〜能力者への道８・力比〜
漸く始まった『修行』･･･能力者への道、一歩踏み出したんだ
話された今後の行動、そこで知らされた『伝説ポケモンの確保』の重要性
現在捕獲可能とされているのはたったの五体、その他は･･･まだ不明
しかもファイヤー達を捕獲出来るのは俺達の中で･･･たったの３人だけ
圧倒的な条件不利･･･そして何より衝撃的な･･････エンテイ捕獲という事実
シショーの決断は早く、『１の島』への出発を明日の午後･･･１日早めたわけだ
今日はなみのりなんかで疲れているからとして･･･何故午前中に出発しないのか
「･･････こんなことしていて･･･いいんでしょうかねぇ」
『ははっ、いいんじゃないかな･･･たまにはね』
イエローが盛大にため息をついた、午前中に出発しない理由･･･それは･･･
「さあさあ始まるぜぇっ!! 本日のメインイベント･･･俺とシルバーの決戦だぁ〜!!」
「まったく･･･なんでこんなことを･･･」
シルバーがブツブツと島の中央へ行く、ゴールドはなんかのポーズをとっている
島の中央に即席の勝負机が置いてある、なんの勝負かといえば･･････そう、『腕相撲大会』だったりする
そもそもなんでこんな大会が始まったのかと言えば、シショーの『見立て』が原因だった
･･･記憶に新しいと思うが、７人の中で誰が一番体力＆腕力があるか･･･
順位はレッド、グリーン、シルバー、ゴールド、ブルー、クリス、イエローだった･･･が･･･
園丁の話の後にゴールドがこの順位をレッドから聞いた･･･これが気に食わなかったらしい
･･･ゴールドの言い分はこうだ
「俺がシルバーより腕力や体力が劣っているなんて認めねえっ!!」
･･･だそうで･･････散々口論になったので、実際に比べてみようと言うことになったのだ
シショーも『ま、息抜きには丁度いいかも』･･･と本当に呑気なことを言って認めた
そして先を急ぐはずなのに･･･今日の出発を遅らせたというわけだ
･･･話の流れ説明終了
「早々と全敗した解説のイエローです、隣でシショーがアシスタントしています。
現在の成績発表ですが･･･総当たり戦なのは言うまでもないですね。
優勝者はレッドさん、６戦６勝で文句なし、次がグリーンさんでレッドさんに負けて５勝で２位。
んでボクは先程言いました通り６戦６敗でビリ、クリスさんはボクにだけ勝って６位です」
『要するに今からシルバー、ゴールド、ブルーで３〜５位決定戦をやってもらうわけだね。
最初のカードは早くも因縁の対決だ･･･どっちが勝つかな、時の運もあるかもね』
お互いが睨み合って机についた、シルバーもどうやらやる気をだしたようだ
お互いががっちりと手を握りしめ、ぼそぼそと話しだした
「･･･テメエにはぜってぇ負けねぇ!!」
「フン、勝てるものならな」
「よっしゃーっ!! 負けんなよ、ゴールド!!」
「シルバー、ファイトね〜!!」
レッドとブルーがそれぞれ応援を送った、グリーンとクリスはただじっと見ているだけだった
イエローがどこからともなく出したゴングをカァーンと鳴らした、バトルスタートだ
始まってからスグにはどちらもが動かなかった、全くの拮抗状態だ･･･
１分程してからゴールドが少しずつだがシルバーを押しだした、ゴールドがにやりと笑った
「･･･寒中水泳の実力をなめんなよぉ!!」
･･･よくわからない実力だ、そんなことはどうでもいいか･･･
シルバーも負けじと反撃をし･･･また拮抗状態になったが･･･
段々と押していったのは･･･シルバー、３分後にはゴールドの手が机について負けが決定した
ゴールドはショックで机に突っ伏したまま動かなかった、イエローとシショーが解説をした
「･･･どうなんでしょうね、最初はゴールドさんが優勢でしたよね?」
『うん、でも最後はシルバーが勝った。
恐らくゴールドは瞬間的に力を出す『短距離走者』タイプなのかもね、他に良い言い回しが見つからないけど。
一方シルバーは全体的にバランスが取れているんだね、きっと･･･ペース配分がうまいと言えば良いのかな。
だから最初は力を出せるゴールドが優勢だったけど、後々力尽きて･･･最後はシルバーが勝ったわけだね』
「なるほどー、参考になりました･･････え? あ、はい･･･そうですか。
･･･ゴールドさん、次から修行メニュー量追加だそうですから、頑張って下さい。
続きまして今度はブルーさん対ゴールドさんです･･･きっちり１０分後に始めますから」
イエローがそう言うとゴールドは益々固まってしまった、やはりショックだったのか
あまりに見かねたのでレッドがポツリと耳元で囁いた
「･･･次の相手はブルーな、いくら年上とはいえ･･･勝てなきゃ恥だぞ」
「･･････うぃッス･･･そうッスね、頑張るッス!!」
ゴールドが急に元気になった、なんともまぁ･･････単純といっていいのか
そんなこんなで１０分はあっという間に経ち、ブルーが所定の位置に座った
「お手柔らかにね」
「へへ、手加減無しでやりますよ、手ェ抜かないで下さいね」
「あら、そう･･･わかったわ」
ブルーがにやりと黒い笑みをしたのを周りは見逃さなかった、気付かないのは楽勝モードのゴールドのみ
イエローがゴングを鳴らした瞬間、ゴキバキィッと嫌な音が島に響き渡った
むろん･･････勝者ブルー、ゴールド５位決定
半泣きになりながら手当を受けるゴールドを後目に、イエローとシショーが冷えきった解説をし出した
「･･････圧倒的でしたね、ゴールドさんの修行メニュー量がまた増えたようです。
それにしても、ブルーさんはどうして最初から･･･あの力を出さなかったんでしょうか?」
『さてねぇ･･･本人に訊くのが一番早いかな』
シショーらに呼ばれ訊かれたブルーはしれっと言った
「乙女のひ・み・つ」
「･･････漸く最後です、そろそろ解説にも飽きてきました。
シルバーさん対ブルーさん、この勝負は･･･見えてますね、ハッキリと」
『･･････そうだね』
ブルーとシルバーが戦闘位置につく、姉弟対決か･･･
互いがにやりと笑い、二人同時に言った
「「男（女）の意地にかけても･･･負けない!!」」
勝敗の行方は･･････
「･･･あ、面倒なので解説も兼ねて発表します。 勝者は意外にもシルバーさんでした」
『この勝敗は先程の二つの試合を見たら、何か不正があったんじゃないかと思うくらい不自然だったね。
ブルーの敗因はそうだね･･･ゴールド戦で力を使い果たしてしまったのかもしれないね。
ま、時の運ってヤツかな、シルバーは男の意地を貫けたようだし･･･良いんじゃないかな』
「と言うわけで、改めて順位発表です。
レッドさんが６戦６勝で１位。
グリーンさんが６戦５勝１敗で２位。
シルバーさんが６戦４勝２敗で３位。
ブルーさんが１ランクアップで４位になりました。
未だに敗北を引きずって立ち直れないゴールドさん、５位です。
クリスさんはシショーの見立て通りで６位。
ボクは言うまでもないですね、最下位です･･･なんか鍛えた方が良いんでしょうかね」
周りから申し訳程度の拍手が起こる、ゴールドだけが独りいじけていた
元々ゴールドの提案だったからこそダメージも大きいわけだ、シショーがそんなゴールドに近づいて行く
「なんすかぁ〜、同情、慰めはいらないッスよ･･･こんなへたれに」
『･･･なんだかすっかり卑屈になったね。
ま、次があるから･･･その時リベンジすれば？』
「･･････『次』?」
『うん、この大会面白そうだから･･･定期的にやってみようかな、なんて･･･挽回のチャンスはまだあるから』
「･･･本気ッスか?」
『うん、このままで終わりたくないでしょ?』
その後シショーがぼそぼそと何かをゴールドに言った、みるみる顔が輝いてきた
･･･そして１分経たない内に･･･
「さぁっ!! 行くッスよ〜･･･目指すは『１の島』ぁっ!!」
･･･何故かなみのり出来ないゴールドが一番張り切っていたという･･･
イエローがポツリと言った
「･･･これでいいんでしょうか?」
『･･････早まったかな?』
「莫迦は増長して困るな」
「･･････なんとかなるだろ、出発しようか」
こうして俺達は･･･ナナシマがひとつ目の島、『１の島』へ･･････やっと向かったのだった
「･･･ＺＺＺＺＺ･･･」
「起きんかぁっ!! ディ〜ックッ!!」
リサのハリセンがディックの後頭部を強打した、先日の岩のキズが開いたのか盛大に血があふれ出た
ここは彼らのアジト中央部に位置する部屋･･･
直方体な灰色の小部屋の真ん中にドーナッツ型の円卓があり･･･方角の通りに四大幹部が座っていた
つまりジークの真っ正面はディックであり、見ていてあまりに目障りと言える
「･･･貴様らは遊んでいるのかぁっ!!」
と怒鳴ったのも無理はないと言えよう、ディックがむくりと起きあがりいつもの調子で言った
「･･･だから寝てないよ、で･･･何の話だっけ?」
「貴様は･･････もう良い、今日の会議は解散で異存ないなっ!!?」
と一瞬でジークの姿が消えた、リサが盛大にため息をついた
「まったくね･･･何考えてるのよ」
「･･････色々と、思いだしたよ今日の議題。
『ジョウトジムリーダーズ』のことだよね、ホラ、やっぱり寝てない」
ディックが顔面流血でにこやかに言った、ハッキリ言って不気味だ
リサがまた盛大にため息をついた、それを見て･･･
「･･･なんか悩み事あるの、恋愛関係とか?」
とディックが的はずれなこと言った
リサにぎろりと睨まれると慌てて口を塞ぎ、話をスグに切り替えた･･･
「そう言えば･･･またお見えにならなかった」
「･･････そうね、今日もお見えにならなかったわね」
･･････３人しか集まらなかった最高会議･･････
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