〜能力者への道1・出発〜
ここは21番水道のはずれ・・・
「なぁ〜〜〜まだ着かねぇの〜〜〜」
『ん〜、まだ・・・もう少し先かな』
話は少し前、出発する前にさかのぼる
「し、島!!? ってことは『グレンタウン』か」
『いや、最初の目的地は「いー島」だ』
聞いたこと無い島の名に皆が首を傾げる、そんななかでグリーンが言った
「『ナナシマ』のことじゃないのか? 中国での数の数え方だ。
イーが1、アーは2、サンは3,スーで4といった感じだ」
『いや・・・・・・「ろー」、「はー」と続く』
皆がぴたりと黙る、もしかして・・・・・・
『そう、いろは48諸島だ』
皆がずっこける・・・このダジャレが言いたかっただけか
ブルーがタウンマップを広げてみるが、どこにもそんな名前の島、諸島は無い
「どこにあるのよ、そこ・・・」
『載ってるはずだよ。・・・もっとよく見て、拡大して』
「だ〜か〜ら〜、拡大したけど無いのよ」
『載ってるだろ、ほらコレ』
シショーが羽根を指して見せた、そこを良く見てみると・・・
なんだか画面の汚れのような・・・染みみたいなものがポツっとあった
「もしかして・・・・・・コレ?」
『うん、いろは48諸島の島々は皆小さくて、地元の漁師が休む時ぐらいしか使われないんだ。
小さすぎて観光にもならない、そう珍しいポケモンもいない、果物も殆ど採れない。
だから地図には載っているが、名前と位置がよくわからない、もちろん僕は知っているよ。
・・・ここなら修行しても誰にも気付かれないハズだ』
レッドがハッとなって、シショーを見て言った
「・・・・・・ちょっと待ってくれ、シショー。 もしかして俺達・・・カントーを離れるのか?」
『ああ、時期をみながら「ナナシマ」にも寄るつもりだけどね。
正確に言えばいろは48諸島もカントー地方だけどね』
「じゃ・・・奴らは? 俺達がここを離れたら・・・奴らの思うつぼだろ!!?」
確かに・・・奴らの目的は『ジョウト及びカントー地方の制圧ゲーム』ならば・・・
「少なくとも戦える見込みのある俺達は島には行くべきじゃない」・・・レッドはそう言いたいのだろう
シショーはそう察した、だが優しいだけでは・・・奴らに勝てるハズもない
『じゃあ聞こう、君達の中で奴らに勝てそうなバトルは出来たか?』
皆がぐっとつまった、シショーは続けた
『今の君達の実力は団員レベル以下、今まで生きていられたのは相手との圧倒的な実力の差があったからなんだ!
能力者との戦いは相手との実力が同じになる程、生死がかかった危険なバトルになる!!
今までは幹部クラスの人間が来た、そして相手が実力を出す前にバトルが終わったから助かったんだ。
わかるか? ・・・ボクは君達を死なせたくはない、カントー本土を見捨てるのはボクも辛い!
だから・・・・・・強くなってほしい、このゲームは・・・「ゲームオーバー」は死に値する!!
能力者になって、そして四幹部以上の実力を身につけて、その後! 全て取り返すんだ!!』
シショーの言葉は深く胸に突き刺さった、レッドが言った
「ゴメン・・・シショーの気持ちも知らないで」
『いや・・・でもわかってほしい。 君達には才能がある、だから・・・』
「ああ、強くなろう、そして全てを取り返しに来よう・・・」
シショーが空へと羽ばたいた、そして言った
『さぁ! 行こう、目指すは『いー島』、日が暮れる前に・・・『なみのり』を使える人は使い、使えない人は相乗りさせて貰うんだ!!』
そうして・・・なみのりをし始めて、数時間が経過した頃で、話が戻るわけだ
このなみのりにもちゃんとしたわけがある
なみのりをする際には波を先読みし、自らがバランスを取りつつポケモンを前に進ませる行為だ
故に長時間のなみのりは非常に気力、そして体力を使う・・・相乗りしている人間も少なからずその影響を受ける
ちなみになみのりが使えたのは4人、ガイドは先導のために、当然空を飛んでいる
ギャラ・・・レッド、クリス
カメちゃん・・・ブルー、イエロー
ゴルダック・・・グリーン
オーダイル・・・シルバー、ゴールド
「・・・日が暮れてきたようだな」
「こんなになみのりすんの久し振りだぜ、身体が痛い・・・」
「すみません、レッドさん・・・相乗りさせてもらって・・・」
「・・・イエロー、うらやまし〜い?」
「なっ! 何を言っているんですか!?」
「ゴールドはうるさい、いい加減落とすぞ!」
「いいじゃねぇかよ、本当のことだしさぁ〜〜」
『まだまだ元気そうだね、もうすぐだと思うよ』
確かに日が暮れ始めている、急がないと・・・
そういえば・・・イエローがシショーに尋ねた
「シショーさん、ボク途中で回復を止めさせられたんですけど・・・代わりに誰がキズを治してくれたんですか?」
『いや残念ながら覚えていなくてね、ただ・・・能力者だというのはわかるんだけど・・・』
「俺達が起きた時にはもう誰もいなくてな、ブレイドの姿も消えていた」
「そうそう、レヴェルってなにさ・・・最初の説明じゃ出なかったな」
「ブレイドの言っていた『幹部候補』ってなぁ〜に?」
いっぺんに言われてガイドが困ったが、一応答えてくれた
『レヴェルについての詳しい話は修行を始めてから教える。 幹部候補については・・・良くわからない』
「どういうこと?」
『・・・僕も全てを知っている訳じゃない、そう言った意味では君達と一緒なんだ』
「実力は・・・あったみたいだし、奴らの首領って・・・やっぱり『玄武』なのかな?」
『可能性はあると思う、だが断定は出来ない・・・』
「それより・・・・・・疲れたッスよぅ」
皆が慣れない長時間のなみのりの旅に弱音を吐き始めた、もう夕日で空が赤い
そんななかで独りグリーンだけがなみのりを満喫していて、誰もがポカンとした
「スゲ・・・一人だけ立ち乗りしてんのに・・・あ、津波にのった!」
「バケモノね、アレは・・・」
『(フム、彼が目覚めていない5人の内で一番早く能力者になるかもな・・・)』
「まだッスか〜〜〜〜〜」
ゴールドが叫びながら言った、シルバーは怒鳴る気力も無い程疲労しているようだ
だが、ちゃんと聞いていたガイドが言った
『アレだよ』
「来たか・・・ブレイド」
「失礼します、ジーク様・・・お呼びでしょうか?」
「理由は貴様が一番良く知っているハズだろう」
ブレイドはおもむろに土下座をした、ジークが冷ややかな目でソレを見た
「申し訳ございません、何者かに邪魔をされ・・・その・・・」
「言い訳はいい、ここは実力だけがものを言うのだ。
残念ながら貴様の上司は出張中だ、故にこの俺がわざわざ呼び出したのだ・・・おとなしく処罰を受けろ」
ジークの腰のサーベル刀がキラリと光る、ブレイドは青ざめた
もう一度深く頭を下げる、がそんな姿勢のまま・・・ブレイドはジークに上から押さえつけられた
見ていても見えなかったろう・・・これが誰よりも鍛え抜かれた四大幹部の動きだ
「痛みは無い・・・一瞬で終わる」
「お、お許し下さい・・・次こそは、次こそ!!」
ジークのサーベル刀が振り上げられる、がそれはリサによって止められた
「・・・ちょっと待って、ジーク」
「なんだ、邪魔をする気か」
・・・リサが天使に見えた・・・むろんジークは悪魔だ、リサの優しい声が響き渡る
「ソイツさ・・・最近別の失敗してたみたいなの、隠しても無駄よ。
だからついでに私の分もやっといてくれない?」
ブレイドの顔が余計に青ざめた、バレた以上言い逃れも出来ない・・・ジークがにやりと笑った
頭の上のサーベル刀がゆっくりと狙いを定めた
「じっとしていろよ」
「・・・う、うわあああああああああ・・・」
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