〜能力者への道10・意外〜




 「・・・・・・着いたのか」

 『着いたみたいだね、暗くなる前で良かった』

 「・・・今日はまともな所で寝られそうだな」


 やっと着いた『1の島』、立て看板に『ごえんが あつまる むすびじま』とあった
 皆はなみのりでへとへとだった・・・いつになっても慣れないものだ、体力の問題だろうか
 今までのいろは48諸島とは違い人家や店がある、確かに今日はまともな所で寝られるだろう
 ・・・がその前にと、シショーが島の中で一番大きな建物へ向かった


 『ポケモンネットワークセンター』と出ている、俺達はそこへ入ろうとした


 「待った」

 とグリーンに止められた、皆が振り向き理由を聞いた

 「・・・シショーのことだ、いいか・・・喋るなよ

 『あ、そうだね・・・・・・でも別に平気だと思うけどね』

 「早く入りましょうよ〜、腹減ったッス」

 
 ゴールドとシショ−がスタスタと中に入っていった、先程のダメージから立ち直ったらしい
 皆が諦めた表情で中へ入っていった・・・シショーは絶対喋るだろうな、と予測して


 中は明るくきれいな建物だ、中身は通常のポケモンセンターと変わらないようだ
 ただ違うのは・・・見たこともない大きな謎の機械がセンター内の半分を占拠していた所だ
 そこで誰かが作業をしているが、とりあえず謎の機械は無視して、先に回復をしようとしたら・・・


 「・・・・・・あれ、もしかして・・・レッド君達かい?」

 その作業している男性に声をかけられた、こちらには見覚えのない顔だが・・・
 眼鏡をかけたその人物がこちらへ向かってくる、レッド達は顔を見合わせている


 「・・・失礼ですが、どちら様でしょうか?」

 「あっ、そうでしたね・・・ぼくは『ニシキ』と云います、マサキさんから君達のことは聞いています。
 なんでもすごい実力者だとか・・・・・・ええと、そちらのヨルノズクは誰のポケモンですか?」

 
 ニシキという青年はシショーの傍にやってきた、マサキから俺達の手持ちを聞いたことがあるのだろう
 そんなニシキににこやかにシショーが挨拶をした

 『はじめまして、ガイドと云います。
 ・・・マサキさんのお知り合いでしたら話が早い、至急彼に連絡を取って貰いたいのですが・・・』

 「・・・・・・ええと、その・・・・・・ポケモンが喋ったぁ〜〜〜!!?」

 



 ・・・ニシキがちゃんと話が出来るようになるまでに、精神が回復したのは30分以上後のことだった


 もうすっかり日が暮れて、周りの野次馬に『映画の撮影です』とベタな大嘘をついて・・・シショーにたっぷりと説教をして・・・
 ゴールドが売っていたホットドッグを二個食べ、皆が各々飲み物を飲みだした頃に漸く回復したのだった


 とりあえず一通りの事情を説明した、奴らに立ち向かうために旅に出たということ
 その為にシショーが俺達を導いてくれること、能力者のこと・・・
 最初の内はなかなか信じてもらえなかったけれど、話が終わって・・・漸く納得してくれたようだ


 「いやはや・・・そんな事情があったんですか、ジョウトのことは聞いています。
 取り乱してしまって、どうもすみませんでした」

 「いえいえ、いきなり喋ったシショーの方が悪いんですから・・驚かせてしまったようで」

 『・・・反省してます』

 「いや・・・それにしても本当に喋っているなんて、未だに信じがたいですがね」

 「そんなことよりも・・・・・・頼み事があるんだろうが」


 グリーンの言葉にシショーがうなずき、マサキと連絡が取りたいとお願いした
 ニシキが二つ返事で応じると、早速二階の通信センターへ皆が向かった





 「ええと・・・番号は・・・・・・よし、接続だ」


 ニシキがボタンを押した、数秒後に『通信がつながりました』と機械のアナウンスが流れた
 画面に懐かしい・・・程ではないが、久し振りに会うマサキの姿が映しだされた


 『もしもし・・・誰や、こんな時間に・・・』

 「お〜い、俺達だよ、レッドだってば」

 『!!! おお、久し振りやな・・・元気にしとったか?』

 「ああ、見ての通りだよ」

 『・・・今どこにおるんや、皆心配しとったたで!
 それに・・・ジョウト地方はメチャメチャやで!!?』

 「ああ、知ってる・・・今『1の島』にいるんだ。 ちょっとニシキさんと代わるね」

 レッドがどいて代わりにニシキが割り込んだ、先程話した一通りの事情を説明してくれた
 マサキも同じ様な反応だったが、シショーが顔を見せ、同じく喋ってみせると・・・納得したようだ


 『ほんまや・・・ポケモンが喋るなんてな、興味あるな〜』

 「あははは、俺達も最初はそうだったけどね、で・・・聞きたいんだけどさ」

 『なんや?』

 「・・・カントーはどうなったの、まだ『みさきの小屋』は攻撃されてないの?」

 マサキがう〜んと言った、そして真剣な顔で言った


 『・・・なんもあらへん。 カントーはマサラ以外に、まだどこも侵略も壊滅もしてへんのや』

 「「「「「「「!!!!!!!!!!!!!!???????」」」」」」」

 「そんな莫迦なことがあるかよ、あいつらがちょっと本気を出せば・・・あっという間にすんじまうんだぜ!!?」

 『しかしやな、ほんまにマサラ以外どこもやられとらんのや・・・。
 その代わり全くといって良い程、ジョウトの情報が入ってこんし・・・不気味な日が続いてるんや』

 
 今度は皆がう〜んとうなった、これは・・・いったいどういうことだろうか
 奴らのゲームにはカントーも含まれているハズだ、だが現実にはマサラ以外襲われていない
 何を考えているのだろうか、カントー以外に別の目的が何かあるのだろうか・・・


 『それとな、言いにくいんやけど・・・ナナミはんが倒れてもうた』

 「何だって!!?」


 その言葉に一番反応したのは実の弟である、グリーンだった
 話によればマサラ壊滅で博士とグリーンの消息がその日から絶えたこと、心労と研究時の疲労が一気に出た所為らしい
 グリーンの声を聞かせて安心させてやりたいのだが、今は薬を飲んでぐっすりと寝ているんだそうだ


 『ホンマ、すまないことに・・・』

 「全くだ、そんなになるまで姉さんを働かせていたとはな・・・」

 「て、ゆーかアンタも原因のひとつでしょうが」
 

 マサキとグリーンのやりとりは聞いていて本当に怖い、それにキリが無さそうだった
 ・・・シショーがマサキと二人で話したいと言ったので、グリーンを画面から引きはがして俺達はニシキさんと階下へ降りた
 そこで、ついでとは言えないが・・・『伝説のポケモン』について話を聞くことにした

 



 「伝説のポケモンねぇ・・・あれかい、サンダーとかのことでしょ?」

 「ええ、伝説の鳥ポケモンは『図鑑では追跡されない』という・・・もう一つ厄介な性質を持っていますから」

 「ふーん、そうか・・・それは地道に情報を集めるしかないね」

 「そうなんです、ですから・・・何か知りませんか?」


 しばらくの間ニシキが考えこんだが、結局首を横に振った・・・『ふりだし戻る』以上に厄介だ
 なにせ・・・まだ『ふりだし』にすら来ていないのだから、ブルーはこの状態から捕まえた経験はあるが・・・
 やったことは今と変わらず地道な聞き込みだったそうだ、運が良かったとしか言えないかもしれない
 シショーが戻ってくるまでの間、冷静になったグリーンはパソコンで情報を集めようと再び二階へ上がっていった
 俺達もこのセンター内にいる人達に聞き込みをはじめた、これもここへ来た目的のひとつなのだから・・・


 ・・・二時間後、シショーとグリーンが一緒に戻ってきた、皆も集合したが・・・成果は無かったようだ
 どっと疲れが出始めたのか、皆が欠伸を繰り返した・・・なみのりの後だ、そろそろ限界か 


 ・・・今日はニシキの家に泊めてくれることになった、それと夕食までごちそうになれるとか
 ゴールドは諸手をあげて賛成し、ポケモンネットワークセンターを後にした


 外は暗いが星がきれいで・・・都会では見られない景色だった
 そんななかでイエローがあれっと言った、皆がイエローに注目した


 「・・・どうした、イエロー?」

 「ええと、向こうの・・・山の方!! 噴火です!!」

 
 イエローが指を指した、確かに・・・『ともしび山』とか云う山の頂上付近で・・・赤い火が見えた
 

 「うわっ・・・噴火かよ、ええと・・・へそ隠さなきゃ!!」

 「何をとち狂ってやがる!! それは雷だ、莫迦者!!」

 シルバーに言われたのがむかついたのか、また口論が始まった
 それを無視してブルーがニシキに聞いた

 「あれは本当に噴火なんですか、だったら早く避難をしなきゃ・・・」

 「いや、おかしいね・・・あの山は確かに火山だけど、活動は既に停止したはずだ・・・」

 この言葉にシショー、グリーン、口喧嘩中のシルバー、ブルーがぴくりと反応した
 喧嘩を放棄したシルバーがニシキへ質問した


 「聞くが、あの山にはどんなポケモンがいるんだ・・・炎ポケモンは存在するのか?」

 「うん、ポニータやブーバーとか・・・オニドリルの巣も多いね」

 『・・・・・・そうか、だがあれだけ離れた所からでも見える炎を出せるとは・・・』

 「・・・可能性はあるわね、少なくともゼロじゃないわ」

 話の筋が見えてこないレッド達は首を傾げている、グリーンが言った


 「よし、明日はあそこに向かおう」





続きを読む

戻る