〜能力者への道15・勝敗〜




 誰もの想像を絶した『オーバーヒート』、バルーのラグラージに直撃・・・勝利を確信したのだが・・・


 ・・・バルーは自らのトレーナー能力でそれを耐えきった、満身創痍だがラグラージもひんしにはならなかった・・・


 この結果バルーは特能技を使うと宣言、その『天氷震撃』の威力はすさまじいものだった


 だがイエロー達も負けてはおらず・・・立ち上がった、バルーはショックを隠しきれない・・・


 イエローの能力『トキワの癒し』で反撃の機会を狙う・・・が、ここ一番の局面でゴールドの姿が消えてしまった!!?


 バルーの力に恐怖し逃げ出してしまったのか・・・そして再び、残されたイエローに『天氷震撃』が・・・










 「・・・喰らえ、今一度『天氷震撃』を」

 「ゴールドさん、どこに・・・・・・」


 これには周りも驚いていた、まさか・・・あのゴールドが!!?
 ボロボロになったラグラージが力を溜めはじめた、それを止められる技をチュチュは覚えていない
 仮に覚えていたとしてもそれを扱えるだけの力すら回復していない、絶体絶命・・・・・・


 「・・・臆病者めが、女子ひとりを置いていくとは・・・・・・」

 「本当に信じられないわ、あのゴールドが・・・・・・あら?」


 解説のブルーが何か気付いたようだ、だが他の皆は気付かないようだ・・・
 ・・・バルーの方はあとは命令ひとつで技を放てるらしい、ゴールドは間に合うのかしら、と勝手に思った


 「・・・やけど状態のせいで溜めが遅れたか、しかし今終わった!!」

 「・・・だったら勿体ぶらずに早く放ったらどうなんですか?」

 「なっ・・・・・・生意気な! お前はパートナーに見捨てられたんだぞ!!?」

 「いえ・・・そうは思いません、だから・・・信じます、ゴールドさんが何かをしてくれることを!!」

 バルーが『もう良い、放て!!』と言った・・・・・・信じています、皆・・・ゴールドさんのことを











 「・・・・・・呼びましたか、麦わらギャル?」


 技を放つ瞬間だった・・・ラグラージが動く瞬間に突然に現れたのだ


 ・・・・・・バクたろうが、ラグラージを羽交い締めにしている、この状態では何も出来ないハズだ
 いつの間にかちゃっかりとゴールドもその場にいた、本当に何故・・・
 一番驚いたのはやはりバルーだった、本当に何故こんな所に突然現れた!!?


 「・・・その呼び方、随分と久し振りですねぇ。
 それにしても・・・来るのが遅すぎです」

 「わりぃわりぃ・・・一番いいタイミングで出てこようと思って・・・」

 「・・・・・・それ本当ですか」


 イエローからもの凄い殺気が放たれる、ゴールドは慌てて弁明した


 「嘘です、嘘!! バクたろうの体力が足りなくて・・・。
 思いの外『あなをほる』のに時間がかかっちゃって・・・すみません!」

 「・・・『あなをほる』だと!!?」


 見れば成る程、ラグラージのすぐ横に大きな穴があった・・・これが消えた理由だったのか
 イエローもまた灯台もと暗し、回復に専念していたせいか見逃していた・・・ブルーはこれに気付いたのだ
 バクたろうがラグラージの足下まで『あなをほり』、その身を以て技の発動を防ぐ
 ・・・考えもしなかった行為だ、それ故に意表を突かれ、結果がこれだ
 バクたろうに押さえつけられ・・・ラグラージは技も動くことも出来ないようだ、完全にしてやられた


 「(あいつら・・・特能技の弱点を見つけたのか!!?)」


 ・・・・・・特能技の弱点は2つ、『技名を言うのに失敗する』か『放つポケモンが発動不可能になる』ことだ


 特能技とは本来・・・従来のポケモンの技に存在しない、各トレーナーのオリジナル技のことだ
 だから技名を間違えると、ポケモンは何の事だかわからなくなり・・・硬直状態になってしまうのだ
 まぁ・・・・・・これは滅多にないことだ、トレーナー自身もあまり難しい名前は付けないからだ


 今回は後者の方、『天氷震撃』の様な2体以上で行う複合技の場合、そのどちらかが技を使えない場合・・・発動が不可能になる
 『あまごい』『かみなり』『ふぶき』『じしん』が合わさって『天氷震撃』となる、これが重要だ
 どれか1つが欠けると指示のミスとなり・・・他の3つの技は放たれることなく、PPを無駄に減らして終わってしまう


 トレーナー能力を扱える者だけの特権、『特能技』・・・だが弱点もあるということを忘れないで欲しい
 

 「・・・・・・だがどうする気だ、考えも無しにただ張り付くだけか?
 お前のポケモンがラグラージから離れれば、スグに『天氷震撃』が発動出来るんだ・・・溜めは終わっているからな。
 それとも『やけど』できぜつするまでそうしている気か、それも無駄だ・・・そうなるのはまだ先の話だ。
 そして極めつけが・・・・・・俺のカイリューはまだ無傷ということだ、諦めて降参しろ」

 「イエローさん、さっさとチュチュを回復させてください、俺のことは気にせずに。
 時間はありませんがせめて・・・とびっきりの『10万ボルト』が放てるくらいに」

 「・・・はい、そのつもりです!!」


 イエローが回復を続行した、完全に無視された・・・バルーが怒鳴った


 「ええい、ふりほどけラグラージ、相手はもうボロボロなんだ!!」

 「それはアンタも同じでしょ〜・・・それに誰がコイツの気絶なんか待つもんか。
 ・・・言ったでしょ・・・負けっ放しは嫌だってさ・・・」


 ゴールドがにやりと笑った、何をする気だ・・・バクたろうの体がまた燃え上がった
 最後の力を振り絞っているからか・・・幾らふりほどこうとしても離れない・・・
 ・・・・・・何をする気だ、まさか・・・まさか!!?


 「ピ〜ンポ〜ン、この距離からなら・・・タイプ相性なんか関係無ぇ、くたばりやがれ」

 「ば、莫迦な!! そんなことをして何の意味がある!!?
 ・・・そんなことをしたらお前のバクフーンは・・・」

 「知るかよ、それに少なくともこんなんじゃ俺のバクたろうはくたばらねぇよ。
 それに言ったろ、負けっ放しは嫌だって・・・相討ちなら負けじゃねぇ・・・それだけだ。
 ・・・・・・特攻が2段階下がっちゃってるけどな、ボロボロの体なら効くだろ」
 
 「!!! まだふりほどけないのか!!? 急いでふり・・・」

 「・・・遅ぇよ、バクたろう『オーバーヒート』だ」


 密着状態からの『オーバーヒート』がラグラージに炸裂した、通常とまったく変わらぬ威力をもって・・・
 ・・・バクたろうの『特性・もうか』・・・その力、ピンチの時に炎タイプの技の威力が上がるというもの・・・
 これを知っていたのかは・・・恐らく知らなかっただろう、だが・・・結果ラグラージはきぜつした


 それと同時に自らにもダメージが、バクたろうも地に伏し・・・ゴールドも気が抜けたのか・・・倒れた
 だがイエローは動じない・・・・・・ゴールドの分も頑張り、最後はやっぱり勝ちたいから・・・


 「・・・・・・回復終了です、ゴールドさん・・・有り難うございました」

 「くっ・・・ハハハハッハッハ、凄いぞ、凄い・・・チャレンジして本当に良かった!!」


 バルーが大笑いをした、そしてイエローの方をにらみなおした

 「俺のカイリューの全力でお前を倒す!!」

 「・・・負けません、皆のためにも」

 言い返すイエローに、バルーが言った

 「・・・・・・俺のカイリュー最後の技、それは『すてみタックル』!!
 だがただのじゃないぞ、遥か上空から急降下し・・・そのスピードを上乗せしたものだ。
 お前の進化していないピカチュウじゃ受け止めることは出来ない、バクフーンならまだ望みはあったがな。
 ・・・健闘をたたえて棄権を許す、さもなければお前のピカチュウは死ぬ!!」

 
 周りがゴクリとつばを飲み込んだ、そんな技まで隠し持っていたのか・・・
 棄権した方が良い、命あってのものだねだ・・・・・・だがイエローは退かなかった


 「・・・・・・お願いします!!」

 「・・・良かろう、そんなに死にたいのか。 カイリュー!! 『すてみタックル』だ!!」


 バルーが指示をする・・・・・・上空からキィィィンと音がした、それと同時にイエローが指示した


 「チュチュ、『じゅうでん』!!」





 ・・・足りない、グリーンが思ったことだった、足りないのは時間だ


 バルーのカイリューが上空から急降下して・・・チュチュにぶつかるまでにかかる時間は・・・見積もって10秒!!
 

 それに対してイエローは『10万ボルト』ではなく、先に『じゅうでん』をしたのだ


 これはかなり良い判断だった、チュチュの唯一の電気攻撃・・・だがバルーのトレーナー能力は『特攻軽減』!!
 これにより通常の『10万ボルト』では倒せないと判断、そこで『じゅうでん』で威力を上げようとした
 そう・・・ここまでは良かった、だが・・・時間が足りない!!


 ピカチュウの『じゅうでん』は6秒、『10万ボルト』が相手に届くまでに5秒・・・計11秒もかかってしまうのだ
 ・・・たった1秒の差・・・・・・だが勝敗は目に見えているのだ


 ぶつかる間際に・・・すれ違いで『10万ボルト』を放たなければチュチュの体は・・・
 ・・・間違いなくその小さな体は吹き飛んでしまう・・・大きな1秒の差だ
 だが『じゅうでん』をしなければカイリューは倒せない、しても1秒足りない・・・
 ・・・・・・決定的に時間が足りない、もうすぐ・・・その結果が出る





 『じゅうでん』を終えたチュチュに、イエローが次なる指示をした


 「『10万ボルト』準備して、急いで!!」


 チュチュが更に上乗せした充電が始まったが・・・カイリューはもう10m無い距離にいる
 ・・・予想よりカイリューは速かった、もう2秒もかからないだろう・・・決定的に時間が足りなかったか・・・


 「終わりだ、消し飛べ」





 激突する際に・・・・・・誰も気付かなかった






 ・・・・・・バクたろうの姿が消えていたことに





 そして・・・消えたバクたろうは・・・激突の瞬間に・・・イエローとチュチュ、カイリューの間に突然現れた


 「・・・莫迦な!!?」

 「・・・・・・どうして?」

 『チャンスだ、イエロー!! ・・・カイリューの動きは・・・』


 カイリューとバクたろう・・・ブロック出来たのはほんの数秒だった、だが・・・大きな数秒だった
 チュチュの充電が終わったと同時にバクたろうが倒れた、完全に動きの止まってしまったカイリュー・・・


 ・・・イエローが叫んだ


 「チュチュ!! 『10万ボルト』!!」


 バルーにも届く程の威力を持った電撃が、カイリューを襲った・・・・・・勝負あり!!





 「・・・な、ぜだ・・・・・・まさか『アイテム』を使用したのか!!?」

 「んなことするかよ、ルールは守ったぜ」


 電撃を受けフラフラなバルーに、寝転びながらゴールドが言った


 「・・・移動はさっき掘った穴から、奇跡の復活を起こした
のは・・・」


 倒れたバクたろうから黒こげになったヒモが風に舞った、周りは驚いている・・・そうか、それを・・・


 「・・・焼け焦げても使えるんッスね、『きあいのハチマキ』」

 バルーは信じられなかった、これでは全くのバクチ、運任せではないか!!?
 しかし結果は黒こげになっても効果を発揮・・・そうなる確率はきわめて低いものだ
 だが・・・彼らの負けん気が運を引き寄せた、天は彼らに味方した・・・潔く負けを認めよう


 「・・・・・・確かに・・・ポケモンの持ち物まで、は・・・ルールに入っていなかった・・・な」

 フラフラになりながら・・・最後にバルーが叫んだ


 「・・・人の話をよく聞いていて良かったな、見事だぁーーー!!」


 そうしてバルーは力尽き、その場に崩れ落ちた・・・
 カイリュー&ラグラージ・・・戦闘不能、よって勝者は・・・ブルーが高らかに言った


 「イエロー&ゴールドチームの勝利です!!」





 ・・・・・・ダブルバトル決着・・・・・・


 バルー(カイリュー♂&ラグラージ♀)VSイエロー&ゴールド(チュチュ♀&バクたろう♂)

 勝者イエロー&ゴールド 敗者バルー

 
 使用したトレーナー能力

 バルー『特攻軽減』・・・手持ちポケモンが受ける特殊攻撃のダメージが軽減される。
 ただし、まだ『ひかりのかべ』が強くなった程度らしい。

 イエロー『トキワの癒し』・・・HPが1でも残っていれば体力を回復させることが出来る。
 だだしPPは回復しない、回復にはある程度の時間がかかる、同時回復はまだ出来ない。
 レベルアップで能力者によるダメージも回復可に、バトル中でも出来るように・・・ただし速度はまだ遅い。


 使用した特能技
 
 バルー『天氷震撃』・・・使用ポケモン・ラグラージ&カイリュー。

 その実体は『あまごい』『かみなり』『ふぶき』『じしん』の複合技。
 上空は『かみなり』、中空は『ふぶき』、地上は『じしん』・・・逃げることは不可能。
 ただしそれぞれのPPは減るので、最高5回までしか使えない。





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