〜能力者への道11・夜茶〜




 「なぁ〜グリーン、どういうことなんだってば!!?」


 ここはニシキの家、夕食も食べ終わり・・・久々にベッドで眠れるのだ
 ただ空き部屋が2つしかないため、男子4人+シショーは同じ部屋で少し狭い思いをすることになった
 グリーンが部屋の電気を消そうとした時、レッドが先程の話について聞いた


 「・・・・・・あれだけ離れた距離でも見える炎。
 先ほど上がったギャロップなんかの・・・並の炎ポケモンのものじゃないのはわかるだろう?」

 「・・・え、ああ・・・っておい・・・まさか」

 『エンテイは消息不明、すなわち捕獲されているとすれば・・・』

 レッドとゴールドが驚きの表情を見せる、シルバーがポツリと言った


 「そう、あそこにいるのは伝説の鳥ポケモンが1体・・・ファイヤーもしくはホウオウの可能性がある、ということだ」

 「・・・マジかよ、俺達超ラッキーじゃね!?」

 『まだ可能性だと言ってるだろうに・・・』

 「でも・・・ゼロじゃないんだろ?」

 「その通りだ、明日は早い・・・さっさと寝るぞ」


 グリーンが電気を消した、疲れのためか・・・早くもいびきをかき出したのはゴールドだった
 シショーはやれやれと言って・・・周りを見た、他の3人は眼が冴えているようだ


 「・・・・・・奴らはどうしてカントーを襲わないんだろうな」

 『さて、気味が悪いね・・・確かに』

 「何か理由があるのだろう・・・例えば・・・」

 「例えばって・・・なんだよ、シルバー?」


 レッドが暗闇の中でシルバーに問いかける、が・・・沈黙の後『いや・・・何でもない』と言った
 グリーンに言われてレッドも目をつむった・・・でも眠れない、他の皆は既に眠っているようだ
 静かにベッドを抜け出して廊下へ出た、ひんやりとした空気が心地よい・・・窓から月が見える


 「・・・へぇ、今夜は三日月か・・・・・・きれーだな」

 「そうですね」

 びくっと暗い廊下を振り向くと、そこには寝間着姿のイエローがいた
 急に声をかけられたので心臓がどきどきいっている、夏向けだ・・・密かにそう思ったレッドだった

 「・・・眠れないんですか?」

 「え、あ・・・まぁな・・・イエローもか」

 「ええ、ちょっと考えごとしてて・・・おかしいですね、今日に限って。
 ・・・いつものボクならとっくに夢の中ですよ?」

 「ははっ、全くだ・・・で、何を考えてたんだ?」

 「・・・・・・忘れちゃいました」

 
 レッドがずっこける、なんじゃそりゃ・・・・・・イエローは月に視線を戻した
 ・・・・・・二人の間に沈黙が流れた





 ・・・どういうシュチュエーションなんだ、これ・・・レッドは自分自身に問いかけた


 そういや俺・・・逃げたんだよな、あの時・・・シロガネ山にゴールドと一緒に


 いや逃げたっていうか・・・その、何て言えばいいんだろうな・・・わかんねぇや


 ・・・・・・というか真夜中に二人っきりってどうよ、うわぁ〜・・・どうしよう





 レッドの頭がショートしだした、頭に血が上ってきた・・・苦手だ、こういうの・・・
 イエローがレッドの異変に気付いたようだ、首を傾げて問いかけた


 「どうかしました?」

 「い、いやっ・・・何でもない、何でもないって・・・」

 「? ・・・・・・変なレッドさん」

 イエローの動作にまた・・・反応を繰り返す、レッドの頭がくらくらしてきた


 ・・・やばっ可愛いかも・・・誰か助けて〜・・・いや微妙かも、別にこのままでもいいような?


 ・・・・・・つーか今の俺ってやばいんじゃ・・・うわぁ・・・どうなってんだぁ〜〜〜


 レッドの思考回路が壊れてきた、そんな状況でまた・・・暗闇から声がした
 ・・・またレッドは心臓が止まるかと思った、特に今は色々・・・考えていたから


 「・・・なんだ、レッド君とイエローちゃんか、青春してるねぇ」

 「あ、ニシキさんこんばんわ・・・」

 「・・・・・・なんかキャラ違くないか?」

 「今日初めて会っておいて、キャラとはねぇ・・・?
 いやね、物音がしたんで・・・泥棒かと思って、こんな夜更けに二人で何話してたの?」

 「いえ別に、ただの雑談ですけど・・・?」


 ニシキがふーんとうなずいた、妙な罪悪感にかられているレッドは早々に退散したかった
 ・・・がニシキはそれを止めた、理由を聞くとケロッとニシキが答えた

 「・・君達、今お腹空かないかい? お菓子があるんだけど・・・。
 ぼくは徹夜で研究してるんだけど・・・話し相手が欲しかったんだ、眠くなるまでどうだい?」

 「わーい、真夜中のお茶会ですか!!?
 早起きは三文の得って言いますけど、夜更かしでも得するんですね」

 「ん・・・そっか、じゃ眠くなるまでなら」

 レッドも合意すると、イエローと共にニシキの部屋に向かった


 「うん、良かった・・・どうしても残っちゃうんだよね、1人で食べるには多くてね」

 「そうなんですか。 今日は何ですか、おやつ」

 「えっとね、ワンホールのチーズケーキとホットミルク。
 ・・・そうそう、マサキはミルクが駄目だって知ってた?」

 「へぇ・・・そいつは知らなかった、でも・・・なんでワンホールも買うんだ?
 余るってわかっててさぁ・・・変だろ」

 「単純にね、1ピースをワンホール分買うより安いから・・・」

 「・・・無駄だ・・・」










 「さ、出発だ・・・起きろ、レッド!!」

 「うあ・・・駄目、も少しだけ寝かせて・・・」

 「布団から引っぺがしてやる!!」


 翌朝・・・レッドは起きるのが辛かった、結局明け方までニシキに付き合ったのだから
 イエローは途中でベッドに帰っていったようだし、ニシキは徹夜に慣れているので平然としていた
 

 結局レッドの寝坊で出発が1時間遅れてしまった、グリーンはそれで朝からいらついているようだ
 ・・・ニシキの家を出てスグになみのりをし、ともしび山への一本道『ほてりのみち』へ向かう
 寝不足+明け方まで食べていた真夜中のおやつ+朝食で胃がかなりもたれている
 ・・・なみのりで船酔いを起こすのは久し振りだった、足元がふらつく


 「・・・・・・まだ眠ぃ、きっつー」

 「文句を言うな、だから早く寝ろと言ったんだ!!」

 『・・・昨日は一緒に寝たよね、寝付けなかったのかい?』

 「あっと・・・それは・・・」

 「・・・えっとですね、昨日は一緒に夜中まで起きていたので・・・大体夜中の2時までは」


 イエローの言葉に周りの空気が冷えていった、ブルーの目がぎらりと光った
 ・・・・・・誤解の言葉パート2、レッドが慌てて反論しようとしたが船酔いで言葉が出てこない
 誤解が解けるまでに散々絞られ・・・レッドは既に極限状態だった、うつろな目が怖い・・・





 ・・・ほてりのみち・・・到着、無事なのは・・・レッド以外


 「・・・暑いわね〜熱気がすごい、春って感じじゃないわね」

 『聞いた話じゃここで温泉が沸いているとか、ファイヤーの影響じゃないらしいけど』

 「温泉ッスか〜、いいッスね・・・入りましょう!!
 おみやげは温泉まんじゅうで決まりッスね!!?」

 「勝手に入ってろ、莫迦が」

 またシルバーとゴールドの口論が始まった、皆はもう慣れたのか無視して先を進んだ
 辺りの草むらには成る程、ギャロップなどの炎ポケモンがかなりいるようだ
 クリスがポケモンに出くわすたびに次々に捕獲していく、どうやら自身を取り戻しつつあるらしい・・・が


 「・・・・・・ボール数が減っちゃいましたね」

 『頼むからクリス、先を考えてくれ・・・この後大物がいるんだから』

 「そうですね・・・・・・あっ、野生のブーバー!! 捕獲します!!」

 『・・・聞いてないし』

 「そうだな、人の話はよく聞こう」


 聞き覚えのない声が俺達に話しかけてきた、岩壁の上に・・・誰かいる
 その声の主がスタっと俺達の目の前に降りた、灰色のジャケットを着た男・・・奴らか


 「貴様・・・『The army of an ashes cross』の団員か!!?」

 「いかにも、俺の名はバルー・・・これより『ダブルバトル』をお前らに申し込む!!」






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