加えられて、内部から破裂したのでは・・・・・・レアコイルは跡形もなく消滅してしまったのではないか
 そういえば一瞬だけ、爆発する寸前に身体がひび割れていくレアコイルを見た気がする
 だいばくはつのエフェクトとかではない、あれはまさに身体のマジ崩壊といった具合に思える

 破壊、そして再生の能力者は・・・・・・せめてハピナスがまもるをおぼえていたら能力者2人の命に別状はないと思うのだがどうだろう
 能力者同士のバトルとはいえ、かわいそうなことをした・・・

 「・・・ん?」

 まだ晴れきらぬ視界のなか、イツキは何かを見つけた


 ・・・・・・
 

 緩急を付けて岩山を登る1人の細身の影
影、という表現を使ったのは着ている黒衣がそう見えるからだ
 でこぼこに大きくえぐれたクレーターがそこらに出来て、たびたびそこを通らなければいけなくてかなり勾配がきつい
 くぼみだしたところは自然と足が速くなり、その後の登りは少し遅くなる・・・それが緩急を付けているように見えたのだ
 でも、それもどこか楽しそうに見える

 元はこんな地形じゃなかったはずなのに、相当激しい戦いがあったのだろう
 ただのバトルじゃここまでならない、伝説級のポケモンか小規模の流星群でも降らなければ・・・

 岩山をいくらか登ったところで、黒髪を少し揺らしながら汗を拭う
 少年とも少女ともつかない、歳の若い花顔のトレーナー
 本当はそらをとぶで上まで行けば楽なのだが、この島までそれで来たのでちょっと運動するつもりだったのだ
 でも予想以上にきつくて、ちょっとめげそうだ

 「あ、見つけた」

 幾多のクレーターを越えてようやく岩山を登りきったところで、そこに座って息をついて背中を向けている男を見つけた
 着ている服は焦げたりぼろくはなっているけれど、情けないとかみすぼらしく見えたりはしない
 妙に気品があった

 多分、スオウ島がこんなんになったのは目の前にいるこの男のせいだ
 間違いない、と確信している

 だって、知り合いだから

 「息切れかー、シア」

 「!」

 気づかれていた
 そんなに荒かったかな、息とシアと呼ばれたトレーナーは口を手で押さえた

 岩山の向こう、男からすればその正面から顔をのぞかせるのはライコウ
 シアは肩で息をつきながら、2人の傍まで駆け寄った
 すぐ隣にしゃがみ込むと、そのわずかに上気した頬を、タカムネに指摘される

 「マジで息切れしてんなぁ、おい。だらしねーぞ」

 「いや・・・そんなこと言われても。・・・傾斜がきつくて、もう・・・」

 ふーっと一息つく赤い頬に、ライコウが軽く顔を寄せる

 「ああ、ライコウ、久し振り。・・・ありがと、だいじょぶ、だから・・・」

 そう言って、シアはライコウの頭を撫でてやるとわずかに喉を鳴らして応えた
 気位の高い伝説ポケモンがおや以外の人間に懐くのは、まずありえない
 ただの知り合いではないようだが、ライコウはすぐにシアから少し離れて座った

 シアは呼吸を整え、ようやく落ち着いてきた辺りで、改めてタカムネと向き合う

 「元気でしたか、タカムネさん」

 「んなの見りゃわかるだろ」

 タカムネが艶のある黒髪をわしわしと撫でた
 乱暴な扱いだったが頭を撫でられたのが嬉しかったらしく、中性的な顔が照れたようにはにかんだ
 それは本当に花のような笑みだった

 ふ、とタカムネの横を見ると割れた鉄仮面を付けた男が横たわっていた
 割れた仮面の下から見える傷が痛々しいが、今回のバトルでついたわけではないようだ
 とりあえず命に別条は無さそうだ、そしてその周りにはドラゴンポケモンが彼を守るように倒れていた

 それにしても、シアの知るタカムネと同等以上にやり合ったこの男は誰なのだろう
 相当に強いポケモントレーナー、能力者だ

 「どなたですか?」

 「・・・かつての竜王ワタル。今は組織の幹部、鉄仮面シ・ショウだと」

 竜王ワタルという名前にはおぼえがあった
 確かカントー地方であった四天王事件の主犯の名前だ
 まぁどこかで知られた名前の者が、別組織にいて偽名使って活躍してたなんてのは珍しい話ではないのでスルーする

 それより、どうしてここまで帝王を自称するタカムネがずたぼろになったのか
 シアはそれが気になって仕方ない、と首を傾げて訊いた

 「ああこいつ、二重能力者だったんだよ。それと絶対に先制攻撃出来るバッジ持ってやがった」

 「二重・・・・・・」

 それはひどくおぼえのある言葉で、わずかにシアの肩が震えた
 表情を曇らせたシアをタカムネは視線だけ向けてふと見た気がするが、わからない
 つぶやくように、彼は答えた

 「・・・お前が知るものじゃないさ。そこは安心していい」

 割れた鉄仮面、その下にのぞく大きな傷跡
 それで、なんとなく察しはついている
 シアは小さくはい、と漏らした


 聞けばこの鉄仮面の二重能力はHPを攻撃エネルギーにして放出する能力と自らの氣を与えることでポケモンのHPを回復する、そんな厄介な組み合わせだったらしい
 
 「トレーナー能力でも回復使うやつは厄介だ。普通のじこさいせいとかの回復技持ちなら、一撃で相手のHPを4分の1以下に出来ねーと次で倒せないからな。
 ターンを許せば、確実に回復してくるとなれば尚更だ。こいつは先制回復がいつでも可能なんで、余計苦労したぜ」

 タカムネがライコウの頬に触れる、自慢の毛並みも身体も傷だらけだ
 彼の腰のボールには既に他のポケモンが満身創痍の状態で戻っていて、HPが残ったのはライコウだけのようだった

 「じゃあ、HPがゼロになっても戦えるように回復出来たら凄いですね」

 「そうだな。出来るとしたらゾンビか、再生の能力者ぐらいだろうよ」

 「再生かぁ。こう手足が吹っ飛んでもにょきにょきって生えてくるんですかね?」

 「んなの再生じゃねーよ。再生つってもそんなの不可能だ」

 シアが手足をにょろにょろ〜と揺らすと、タカムネはあきれた目で言った
 再生とはいっても元の意味は『作り直す』ことで、創造や回帰ではない
 微かに残る生命力の1というきぜつを回復させることはあっても、死というゼロを生という100に戻すことはない

 タカムネがポケットから何かカプセル状のものをライコウに飲ませてやり、頭を撫でている
 気丈に振る舞っていたライコウの鋭い目が途端に穏やかになり、やはりやせ我慢をしていたのだというのがその様子でわかる

 きぜつの回復なら、並の回復アイテムでも出来ることだ
 一般トレーナークラスダメージに依るきぜつならそれで充分で、能力者クラスのダメージによるもので初めて再生の能力者が必要になってくるが、そんなの稀だ
 一般トレーナーだろうが能力者だろうがきぜつはきぜつ、そこまでいったら最早両者の区分なんて関係ない
 間に合う、並の回復アイテムでも、充分に

 「じゃ、出来たらなんて言うんですか。言わなかったら再生でいいじゃないですか」

 シアが開き直ったように言うので、タカムネが再び正面を向いてじっと宙を見た

 「出来たとしたら、そりゃ再生とは言わねーさ」

 とん、と自らの膝を指で叩いて一拍置いてからつぶやいた


 「『蘇生』だな」


 ・・・・・・


 ごぉおおおぉおおとレアコイルの自滅による爆発、そのエネルギーの余波といった残滓がフィールドに渦巻いている
 イツキはそこに立っている3つの影を見た
 数で言えば誰も死んでいないことだ、それは喜ばしいことだ

 レアコイルの影はどこにもない、あんな特徴的な影を見落とすわけがない
 無事ならどこかに浮いてるとかしてるはずだ、となると破壊の脅威はひとまず去ったと見るべきか

 
 「・・・・・・うざ〜」

 カータの足元に金属の塊ががらがらと落ちているのを、自分の足の上に乗せて一瞥する
 大まかに面影というか形を残しているが、普通じゃ分離しないところまでイッている
 人間でいえばバラバラ死体、ポケモンセンターでも助からないレベルだ
 痛嘆や追悼の感情が沸いてこないのは、冷めた現代っ子だからだろうか

 「ルネ、とっととしな」

 「ううううん」

 「どっちだよ!」

 「はははっはい!」

 ルネとハピナスが駆け寄り、金属片にハピナスのタマゴをかざす
 それは温かな光を放ち、いや光の塊そのものになっていく

 
 「っ、うわぁ〜あ!」

 イツキが声をあげる前に、レッド達も異変に気付いた
 エネルギーの残滓をかき消すように、一瞬だが強烈な光が周囲を覆った

 「バカな・・・!」

 光が消えた時、漂っていた残滓は綺麗になくなり視界はクリアになっていた
 それでも周囲が暗く見えるのは、おそらく雨雲がこのフィールドに被さってき始めたのだろう
 レッド達がそこに見たのは傷ひとつ負っていない、完全な形の4つの姿

 「ふーん、服のダメージまで蘇生の余波で回復か〜。タマゴうみ元にしてるだけあって、イイ感じじゃん」

 「ああああああのああありがとっと」

 「うざ〜、これがうざ〜」

 素直に感謝の気持ちを言おうとしたら、これだ
 その気を無くす、とカータは眉間にしわを寄せて流しじと目でルネを見た

 見るも無残な残骸と果てていたレアコイルが、完全な形で復活を遂げていた
 今までのダメージの名残はなく、まるで戦いが始まる前まで時間が戻されたかのようだ

 「あれが・・・再生の能力かッ」

 「とんでもないよぉ〜、どうやってあんなのに勝つのさぁ!」

 「まいった・・・ね」

 かくん、とトウド博士の眠気がピークに達し首が前後にがくがくと折れる
 カイリューのまもるも徐々に消えてきている、まずい
 非常にまずい状況だ

 「どうよ、あんたら。回復系の頂点、再生もとい蘇生の能力は?」

 余裕そうな、意地の悪い笑みをカータは浮かべている
 キュンキュンとレアコイルはその場で旋回し、全快であることを誇示しているように見えた
 実際HPもPPも、戦いに使われるものはすべて回復していた

 「ルネは元々PP回復能力を素地に再生になったやつだからね。トキワのただポケモンと話せるようになる能力とは違うんだよ」

 「!? なんだって?」

 レッドは思わず聞き返す
 トキワの能力といえばイエローやワタルの『トキワの癒し』だ、それが・・・ただ話せる能力?

 なんだ、知らないの?という表情をカータが見せる
 ルネにあごで説明してやんなよ、と無言で示すと彼が「ああああああのあのの」とどもったので彼女が「あー、もういい」とそれを諦めた

 「再生とか治癒とか、何かの能力を素地にレヴェルが上がって目覚めるものらしいの。
 ルネはPP回復を、あんたんとこのアレは話せる能力を素地にそれぞれ目覚めたって話でしょ」

 「いや、そうじゃなくて・・・イエローは話せるだけじゃない、回復だって最初から出来てた!」

 「そんなの知らないわよ。私が聞いてるのはトキワの能力はポケモンと話すことで・・・ええと、アレなんだっけ。・・・そうそう、いわゆるカウンセリング能力ってやつ?
 それ以外はよく知らないわよ。森とか気脈とかうざ〜専門用語ってわかんないし興味ないしぃ」

 HPやPP、状態異常を回復するだけが回復能力ではない
 そういったデータや数値に表れない精神的な面、それを汲み取って癒す行為もまた回復といえる
 本来なら言葉の通じないポケモンと心通わせ合えれば、どれほどそういったことに貢献出来るだろうか

 そんなカウンセリング能力、それがトキワの癒しの本来の能力

 「(じゃあ、イエローやワタルがHPや状態異常を回復出来てたのって)」

 レッドは思い巡らす

 ただのトキワの癒しではなく、何らかの形で2人共が中途半端に『治癒』の能力に目覚めていたというのか
 そして、この旅と戦いのなかで本当に選ばれたのが・・・・・・イエロー!

 思えば趣の違う能力が2つもあることが不自然だったのだ、どうして今まで気づかなかった
 本来のイエローの能力はカウンセリング能力、あの回復能力は違ったのだ
 それなのに違うそちらばかり引き出そうとしたから、器・・・精神の崩壊という窮地に陥ったりしたのではないか
 きちんと本来の根っこや土に当たる能力を把握せず、その上に開きかけたつぼみばかりに目がいって・・・・・・
 
 
 ぽっぽつぽつぽつ、と空から水滴が無数に落ちてきた
 雨だ、とうとう降ってきた

 次第に雨足が強くなり、フィールド外の海が今まで以上に荒れ出した
 さっきとはまるで別世界だ、空を飛んでいたカイリューの姿勢が崩れる
 コールまもるの無茶がきたのだろうか、キョウがベトベトンにどくどくの指示を出す
 百薬の長で回復させ体勢を立て直し、とにかくフィールドに舞い戻って降りなければならない
 破壊と再生の無事がわかった今、いつまでもこんなところにいたら格好の的になるだけだ

 「おっそ〜い。バァ〜アイ」

 話も済んでひらひら〜っと手を振るカータ、光り輝くレアコイル
 雨も降ってきたことだし、寒いのでうざ〜バトルを本当にとっとと終わらせたいらしい
 
 「ぼっ、僕降りまーすッ」

 ネイティオにつかまり、1人逃げ出そうとするイツキ
 「あ」だの「待て」だのと、制止を求めている場合でも暇でもない
 もうこうなれば高さとか気にしていられない、飛び下りるしかない
 
 しかし、そんなことをしたら眠気でもうろうとしているトウド博士やふらつくカイリューが・・・

 フィールドが薄暗くなり、ザアアアァアアアァアと激しい雨音のなかでレアコイルがまるで雷を放ったかのように明るく輝いた
 レアコイルの姿が光に包まれた、いやレアコイルの正面から光り輝く何かが放たれてその姿が見えなくなっただけだ

 真正面
 
 レッド達の目の前は真っ白になった


 ・・・・・・


 「そういや、タカムネさんは戻らないんですか?」

 シアがのんびりしているタカムネに聞いた
 ポケモンを回復させたら、戦力的に戻った方がいいと思うのだが

 「・・・こいつと派手にやり合ったもんだから、ワープ装置やら回復マシンとか全部壊しちまったんだよ」

 「タカムネさんには珍しいミスですね」

 「まーな」

 「はい」

 鉄仮面はスオウ島への被害をまるで考えない戦い方だった、タカムネもなりふり構っていられなかった
 結果、流星群が襲ったかと思うほど島の外観が変わってしまった
 それだけ暴れ回れば、地中に埋められ隠されているワープ装置なども無事であるわけがない
 
 タカムネがちょいちょい、と小さく手招きをする
 シアという子は素直なので、それにつられて「なんですかー?」とてこてこ歩み寄ったところでがしっと首根っこを押さえこまれた
 「何するんですかぁ」とじたばたしてると、タカムネ曰く「なんかむかついたから」らしい
 ミスを肯定したのがいけないのか、それ以外か・・・とても理不尽だ
 ギブギブと彼の肩を叩くと放してくれ、シアは「もー帝王って言う割に子供っぽいんだから」と息をつくと伸びてきた腕にまた首をつかまれた
 タカムネもタカムネだが、シアも大概である

 「ま、俺がいなくても何とかなるだろ。みんな強いさ」

 「むー、うーっ」

 二度目はなかなか放してくれない、シアはもういいやと諦めた
 それに、とタカムネが続ける

 「仕掛けはしといたからな」

 「? ・・・仕掛け?」

 ライコウを見つめるタカムネに、シアは首を傾げる

 「ああ。申のキューブでな」

 タカムネはそこから出る時、少しだけもたついていた
 ワープ装置に巻きついていたツタ、あれはそれに見せかけた電源コードや回線だった
 タカムネは持ち前の知識とライコウの電気で、組織のシステムにハッキングした

 そろそろ効果を見せるはずだ


 ・・・・・・


 「よく頑張った、と言ってやろうか」

 ウインぴょん、エビぴょんが地に伏せた
 HPはまだあるが最早立ち上がる気力もなく、PPは尽きた

 『ヴォォオオォンッ』

 タスカーのグラエナがにらみ、ひと吠えする
 クリスの意思、いやポケモン達の意思に関係なく2体はボールに戻ってしまう
 
 「う、ぅ」

 クリスがうめき、その遠吠えに全身の力が抜けていく
 
 ・・・戦ってわかった
 この人は、悲しい人だ
 
 「あがくな。まだ罪悪を重ねるのか」

 ヘルガーがクリスを踏みつけ、威嚇している
 その脚に漲る力は通常のものじゃない、きっと何らかのステータス補正がかかっているのだ
 高い耐久性もその為だろう、もっと早く気づいていれば対処もあったのに

 クリスは自らのボールをつかみ、ウインぴょん達を見る
 身体の震えが掌に伝わる、ボール越しに震えているのがわかる
 それでも、目は死んでない
 まだ闘志を燃やしている

 ガッとクリスの手をタスカー自身が踏みつけ、見降ろした
 痛みをこらえ、彼女は彼を見上げる

 「諦めろ」

 「私は、っぐ・・・あ、諦めないッ!」

 強く言葉を発すると、タスカーの踏みつける足に力が入る
 クリスは声にならない声をあげ、掌からボールがこぼれ落ちた

 「せいぜいそうしろ」

 諦めないことを諦めるまで、彼女の心身を嬲り、蹂躙するまでだ
 どれだけ泣いてもわめいても、侵入者クリスという悪の存在が散るまで続けるだけ

 年頃の乙女に一番無惨で、一生涯癒えないだろう傷を残す罪悪は・・・・・・

 残酷な行いに手を付ける前でも表情を変えないタスカーがその手を伸ばし、クリスの頭をつかもうと上体を曲げる


 「そこまでだ」
 

 ・・・・・・
 

 ・・・真っ暗、いや真っ白だ

 目の前が白い、心なしか寒い

 「・・・?」

 イエローとカリンの目の前に何か、白い壁が出来ていた
 それにキョウジもタケトリも目を見張る

 「これは・・・」

 ・・・

 ジンはゆっくりと横を見た

 ぎりぎりで逃げたものの、その身体を隠すことも出来ずすぐそこで膝を折っているシルバーがいる方ではない
 それとは反対、ワープ装置がある方だ


 ・・・・・・


 「「「「誰だ」」」」


 キューブの主達がそう訊ねた


 ・・・・・・
 

 「その足をどけろ。そして、ここからは俺が相手をしよう!」

 鍛え上げられた肉体を見せつける細目の男
 タスカーの殺気や怒気剥き出しのヘルガーやグラエナににらまれても、怖じ気づかず向き合い名乗りをあげる
 
 「俺はジョウト四天王、『闘将』シバ」

 ・・・

 眼鏡をかけた知的なクールビューティとジュゴンが、竹に手を置きながら四高将2人を見ていた
 その人物はイエローもよく知っていただけに、不可解だった

 「そんなこと聞いても、素直に名乗る侵入者はいなくてよ?
でも、ここは名乗らせてもらうわ。私は、『氷姫』のカンナ」
 
 ・・・

 ジンの目の前に立つ男は背が高かった
 夜の闇に白い包帯がぼうっと浮かび上がり、またこの暗いなかでもはっきりとわかるほど・・・それ以上の黒い眼だった

 「誰だ・・・?」

 シルバーのつぶやきに合わせたように、その男はジンの問いに応えた

 「『災厄』」


 ・・・・・・


 レッド達の目の前に迫る破壊の光弾

 それはあまりにもまぶしく力強く、例えるなら希望のもの
それはあまりにも悲壮感のわかない絶体絶命、絶望の危機

 わずか1秒にも満たない刹那の出来事


 「!!?」

 当たる直前になって、カータを始めとしてこの場にいる全員は信じられないものを見た

 破壊の光弾が、レッド達を目前に方向を変えたのだ
 ありえないほど急な角度で、ボキッと音が聞こえてきそうなくらい不自然な軌道を描いた

 軌道が変わった光弾は誰もいないはずのフィールドに向かい、そしてまた方向が急に変わった
 その動きはまるで何かに誘導、吸い寄せられているかのようで・・・


 バチュシュッ!とそんな音を立てて、何も無い宙で光弾ははじけて消えた
 ここにいる全員が何を破壊したのかわからないまま、消えた
 
 その光景にレッド達はあっけに取られ、そしてすぐに光弾が向かったフィールドの方を凝視した
 雨を厭うようにばしゃばしゃとはねる水音、そこに誰かが立っている

 「・・・・・・ふー、危ねー。いきなり何だよオイ〜」

 豪雨でびしょ濡れになっているのは眼鏡をかけた陰気そうな青年、その傍らには宙を見上げるガラガラがいた
 そして、この場にいる全員が口をそろえてこんなことを言うのだ


 「「「「「「誰だお前」」」」」」





 To be continued・・・
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