〜能力者への道18・不毛〜
・・・バルーを倒し先へと進むレッド一行、その途中に『ともしび温泉』があった
ゴールドとブルーが入りたい、と主張するが・・・無視して一行は先へと進む・・・
・・・が歩いた先にあったのは海、辺りも暗くなってきた・・・結局温泉にて休むことになった
宿がないので野宿だが、温泉は無料でたっぷりと浸かれるそうで・・・今日の旅の疲れを皆が癒す
・・・・・・ゴールドがのぞきに失敗、とばっちりを受けたレッドとシルバー・・・夜は更けていく
その一方で『The army of an ashes cross』で『玄武』がジークにある指令を下した・・・
『謎の機械を大量生産せよ、そして戦闘能力者全員に配れ』と・・・そして『玄武』は謎を残したまま、立ち去っていった
「アンタらって何なのよ・・・ハッキリしないわね〜」
「だって・・・その・・・」
イエローはしどろもどろしている、ブルーは納得がいかないのか・・・次々に質問攻撃をする
・・・クリスは2人の間に張り込めないようだ、ただ成り行きを見守っている
ブルーが・・・質問を繰り返していく内に、重要なことを忘れていた
「・・・そういや、さっきのぞきにきたのは誰だったのかしら?」
「多分・・・・・・ゴールドじゃないかと・・・」
クリスがため息をついて言った、そんなことをするのは・・・アイツしかいないだろうと
だがブルーはにやりと笑って言った
「わかんないわよ〜? 見えたのは手だけだし、湯気で顔も見えなかったし。
・・・男なんてのは皆そんなものだしね、案外レッドやらシルバー・・・意外でグリーンかもねぇ・・・」
「そんな・・・レッドさんやグリーンさん、シルバーさんがするわけないじゃないですかっ!!?」
「(・・・ゴールドは除外の対象じゃないのね、やっぱり・・・)」
必死で反論するイエロー、ブルーは面白がっている
・・・気付いてみれば、何故か犯人がレッド、目当てはイエローと云う路線で言い争いになっている
ブルーの巧みな話術の所為だろうか、イエロー自身もその不自然さには気付いていないようだった
「・・・だから、レッドさんはそんなコトしませんってばっ!!」
「あら、別に見られても良いんじゃないの、レッドなら」
「何ですかっ!! もう・・・いい加減にやめて下さい!!」
流石にイエローも怒りだした、そんな言葉にブルーはしんみりとなった
この変化にイエローは戸惑った、そして・・・・・・・ポツリと言った
「・・・そうよね、誰が見に来たのかわかんないんじゃ・・・ねぇ」
「・・・え、ええ! そうですよ、やっとわかってくれたんですね」
「だったら聞いてみましょうよ」
「・・・・・・え?」
ブルーが隣へ呼びかけようとするのを、イエローとクリスが慌てて口をふさぎそれを防ごうとする
だが・・・・・・それも虚しく、何もまだ言っていないのに隣から返事が返ってきたのだ
『おい、やかましいぞ』
「あ、すみません! ・・・えっと・・・グリーンさん」
『全く・・・お前らの会話はこっちへ全部筒抜けだぞ』
「・・・・・・えぇっ!!?」
・・・ってことは、今までの会話総て・・・レッドさんにも聞こえているの!!?
イエローが湯の中へぶくぶくと沈没した、解放されたブルーがグリーンに聞き返す
「それは面白いことになったわね、で・・・結局誰がのぞいてたの?」
『・・・・・・』
・・・・・・沈黙
イエローがまた息が続かなくなって、顔を出してスグにグリーンに向けて叫んだ
「あ、あのっ・・・レッドさんには言わないで下さい、さっきの会話!!」
普通に考えれば・・・グリーンに聞こえているなら、他の皆にも聞こえていると思うのだが・・・
今のイエローにはそれすら忘れているようだった、グリーンが言った
『・・・別に言った所で、俺に何の得もない』
「ありがとうございますっ!!」
『それに元から聞こえていないと思うぞ、気絶しているからな』
「・・・・・・はぃ?」
「それって・・・もしかして・・・」
クリスがポツリと言った、ブルーは勝ち誇ったように笑う
「・・・やっぱりねぇ〜、アタシの言う通りじゃない」
「きっとただの湯当たりです!!」
また不毛な言い争いが始まったようだ、クリスも流石に馬鹿らしくなってきて・・・止める気にならないようだ
・・・それはグリーンも同じのようで、弁解する気もなく・・・さっさと風呂から出てしまった
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
「・・・アタシが悪かったわよ、反省してます」
「あの時止めとけば良かったよ、全く・・・どうするんだ!!?」
「イエローさんしっかり!!」
・・・あれから風呂のなかでずっと言い争っていたらしく、それが原因でイエローが倒れてしまったようだ
当然のごとくブルーは叱られ、イエローを必死でガイドとクリスが看病している
「あ〜〜〜ひでぇめにあったぜ」
「それはこっちのセリフだ、莫迦野郎!!」
「後でイエローに説明しなきゃ・・・まずいかな」
3人もまた感電から回復したはいいが、状態はイエローと同じ・・・すっかりのぼせている
ひんやりとした夜風が・・・こんなにありがたいものとは思わなかった
シショーが3人に声をかけた、先程から看病でパタパタと飛び回っている
『・・・やれやれ、ひどいことになったね』
「全くだ、風呂に入った気がしない・・・入り直してくる!!」
シルバーがまた温泉の方へ戻っていく、ゴールドが感心したように言った
「・・・まだ入る気か、アイツ・・・もしかして温泉好きなのか?」
「・・・・・・寝不足+胃もたれ+船酔い+肉体&精神疲労+感電+湯当たり・・・か。
俺って今日・・・厄日なんじゃないか・・・全く、う〜〜〜何か気持ち悪くなってきた」
とフラフラになりながら・・・自分のテントに戻っていったという
・・・・・・ある意味忙しかった今日一日も間もなく終わろうとしていた
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
舞台は再び温泉、男湯・・・・・・ただ今シルバー1人で入浴中・・・・・・
「・・・良い湯だなぁ」
・・・さっきは入った気がしなかった、全く、総てはあの莫迦の所為だ・・・
だがそんなことは今は忘れ、のんびりと浸かっていた・・・やはり温泉は良いな、と思いながら
1時間ほど入っていただろうか・・・そろそろあがろうか、そう思っていた時だった
今までシルバー1人だった温泉に誰かが入ってきた・・・・・・大方皆の内の誰かと思っていた
だが・・・・・・違った、レッド先輩達でも誰でもない・・・圧倒的な威圧感をその人物は持っていた
湯気で顔は見えないが、恐らく初対面の人間だろう・・・シルバーは心底そう思った
何故なら・・・・・・仮面の男以上の威圧感を持った人物など、今までに会ったことがないからだ!!
そしてその人物は湯殿へと入ってきた、シルバーが身を固くした・・・緊張しているのか、俺が!!?
「・・・失礼、入らせて貰うよ」
「あ、ああ・・・別に誰が入っていたって良いんだろう」
「・・・そうだね、何となくかな」
妙に言葉もぎこちなくなり、会話も不自然だ
声が洞窟内によく響き、男性の声なのに高く聞こえる・・・・・・いや、まさかな・・・
自らのあらぬ想像にシルバーはぴしゃりと自らの頬を叩いて改めた、こんな想像もあの莫迦の騒ぎの所為だ
・・・それにこの人物から・・・・・・不思議な感じがする、何故だかあがろうとしていたことを忘れていた
不意にその人物が・・・シルバーに話しかけた
「・・・・・・ねぇ、シルバー君・・・・・・」
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