〜最終決戦・二十二〜




　「それが、どういう意味かわかるよね」


　･･････


　まひ状態、1ターンの間50％の確率で身体がしびれて動けなくなる
　
　素早さが半減し、行動にも制限がかかる厄介な状態異常だ
　きつけというわざで無理やり回復させることも出来るが、自分自身には使えない

　ねむり状態、最低でも1ターン以上は眠ってしまって動けなくなる

　例外的にいびきやねごとでわざを放つことは出来るが、それ以外では無力となる
　わざのねむるならば2ターン後には確実に目覚める、計算してわざの指示を言える

　こおり状態、最低でも1ターン以上は凍ってしまって動けなくなる

　一部炎技によって自ら溶かすことで脱することが可能ではあるが、そうして対処出来るポケモンはいびきやねごとをおぼえるポケモンより少ない
　ただでんじはでまひ・さいみんじゅつでねむりといった、こおり状態をもたらす専用技がない

　メロメロ状態、最低でも1ターン以上続くそれは50％の確率でわざが出せなくなる

　技や特性によって発症するこの状態は、異性に対しその攻撃を躊躇ってしまう
　同性であれば何の支障もない、ボールに戻せば治るしいずれ自力で回復もする


　こんらん状態、最低でも1ターン以上続くそれは50％の確率で自傷行為にはしる

　メロメロ状態と同じでボールに戻せば治るのだが、確率50%に惑わされ回復するまで戦わせてしまうことが多い
　相手か自分へかの攻撃、自らきぜつに追いこんでしまう可能性がある以上決して分の良い賭けではない


　ポケモンバトルにおいて、戦闘中に行動不能状態になるのが最も恐ろしい
　動けないということは、攻撃はおろか身を守ることも出来ないということ
　上記の状態以上によるものなら、3回続く確率はおおよそ12,5％

　あり得ない数字ではない
　
　もし3ターンもの間、動けなかった時はほぼきぜつ状態まで持っていかれるだろう
　

　確定3発

　
　･･･


　「優先度が関わる能力だから、後手に回るわざの類が一切使えなくなるんだけどね。
　ま、その方が面倒臭くなくていいけどさ」

　カウンター、ミラーコート、あてみなげ
　素早さに関係なく、相手より後に行動する技もまた優先度が関わってくるのだ
　つまり＋ではなく−の優先度、ディックの能力はあくまで＋の加算だった

　･･･

　トレーナー能力の名は鬼八

　それはホウエン地方に伝わる伝承がひとつに由来し、快速怪力と名の知られた悪鬼の名
　
　･･･

　「（･･････先制3回連続攻撃･･･）」

　レッドは戦慄する

　それによってカビゴンの耐久力を上回ったのか、いや恐らく一度はきゅうしょにあたったのだ
　きゅうしょにあたれば、かたくなるといったステータス上昇もほぼ無効になる
　通常の連続攻撃でも、１回１回にきゅうしょにあたる判定があるのだから･･････


　「（･･･これが俺の、ディックの対の能力･･･）」

　「レッド、君は勝機を失った」

　ディックはレッドを見据え、その瞳に呑み込んだ

　「俺の能力に対抗するには数の利が最も易しい。そういう対の能力なのだから」

　ポケモンのなつき度のベクトルの操作などで、無作為ながらも意思の統一がなされた軍隊をも作れる『サマー・オーラ』
　１ターンに圧縮される驚異的な戦闘力を持てるが、それ故に選ばれた少数精鋭でしか成り立てない『鬼八』

　数で勝るか速さで勝るか
　ディックの言う通りこの２つの能力は、そういう対の能力なのだろう
　
　６VS３では、この能力の前では･･････到底数の利にはなりえない

　
　「･･･ニョロ！」

　ゴンを戻し、ニョロボンを出す

　能力はわかった
　あとは、どうやって攻略するか

　「ブラッキー、だましうち」

　「ニョロ、みきり！」

　レッドの指示は正しい
　まもるやみきりは相手の攻撃・行動よりも早く動いて避ける、そういう技だ

　通常の、能力者とのバトルならば


　ディックは欠伸した

　「まもる、みきりの優先度は＋3」

　ブラッキーの三撃にニョロが吹き飛んだ

　本来、まもるやみきりよりも優先度の高い攻撃技は存在しない
　だから、これまでそれらが破られることなく成立してきた

　防御不可避の攻撃


　「まぁ普通の人なら面倒臭くてそこまで考えないから。
　ただあるわざを、知っている通りにそのまま使う。そんなもんでしょ」
　
　ニョロは立ち上がれない
　だましうち3回なら耐えられたかもしれない

　ブラッキーはサイコキネシスをおぼえる
　こうかはばつぐんだ

　「･･･！」

　ディックの予想に反し、ニョロが起き上がった
　何らかのアイテムの効果か、それとも他の要素か

　不確定を予測させるものは早めに潰しておくべきだ、ディックはそう判断する

　だがレッドはさせない
労いの言葉をかけて、ニョロをすぐにボールに戻した

　「よくわかった。じゃあ次が勝負だ」

　レッドがディックに対し、ふっと笑う

　それからぐっと彼に見えるように突き出す掌のなかには、ピカのボールがあった
　持ち前の素早さが売りのポケモンだが、ステータスなどディックの前では無意味だ
　何か仕掛けてくる、警戒するには充分だった

　「ディック、お前の能力はポケモンバトルが前提だ」

　レッドは振りかぶり、そしてピカの入ったボールをブラッキーめがけて思い切り投げた
　剛速球というに相応しく、ある意味暴投とも取れる

　その意図をすぐにはつかみきれず、つかんだ時にはボールは開いていた


　「10まんボルト！」

　ブラッキーの目の前に現れたピカは、既に充電し切っていた
　レッドの技の指示よりも早く、ブラッキーに先制攻撃を決めた


　型破りの発想と言わざるを得ない

　ブラッキーの前では持ち前の素早さ、ステータスは意味をなさない
　それは優先度というもののおかげであり、決してブラッキー自体が素早いわけではない
　そして、優先度というのはわざをかけあう・行動する相手がいてこそ成立するポケモンバトルのシステム的な要素

　つまり、相手がボールに収まっている間、優先度は発揮しようがない
　だが、ポケモンさえいれば優先度は発揮される
　いくら至近距離だからといって、そのわざの発動に後れを取るディックでもブラッキーでもない

　しかし、ピカはブラッキーよりも早く攻撃が出来た

　目の前でボールが開き、ピカの充電が既に終わっていたのはレッドの絶縁グローブがあってこその芸当
　ボールのなかで充電を終えさせるなど、普通は数万ボルトの電流がはしるボールなど握ってはいられない


　ここまで行き着いたのは、これまでのレッドが培ってきたバトルの経験と旅の最中での出会いのおかげだ
　
　絶縁グローブはR団との因縁によるもの
　ボールによる間合いの戦法は四天王シバのボールヌンチャクからくるもの
　ゴンとニョロのみきりで確認した優先度をここまで解析出来たのは、これまでの能力者との戦いが糧になっているから

　バトルの天才は、あのハジマリの時よりも確実に成長している

　
　10まんボルトを受けたブラッキーがまひした
　素早さのステータスはともかく、確率半々で行動不能状態になってくれる
　また至近距離からの全力の電撃は目くらましにもなってくれたようで、指示が出来なかったのか反撃も受けなかった

　優先度のプラスも無敵ではない

　レッドはピカをボールに戻した
　二度は通用しないかもしれないが、出来るなら温存しておくべきだ

「･･･ふ」

　ディックが笑った
　気だるげではなく、嬉しそうに笑った

　そう心底嬉しそうに、レッドを見つめる

　「優先度に気づいて、ボールでの間合いや不意打ちはたまにある。
　その上でここまでわざの発動のタイムラグをゼロにする、か･･･いいねレッド。流石対の能力者だ」

　ディックはブラッキーをボールに戻し、次のボールを手に取った

　「エアームド」

　銀色の翼、鋼の身体
　ディックの2体目･･････！


　「待ち望んでいたよ。次は俺の特能技を越えてみてくれないか」

　本能で危険を察知して、再びレッドはニョロを出して「みきり」の指示をする
　連戦に耐えられる状態ではないのはわかっていたが、それでも選んだ

　持ちものはきあいのハチマキ、運が良ければまた発動してくれる

　
　「エアームド、はちぶ」

　音が消えた


　そしてレッドとニョロは無音の舞台で、踊りだした

　腕を振り上げ、
　すぐに下げ、
　足はステップを踏み、
　たんと地面を蹴り飛ばし、
　腰をひねって、
　視線は空に、
　ぐるんと半回転

　
　そして倒れた


　「･･･優先度は持ち前の素早さとは別物だけど、それでも結果的に超速と変わらない。
　速さによって時間を歪めてるようなものだ、面倒臭いから深く考えないけど」

　携帯獣氣体成生論によれば、ターン制とはわざの発動に必要なエネルギーの補充にかかる相互の時間から生まれたもの
　ディックの能力はこれでは説明がつかない、規格からはずれているのだ
　エネルギーの補充が恐ろしく早いのだろうか、それは優先度とどう関わってくるのか

　ともかく、ディックの特能技は少なくとも超速に起因するものだろう

　瞬間的な優先度＋24の行動、それのみだ
　ポケモンとしてのわざは放てない、ただ行動するだけに留まる

　相手からすればただ1回の先制、驚異的な三連撃でもない

　出来る行動も限られている
　その決められたパターンは、3種類しかない

　そんな優先度＋24の行動から生まれるのは、衝撃波に近い何か
　1ターン三連撃を可能にするのに必要な膨大なエネルギーを、1度の行動に消費するからとか
　時空を歪ませるレベルだから、時空震の一種とのたまう人もいる

　その衝撃波に近い何かによって、相手はまるで踊るかのような動きを取らされる
　腕を振り上げられたと思えば、下げられるなどの8の動作の後に、衝撃波の支えが無くなれば倒れることとなる
　
　故にこの特能技はこう呼ばれる


　「『八舞』」


　･･･ディックは深く考えない

　ただその技名を言えば特能技として発動し、結果として相手は倒れる
　そもそも能力自体がおかしいのだから、そこから生まれた特能技に納得のいく理屈や過程に説明をつけるのは面倒臭いのだ

　ジークは結果を求め、リサは過程をも大事とし、ディックは入れればその後は気にしない
　
　面倒臭いのだ
　そこに過程などなく、結果なんて既に見えているのだから


　･･････


　「タイプ相性の無効化･･･」

　それがリサのトレーナー能力

　「（そうか。だから、ハジマリのあの時･･･ブルーさんのハイドロポンプをまともに受けたはずのバシャーモが平気だったりしたんだ）」


　ポケモンバトルでは相性ははずせない要素だ
　身体的タイプで苦手なポケモンが相手でも、わざで相手の身体タイプの弱点をつけば勝てることもある
　自分のポケモンより高レベルのポケモンを相手にするならば、タイプ相性を第一に考えてバトルを構築していくものだろう

　そんなタイプ相性が無効化されたら･･････凡そ等倍ダメージ、もしくはタイプ相性によって無効化されるわざが当たるようになるということ
　ゴーストにノーマル、あくにエスパーのわざが効くようにもなる･･･と考えていいだろう

　「（あれ？）」

　だが、それは相手も同じではないだろうか
　タイプ相性の無効化が自他同時に効くものならば、条件は同じ
　真っ向からのバトル、身体＆補正ステータスによる一撃の威力勝負ということにならないだろうか

　しかし、それであのグリーンがやられるだろうか
　タイプ相性の無効化に気づくのが遅れたか、それとも何か･･･見落としが･･･


　「お喋りはこのくらいでいいかしら？」

　リサがフライゴンに乗り、再びイエローめがけて突進してきた
　イエローのボーマンダが攻撃を受け止め、すぐさまその場から離脱する

　マグマの熱気で、ルーすけも息苦しそうだった
　このキューブは、やはり出来る限り早期決着が望ましい
　イエローは自らの氣を分け与え、体力を回復させて少しでもルーすけの負担を軽くする


　「バシャーモ、特能技『バーニングシュート』」

　荒れるマグマの海の上で、サイドンと組み手していたバシャーモの両脚が炎をまとう
　特能技という言葉は聞き洩らさなかったサカキが、警戒態勢を命じるが遅い
　
　バシャーモが渾身の力と炎で、まるでロケットのような勢いでサイドンは宙を飛んだ
　それを炎の推進力をもって跳躍して追撃、下方からサイドンの腹めがけてバシャーモが炎をまとった左脚で一撃を喰らわせた
　蹴りあげた箇所から大きく十字の炎・飛び散る火の粉が横に噴き出し、まるで彼岸花のようにも見えた


　「･･････フン、タイプ相性の無効化か。俺のサイドンの炎の耐性も無くなったとみていいな」

　しゅたんとサイドンよりも早く地面に着地したバシャーモを見て、そうつぶやく

　いわゆる炎タイプの蹴り技ならブレイズキックだろうが、この威力はまさに上位技だ
　だいもんじ級の炎をまとうことで、その熱で両脚の筋力を底上げし、跳躍に繋げる推進力を生みだし、技の威力さえ高めた
　
　「お前は気に食わん。随分と、いや･･･やはりお前はそういう人間か」

　サカキが1人納得するように上空のリサをねめつけ、バシャーモを見る
　落下して来たサイドンが飛沫をあげてマグマに沈む様を見て、イエローは息をのんだ

　「あら、どういう評価を受けていたのかしら」

　聞こえていたリサがそう返したところで、サイドンが落ちた辺りへとイエローとルーすけが急降下する
それを見て、リサとフライゴンがその後を追う
　
　サカキはその様子を見て呆れた
　どこまでもお人好しというか、傷ついたポケモンを放っておけないというか


「（･･･追ってきた！）」

　ぴたりとイエローの後ろについてきたリサ達を視認して、ルーすけはマグマの海に向かってハイドロポンプを放つ
　熱く真っ白な水蒸気があがり、突然の事態にリサのフライゴンが戸惑う

　「っ、なんて真似を」

　こんな危険な行動に出るとは、いやイエローの能力からすれば可能だった
　白く熱い水蒸気から逃れようと再び上昇したところに、ルーすけとイエローは待ち構えていた

　「ドラゴンクロー！」

　至近距離から攻撃を避けられるわけもなく、フライゴンはそのHPを削った
　回避行動こそ取られなかったが、それほど効いているようには見えない　

　やはりタイプ相性を無効化されている

　「おかえしよ」

　攻撃を甘んじて受けたことを、イエローは悟った
　いや、攻撃を受けるものと覚悟を決めていたからなのか

　フライゴンのりゅうのいぶきが、ルーすけの足をかすった
　
　『ギュアァアアア』

　狙いはそれたが、ルーすけの反応は痛々しかった
　これは明らかにタイプ相性の影響を受けているから、ダメージが倍増しているからだ

　「自他のタイプ相性を無効化にする能力じゃあ･･･」

　「そうだ。あの女の能力はそういう能力だ」

　サカキがイエロー達の様子を見て、確信した

　「ただし、その能力は発動型･･･そうだろう？」

　発動型･･･！

　そうだ、思い出した
　リサは最強の発動型、そう聞いていた

　発動型というのは常時型とは違い、能力のオンオフ切り替えが出来る点だ

　この場合でいえば、タイプ相性の無効化を適用するか否かを自在に･･････

　
　「わかったか。つまり、こちらは一方的に等倍以下、だが向こうはまるで関係なくタイプ相性を使って優位に立てる」

　「･･･最強の、発動型･･･」

　そういう意味だったのだ
　発動型には若干のタイムラグが生じるが、四大幹部級ともなればその隙をつくのは難しいだろう
　
　
　「お前は四大幹部、いや幹部連中のなかで最も姑息な人間だろう」
　
　サカキが地上に立ちながら、リサを見下して言った

　「お前がこのキューブを選んだのも、変則的な３VS３を提案したことも。
　すべてはお前がただ勝ちたいが為、躊躇いと戸惑いを盾にした」

　こんな危険なキューブで戦い合う、それに対し自他を気遣う
　強制的にタッグを組むことの、急ごしらえの連携

　「お前はどちらかといえば、過程を重視する人間と聞き及んでいた。ツッコミ体質で、正道な人間だと。
　それがどうだ。まるで私が調べてきたことの方が嘘のよう、そちらは無理していたお前にも取れるぞ」

　サカキの指摘に、リサはふっと息をついた

　「･･････そうね、他人に対してはそう」

　「･･･」

　「でもね、自分に対しては案外違うものかもしれないわ」

　リサはぎゅっと拳を固く握り、微かに震わせる

　「私は勝ちたい。この戦いは負けられないのよ」

　マグマのなかから再びサイドンが顔を出し、バシャーモをそのまま力尽くで引きずりこんだ
　バシャーモは必死に抵抗し、サイドンの顔面を蹴り飛ばして脱出する
　サイドンは咆哮をあげ、バシャーモめがけて突進し出す

　「ジークはあの軍人的気質から、形式を重んじる。自分の闘争には彼自身の誇りを持ち、相手と対処する為に戦う舞台から整える。
　ディックはそれこそ他人には興味を持たない、入りさえすればいい。けれど自らが動く時はシナリオの遂行、その結果に基づかせる為に過程をも大事にする。
　そして私は･･････勝ちたい、何がなんでも、勝ちたい！　姑息でもいい、強いポケモン、優位なフィールドを用意しようとも！」


　ジークは結果を求め、リサは過程をも大事とし、ディックは入れればその後は気にしない
　他人に対しての行動様式は、それは間違いではない

　だが、ジークは入る形式を重んじ、ディックが過程を整えたがり、リサが結果を追い求める
　この自分への闘争に対する行動様式もまた正しい

　
　「私は勝たなくてはいけないのよ」

　リサの独白、その感情が入り混じる迫力にイエローが呑まれかかる
　しかし、自身の両頬をぱしんとはさむように叩いて気を引き締めた

　負けたくない、いや勝ちたいのはこちらも同じなのだ

　勝って、みんなで再び集まる為にも


　「･･･行きます！」

　「来なさい･･･！」


　地上ではサイドンとバシャーモが力押し、泥沼のような戦いを繰り広げていた
　剥き出しの闘争本能、攻撃力と防御力のぶつかり合い

　「バシャーモ、蹴散らせ！」
　
　「サイドン、沈めろ」

　サカキの指示にサイドンがバシャーモの力をいなし、上体や足払いをうまく使ってバシャーモの身体を灼熱の溶岩石に転がせる
　マウントポジションを取られ、あがくように仰向けのバシャーモが蹴り上げるがそれに合わせてサイドンがふみつける

　下から蹴り上げる足VS上からふみつける足

　レベル差を覆したのは体重だった

　サイドンが全身をバシャーモの足と合わせている、そのふみつける足に体重を乗せる
　奮闘するバシャーモが不意を突き、口から炎を噴き出す

　わざではない、だがサイドンのふみつける力が心なしか弱くなった
　『ニィ』と笑うバシャーモ


　だが、炎が晴れた時、顔面が黒焦げになってもなおサイドンの眼光は衰えていなかった
　

　勝負は決した

　ふみつける足が競り勝ち、その勢いのままバシャーモの腹を圧するようにじしんを放つ
　びきびきびきびきびきっと溶岩石が砕け、マグマのなかに両者が争っていた場が沈んでいく
　じしんが威力の余波で、マグマの火柱と津波が暴れる


　マグマに焼かれたバシャーモ、これまで何度も沈みかけたサイドン

　どちらもが、戦闘不能となった


　リサとサカキはそれぞれを、手遅れにならない内にボールに戻す
　
　残るは2体


　イエローとリサの一騎打ちだ


　･･････


　「うぉおおおおおぉぉおおおぉおおおぉおおおおおおおっ！！！！」


　炎の海で、叫ぶ影





　To　be　continued･･･
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