〜能力者への道5・電話〜




 俺達はいつもと変わらぬ平和な生活をしていた、春らしいのどかな日々を・・・


 だが・・・突如そいつらは空から現れた、灰色の軍用ヘリに乗って・・・










 「くそっ次から次に・・・!!」


 俺の名はハヤト、キキョウシティのジムリーダーであり、警察官でもある
 そんな俺は今・・・・・・かなりの窮地に立たされていた


 空からの奇襲、判断が遅れ・・・いや早くてもこうなっただろう
 建物は全て壊され・・・死者はいないだろうか、皆無事に逃げられただろうか・・・俺はなにもしてやれなかった
 見ることも出来ず、手を出すことも出来なかったのだから・・・それは悪い意味で当然だった
 

 ・・・俺はジム内に意図的に追いつめられたのだ、最初に知らせを受けて飛びだしたまででは良かった
 だが奴らは俺の存在に気付くと・・・一斉に攻撃をこちらに向けた、防戦が精一杯だった
 やがて俺はジムに入らざるを得なくなった、それでも奴らの攻撃は衰えない
 人々の悲鳴が聞こえても、何も出来ずに・・・何がジムリーダーだと、自分を呪ったよ





 そんな絶望の中・・・ジムリーダー直通のポケギアが鳴った
 ・・・・・・発信者はエンジュシティジムリーダーのマツバだった


 「もしもし、マツバか!!」

 『そうだ、どうやらヤバイ状況に陥ったようだな・・・戦況は?』

 「奴ら・・・俺を意図的にジム内に閉じこめたようだ、まるで・・・見せちゃいけないものがあるようにだ!」

 『・・・俺も同じだよ、奴らはロケット団の比じゃない、強すぎる!!』

 「わかってる・・・俺達じゃ敵わないようだ、だがゴールド達なら・・・」


 そう、彼らの実力は本物だ・・・誰もが認めるその素質と才能
 そんな彼らの助けを借りれば、この状況を打破出来るかもしれない


 『ああ、そこでなんだが・・・ポケモン協会ジョウト支部に来て欲しい、奴らの包囲網を抜けてだ。
 今ここで俺達がやられたらそれこそ何も出来ずに終わる、いったん全員集結して態勢を立て直すんだ!!』

 「・・・・・・できない」

 『なぜだ、自分の町を捨てたくない気持ちはわかるが・・・だが!!』

 
 マツバの言いたいこともわかる、判断は間違っちゃいない・・・莫迦なのは俺の方だ
 父さんに誇れるジムリーダーでありたい、しかし死んだら終わりだ・・・次は無い
 奴らは殺す気で襲っている、一矢報いたい・・・その為には言う通りに集結した方が良いだろう


 時間が長く感じた、おそらく10秒程だろうが・・・俺には1時間に思えた
 行くなら今しかない、俺の手持ちポケモンの体力は既に限界に近いからだ
 電話はまだつながっている・・・俺は返事をした


 「・・・・・・わかった」

 『・・・すまない、皆も直に集まる・・・急いでくれ』


 そこでポケギアが切れた、俺は一気に扉を開けた・・・向こうは予測もしていなかったのだろう
 一瞬だが攻撃の手がゆるんだ、俺はピジョットをボールから出した


 「頼むぞ、ピジョット・・・目的地はポケモン協会ジョウト支部!!」

 『ピジョーッ!!』

 奴らも飛行ポケモンを出し始めた、急がねば・・・すぐに浮上をすると目的地へ向け羽ばたいた
 

 







 ポケモン協会ジョウト支部・・・やはりここも壊滅状態だ
 辺りを急いで見渡した、奴らの追っ手はもうやってきている・・・どこにいるんだ!!?

 
 「・・・こっちだ、早く!!」

 わずかに聞こえた声、振り向くと壊れた扉の向こうにマツバがいた
 奴らの追っ手が来た、急いで中に滑り込むとシジマがスグに支え棒で扉を閉じた
 するとスグに奴らのポケモンが扉に向けて攻撃を始めたようだ・・・鋼鉄製の扉だ、ひとまず安心か・・・





 「・・・・・・とりあえず集まったことだし、各町の被害状況を説明してくれないか?」

 「どこも一緒だろう、わからないのはチョウジタウンだけだろうしな」

 「そうですね・・・こちらは灯台も壊されました」

 「奴らの共通点は灰色の服を着ていたことか?」

 「いや・・・そうとも限らぬようだ。 フスベでは皆、統一性のないバラバラの色の服を着ていたようだ」

 
 皆が口々に状況を説明する、聞いているとやはり・・・かなり絶望な状況のようだ
 マツバを中心として話が進むなか、レッド達の連絡をどうするかという話題になった
 グリーンの師匠であるシジマは番号を知っているかと思ったが、つい最近番号を変えたらしく、わからないと言った
 じゃあどうするかと、話していた時、フスベシティジムリーダーのイブキが言った


 「それにしても・・・驚いたぞ、まさかハヤト殿があんな強気で説得するとはな」

 「・・・・・・どういうことですか、説得とは」

 「白々しい、ここに集まるように言ったのはハヤト殿ではないか」

 「そんな!! 俺がここに来たのはマツバに言われたから・・・」

 「俺は知らないぞ、俺はシジマさんに説得されて・・・・・・!!?」


 話を聞けば全員が違う人に言われて来たという、そして全員が知らないと言った
 扉を攻撃する音が建物全体に響き渡る、マツバがぼそりと言った


 「どうやらおれ達はここに・・・まんまとおびき寄せられたようだ。
 ・・・そして考えたくはないが・・・・・・俺達の中にユダがいる」

 「「「「「!!!!!!!!!!?????」」」」」
 
 「ユダってアレかぁ、ウチらの中に裏切り者がおるっちゅーんか!!?」

 「ああ、俺達が集結の電話を取ったのはジムリーダー専用のポケギアだ。
 この番号はポケモン協会すら知らない、そう・・・俺達が話し合い・・・決めたものだからだ」


 全員が顔を見合わす、隣にいる奴は本物か、変装した偽物か・・・それとも裏切っているのか
 ・・・この状況を打破するには、そう・・・ポケギアの着信履歴を見ることだ
 ポケギアの着信履歴は消せるものじゃない、全員が一斉にポケギアを見せ合った





 だが・・・・・・状況はもっと不可解になっただけだった、俺達の中にユダはいなかった
 そしてその代わり、同じだったのだ、着信履歴が・・・・・・それこそ秒単位までだ!!


 「・・・・・・どないなっちゅーねん、ほんまかいな・・・」

 「ユダはいない、だが・・・・・・敵はもっと恐ろしい奴だと言うことか!!」

 「!!! 皆さん、扉が・・・ああっ!!」


 一斉に扉の方へを振り向くと、奴らが侵入し始めていた・・・鋼鉄製の扉が破られた!!?
 見たところ熱やエネルギーを加えた形跡もない、あくまでも力で壊したという感じだ・・・
 厚さ5cmはある鋼鉄の扉を・・・そんな強力なポケモンの物理攻撃は存在しないハズだ!!
 だが奴らは侵入してきたのだ、こいつらは・・・いったい何者なのだ!!?


 「ひーふーみー・・・全員いるようだ、『四大幹部』の情報は間違っちゃいねぇようだ」

 「貴様ら・・・いったい何者だ、何が目的でジョウトを狙った!!?」

 マツバの問いに奴らの中から女の子が顔をひょっこりと見せ、にっこりと笑って言った


 「じゃあ、あなた達はたかだか『ゲーム』のことで・・・そんなこと言・う・ん・だvv」

 「ゲ・・・ゲームだって・・・!!?」

 「そう、ゲーム、おじさん達が追いつめられるのもゲームのシ・ナ・リ・オvv」


 キャハハハッと笑って言う女の子が構えると、奴らがポケモンを出した
 信じられないが・・・彼女が彼らのリーダー格のようだ、挙げた腕の腕輪1つがキラリと光った


 「じゃ、さ・よ・な・らvv」











 彼女らが攻撃をするか否か・・・その刹那の瞬間・・・何かが突進してきた
 全てを蹴散らし現れたのは・・・・・・


 『ケガはないか・・・ジョウトジムリーダーズ!!』





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