〜能力者への道３・演技〜
翌日、早朝･･･
「おはよ〜イエロー」
「おはようございます、レッドさん･･･眠れましたか?」
「何とか･･･浸水もなかったし」
「そうですか･･････お腹すきましたね」
「ああ、今シルバーが朝食の魚を釣りに行ってる」
二人が顔を見合わせ、沖の方を見てみる･･･確かに孤独に釣りをしているシルバーの姿があった
続いてゴールドがのそのそと起きてきた、ものすごい寝グセだ･･･
クリスはせっせと昨日切った細い木で魚を焼く準備をしていた、朝から働いている
「おはよ〜ッス、朝食は?」
「･･･何がおはようですか、皆もう起きてますよ･･･『働かざる者食うべからず』!
朝食が食べたければ、当然働いてよ、じゃ･･･ゴールド、火お願いね」
「ああ〜っ!! 俺がぁっ!!」
「当然ね、ゴールド」
ブルーがにこやかに挨拶をした、いつの間に後ろにいたのやら･･･
グリーンは自分のポケモンの体調チェックしていた、イエローがブルーに聞いた
「そういえばブルーさん、昨日の夜･･･何処かへ行きました?
寝袋の中身がメタモンだったから･･･どうかしたんですか?」
「え? いや･･･散歩よ、夜の海を見ようと思って」
ブルーはドキッとした、まさか起きているとは･･･幸いグリーンには聞こえていないようだ
ゴールドはふぅんと言い、海岸にいるグリーンの所へ行った
「そういやグリーンさんも、昨日どっか行ってましたよね?
俺が夜、小便しに行った時･･･寝袋が空でしたから」
「あ、いや･･････散歩だ」
クリスの手が止まった、ゴールドがにやりと笑った、レッドとイエローはきょとんとしている
そして･･･皆がいきなり黙ってしまった、ブルーが小さくあちゃ〜と言った
キチンと口裏を合わせておけば良かった、が、もう後の祭りだ･･･
「･･･へぇ、こんな狭い島のどこを散歩したんですか?」
「あ、その･･･」
グリーンが助けを求めるようにブルーの方を見た、「こうなったらお前に全て任せる」と目で語っていた
それを見たブルーはにやりと笑い、ゴールドの方へ歩み寄った
「そーよ、アタシとグリーンは昨日の夜、一緒にいたけど?」
「え、一緒にですか」
「うん、グリーンに誘われてね、一緒にカメちゃんと海へ行ったのよ」
「そ、それから･･････どこまでいったんッスか!!?」
グリーンはもうこの場から逃げ出したかった、全てを嘘で固めるより多少は本当のこと言った方が良いだろうが･･･
なにも俺からとか･･････任せるべきじゃなかった、グリーンは心の底から後悔していた
ゴールドの鼻息が荒い、頼むから･･････俺を追いつめないでくれ
「どこまでって･･････押し倒されたわ、もちグリーンに。
･･･ま、未遂で終わっちゃったケドね。」
皆の間にもの凄い空気が流れた、誰もがグリーンを見て呆然としている
ここでグリーンがブチ切れて、一瞬でブルーに詰め寄り胸ぐらをつかみ小声で言った
「お前という奴は･･･なんて事を言うんだ!!」
「じゃあ、あのことを言うの? あれは口外無用でしょ」
「しかしだな･･･だが俺の立場はどうなる!!」
「あのことを隠すには･･･それと同じぐらいのインパクトのある出来事を言わなきゃね。
その点あれは充分なインパクトを持ってるし･･････ねぇ?」
「ふざけるな、大体お前は･･･!!」
「･･････いつまでもそうやってると、皆に本気でとられちゃうわよ」
グリーンがハッとなって周りを見るが、もうすでに･･･自ら否定するには遅かった
レッドは顔をそらし口笛を吹き、ゴールドはヒュ〜ヒュ〜とヤジを言う
クリスは顔を赤くしてその場に立ちつくし、イエローはあまりの衝撃にどこかへ逃げ出したようだ
ブルーがオホホと笑い、グリーンは真っ白となった･･････哀れだ
そんなグリーンにブルーがポツリと囁いた
「人の噂は７５日♪ 忘れるわよ、その内ね･･･」
「･･････もういい、ほっといてくれ」
そしてまた皆がハッとした、そして辺りを見回した
･･･その存在はまだ沖の方で釣りをしていた、安堵と同時に思った
「「「「「「（このことはシルバーには内緒にしておこう）」」」」」」
･･･と、ゴールドはこのことを言いたそうだったが、明らかに血を見ることになるだろうから
さすがに巻き添えを食らうのは嫌らしい、ゴールドはそれ以上何も言わなかった
妙な雰囲気の中でまた、黙々と朝食準備が始まった･･･
シルバーが釣りから帰ってくると、島に異様な雰囲気が流れていた
不審がって聞くと皆が「なんでもない」と言う、気にはなるが興味はないので放っておくことにした
そして騒ぎの原因シショーが何も知らずに帰ってくる、イエローは「おかえりなさい」と迎えた
イエローはもうすっかりシショーに懐いているようだった、焼き魚をガイドに手渡した
そして騒ぎがあったことを知らないガイドはのんきそうに言った
『さあ、皆･･･朝食を食べたら修行を始めようか』
皆が「おーーー!」っと返事をしたが、ただグリーンだけがそれに反抗的な殺気を放っていたという･･･
「･･･屈辱だ」
俺様がどれだけ苦労して上り詰めたと思う、『幹部』まであと一歩だったんだ
だが失敗は許されない、ジークの野郎のサーベル刀で腕輪を切り裂かれた瞬間･･･殺意が芽生えた程だった
何故あんな奴が上にいる、何故俺様より強いんだ、憎い･･･もう一度上り詰めてやる
「ブツブツとうるさいぞ、ブレイド」
「･･･申し訳ありませんでした」
「･･････哀れだな、転落した者を見るのは」
フンと鼻で笑った、セイルスの野郎･･･コイツの性格も気にくわねぇ
セイルスはにやりと笑って、紙をブレイドへ向けて放った･･･拾えと言うことか
体を震わせながらソレを拾い、書いてある文章を読んだ
「指令だ、行って来い」
「仰せの通りに･･･」
･･････コノウラミハラサズニオクベキカ･･････
ブレイドが行ったのを見ると、セイルスはまたにやりと笑った
みえみえの殺意･･･感じずにはいられない、もっと隠せばものをな
･･････だから、余計にいじめてやりたくなるのだよ･･････
ブレイドが持っていった指令書とは別のを懐から取りだした、内容は･･･
「始まるぞ･･･ゲームスタートだ」
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