〜能力者への道14・説明〜




 ダブルバトルが始まってから・・・10分経たない内に大ピンチに陥ったイエロー&ゴールド


 バルーのラグラージが放った『ハイドロポンプ』が、ゴールドの技で増幅してしまう


 能力者特典で通常の3倍近くとなり・・・絶体絶命かと、思われた時・・・


 とっさのイエローの機転『電気分解』という無茶な秘策により、大水流をチャンスへと変える


 そして・・・電気分解の効果により、ゴールドのバクたろうの炎技が力を上げ・・・バルーに炸裂した










 『皆伏せろ、「オーバーヒート」だ!!』


 辺りの水素と酸素を喰い尽くさんばかりに燃え上がる、想像以上の威力だ
 あまりの火力に・・・この辺の岩壁が・・・崖崩れをも巻き起こした
 ・・・これではバルー自身、イエロー達の身も危ない、だが・・・・・・勝利は確定した





 「・・・どうなったのかしら、一体・・・皆生きてるかしら?」


 解説のブルーはケロッとしている、プリンの『まもる』で身を護ったらしい
 他の皆は地に這いつくばり・・・じっとしていた、イエロー達は無事だろうか・・・


 ・・・突然大雨になった・・・どうやら今頃になって『あまごい』の指示が伝わったのだろう
 辺りの残り火がジュウっと消えていく・・・・・・カイリューは当然のごとく無事だったようだ
 完全に火が消えたのを確認してから・・・皆がひょっこりと起き上がった、シショーが呼びかける

 『ううん・・・大丈夫か、皆!!?』

 「ああ、なんとかな・・・」

 「あ〜頭痛ぇ・・・・・・ひどいもんだな」


 『オーバーヒート』後の惨状を見てレッドが言った、辺りの地形が変わっている・・・
 皆がクシャミをした、大雨はまだ続いている・・・温度差で風邪を引きそうだ


 「それにしても・・・これが能力者同士の戦いか、夢のようだな、まるで・・・」

 「そ、それよりも! イエローさん達は無事なんでしょうか!!?」

 『ウム、そうだった・・・お〜い大丈夫か〜!!?』


 イエロー達が居たと思われる場所を見てみる・・・・・・焦げた大地に2人が横たわっていた
 ・・・が、スグにむっくりと2人が起き上がった


 「あ〜〜〜ヤバかった、まさかこんなになるとはなぁ」

 「・・・もの凄く熱かったです、手加減なんか出来ませんしねぇ・・・あ、雨だ」

 『二人とも無事なのか!!?』


 シショーの呼びかけにぶんぶんと手を振って応える、どうやら・・・大したケガはないらしい
 ブルーがバルーのいた辺りを見てみた、カイリューは戦闘可能だがトレーナーが指示出来なければ・・・
 この勝負・・・イエロー達の勝利で良いものか、ブルーは決めかねていた・・・だが皆はもう勝った勝ったと喜んでいる
 だが・・・あれだけの炎を喰らえば・・・いくらラグラージでもひとたまりもない、むろんその横にいたトレーナー自身も・・・


 ブルーが高らかにイエロー達の勝利宣言をしようとした時だった


 「・・・・・・やるじゃねぇか、さすが・・・チャレンジしたかいがあったぜ」


 皆が目を見張った、奴が立ち上がった・・・ラグラージもだ
 ゴールドが叫んだ


 「テメ・・・どうやってあれだけの炎喰らって無事なんだよ!!?」

 「まさか・・・・・・『まもる』ですか」

 「・・・違う、よし良く聞いとけ・・・何故俺は立ち上がれたのか、それはラグラージの後ろにいたから。
 さっきの『オーバーヒート』の威力を単純計算してみようか、まず・・・
 『オーバーヒート』×『にほんばれ』VS威力が衰えた大水流
 150×1,5VSいいとこ100、タイプ相性で2倍でも200か・・・
 225VS200・・・能力者特典が起きたとして足し算して、威力425・・・『じばく』2回分以上だな。
 だがラグラージのタイプは『水』『地面』受けた時のダメージは4分の1だ、それでも100以上・・・大したモンだ。
 加えて『電気分解』の効果で通常の2〜3倍の威力になっていたとしたら・・・俺のラグラージでもジ・エンドだな」

 「じゃ、どうして立っていられるんだ!!?」


 ゴールドが叫ぶのを抑えさせて、イエローが静かに言った


 「・・・あなたの『トレーナー能力』・・・ですね」

 「!!!?」

 「・・・その通り、俺のトレーナー能力は『特攻軽減』つーもんだ。
 名の通り『手持ちポケモンへのあらゆる特殊攻撃の威力を軽減する』やつでな、これのおかげで耐え抜いたわけだ。
 でもまぁ・・・せいぜい『ひかりのかべ』が強くなった程度だけどな、まだ発展途上の能力だ」

 「・・・そんな能力まであんのかよ」


 バルーがにやりと笑った、イエローがゴールドに向けて言った

 「でも・・・恐ろしいのはあの人のトレーナー能力ではありません。
 ・・・実際にあの炎に耐え抜いた鍛え抜かれたポケモンです」

 「・・・・・・あのラグラージの残り体力は、どれくらいなんッスかね?」

 「・・・もうそんなに無いと思います、見たところ『やけど』状態にもなってます。
 このバトルでは『回復アイテム類』は使用禁止ですから、後の敵は上空にいるカイリューだけでと考えて良いでしょう。
 ・・・ですが、先程の電気分解でチュチュはもう・・・『10万ボルト』のPPがあと1しか無いんです」


 ・・・となると決め手には欠ける、ここはゴールドに頑張って貰うしかないようだ
 ブルーが試合続行します、と言った・・・後の敵はカイリューだけ!!
 大雨が降り続く中、バルーが叫んだ


 「お前らを認めてやろう、故に俺も本気を出させて貰う・・・覚悟しろ!!」

 「「・・・・・・え?」」


 今までは・・・本気じゃなかったのか!!?
 ハッタリだ、奴のラグラージはもうボロボロだ・・・となれば上空のカイリューが来るのか
 イエロー達が身構える、バルーが叫んだ


 「見せてやろう、俺の『特能技』を!!」


 ・・・・・・特能技!!?


 「見よ喰らえ、『天氷震撃〜てんひょうしんげき〜』!!」










 ・・・恐ろしい技だ、グリーンが最初に思ったことだった


 奴の特能技はいわゆる『複合技』だった、レベルの高いカイリューとラグラージが居なければ発動が不可能だろう


 カイリューが使った技は『あまごい』と『かみなり』、ラグラージは『ふぶき』と『じしん』だ
 ・・・これらの技を同時に放つのが奴のの特能技『天氷震撃』なのだろう、そのまんまのネーミングだ
 つまり上空は『かみなり』、中空は『ふぶき』、地上は『じしん』・・・・・・逃げ場のない威力100以上の同時攻撃が技の正体


 ・・・・・・イエロー達の負けだ、2人と2人のポケモンは既に力尽きているだろう
 特能技を受けるのは誰もが初めてで、対応が遅れたのだろう・・・奴の技ををモロに喰らったようだ
 ・・・よく頑張った・・・後は俺が奴を倒して仇を討つ、そう・・・俺が・・・


 そう思った時だった・・・ひび割れた大地にイエロー達が立ち上がったのだ、フラフラになりながらも・・・
 これにはバルーも驚いたらしい、雲の合間から晴れ間が見える・・・ゴールドが言った


 「・・・へへっ、不死身のゴールド様をなめんなよ?」

 「今日・・・初めて出来るようになりました、レヴェルアップですよね?」

 「莫迦な・・・・・・俺の特能技を・・・」

 「・・・まだ回復の途中なので・・・」


 とバルーを無視して・・・イエローの体がポウッと光った、そうか・・・イエローの『トキワの癒し』の力か
 恐らく『じしん』ではなく効果の薄い『ふぶき』の中へ飛び込んだのだろう、ジャンプなんかをして
 ・・・2人の対応は遅れていなかった、耐え切れれば、HPが1でも残っていれば回復させられると・・・ 
 レベルアップとはすなわち『能力者によるダメージも回復』+『戦闘中でも回復が可能』が出来るようになったと言うことらしい
 チュチュの体がみるみる内に回復していく・・・だがいつもより速度が遅い、なれていないからか・・・


 2人の好プレーに一番驚いているのは、やはりバルーだった・・・これはショックが大きいだろう


 「お前が・・・回復能力者だったのか!!?」

 「『アイテム使用禁止』でも回復ぐらいなら出来ますよ・・・PPは回復しませんけど。
 ・・・・・・この回復が終わったら、ゴールドさんの番・・・そしたら反撃開始です!!」

 「ぬぅ・・・・・・って、そういやその・・・ゴールドはどうした?」

 「へっ? ・・・あれぇ?」


 イエローがよそ見をしていたら・・・いつの間にかゴールドとバクたろうの姿が消えていた
 回復の途中だが手を放し、辺りを見回した・・・バクたろうはまだ回復させていないのに!!


 「ゴールドさん、どこですかぁ〜!!?」

 「・・・逃げたか、臆病者めが・・・まぁ良い、もう一度『天氷震撃』を喰らわせてやる」

 
 イエローの顔が青くなる、この状態では次は耐えられない・・・万事休すか
 バルーが笑って言った


 「仲間を見捨てるとはな・・・見下げた奴よ」

 「・・・ゴールドさんは仲間を見捨てたりなんかしません!!」

 「だがいないのだ・・・喰らえ、俺の特能技を再びな」
 

 ・・・・・・ゴールドさん、どこに行ったんですか!!?





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