〜能力者への道22・登山〜
朝早くから始まった『幹部候補会議』・・・なんと8人もの出席、珍しい日となった・・・今日の主な議題は2つだった・・・
ひとつめは『元・幹部候補ブレイドの行方がわからなくなった』こと、指令によりとある人物・・・
『キリュウ・トウド』博士を迎えに行ったまま戻らないと・・・・・・だがこの議題はほぼ無視されて終わった
他の幹部候補の目的はもうひとつの議題、『規律違反者・バルー』について・・・そうイエロー&ゴールドチームが倒した男だ
下っ端だが倒せるようになった・・・この成長ぶりには、8人の幹部候補達の興味をそそったが・・・
・・・結局『興味はあるが、放っておく』ことで全員一致・・・・・・よくわからない、ゲーム感覚のような決定だった
・・・・・・まぁ、なかには一部の心内では・・・どうだか知らないが、変人だらけの会議は一応終わった・・・
・・・かと思いきや、ジークからの伝言、そして・・・・・・謎のあの機械が配られた・・・
・・・話は少しだけ戻って、レッド達がともしび山に上陸した時までさかのぼる
『・・・ずいぶんかかったねぇ』
「そうだなぁ・・・・・・手遅れにならなきゃいいんだけどな、先越されているとか」
「・・・・・・『尾行者』の気配は無いんだが、俺達に察知される程莫迦でもあるまい・・・判断がつかないのが嫌な所だ」
皆がなみのりポケモンから降りて、山の入り口に立った・・・この頂上に何かがいるんだ
『さてと・・・登りますか』
「いつでもオッケイでッス!!」
・・・シショーとゴールドが先頭、後に皆が続いた・・・・・・登山開始だ
「・・・とまぁ、意気込んだは良いけどさぁ・・・」
『早速分かれ道だね、どっちへ行く?』
山に入ってスグに・・・道は左右に分かれていた、ここは・・・・・・多数決といきたいんだけどな
チームの意見が分かれるって・・・もの凄く恐い時がある、でもそれ以外に方法は・・・
「シショーに上から見てきてもらったらどうですか?」
・・・・・・ナイスアイディアだ、イエロー
早速シショーがパタパタと上空へ飛んで・・・左右をを見回した
・・・しばらく見ていると、いきなり『あっ』と叫んだ・・・その時シショーは右の方向を見ていた
急いで降りてきて、皆に『右』へ早く行こう・・・と言った、理由は見ればわかるそうだ
・・・・・・何のことだかさっぱりわからなかった、が・・・とりあえず言う通りに右の道を進むことにした
・・・5分は歩いた所で、何故か先頭に立っていたグリーンとシショーが岩陰に来た途端に・・・小さく『止まれ』と言った
それが急だったものだから、皆が次々に・・・前の人の背中に顔なんかをぶつけるハメになった
・・・レッドが文句を言った
「・・・おい、なんだよ一体・・・」
その言葉にグリーンがこの先をそっと見てみろと、レッドにうながした・・・そしてレッドもまた小さく『あっ』と言った
・・・・・・その先はただの行き止まりだった、別にただ引き返せばいいのだが・・・出来なかった
何故なら・・・・・・忘れることの出来ない衣装を着た人間達がそこにいたからだ、そして気になるからだ
・・・どうしてこんなところにいるんだ、黒装束のあの集団・・・その名は・・・
「・・・・・・ロケット団!!?」
「・・・何をしにここに来たんだ?」
『どういうことだろう、彼らは解散・・・壊滅したんじゃ?』
「・・・・・・そうね、でも少なくとも・・・今目の前にいるのは事実よね」
皆が声を小さく会話した、ここで気付かれるのは得策じゃない・・・だがいつまでもここにいるわけにもいかない
・・・・・・グリーンが言った
「どうする? あいつらは・・・放っておくか、何をしに来たのか問いつめに行くか?」
「・・・微妙ね、この状況じゃ難しいわ」
「あっ・・・・・・あいつらどっかに行っちゃいますよ!!?」
ゴールドが言った時にはすでに遅し、向きなおった時にはもう・・・ロケット団員達の姿はなかった
・・・・・・当面の敵が増えてしまった、そんな気がする・・・・・・厄介な話だ
皆がウンウンとうなっていると、クリスが気まずそうに言った
「・・・一応来た道を戻りません?」
『そうだね、考えてもしょうがない・・・このことはひとまず忘れて、目的の山頂を目指そうか』
・・・・・・また山の入り口まで戻り、今度は当然『左』の道を行った
途中で『だいばくはつ』を教えてくれるおじさんが居たのだが・・・断って先に進んだ
・・・そして今度はいくつもの大岩が山道をふさいでいた、なんか・・・・・・俺達って運がないのか?
『ええと・・・「かいりき」使える人いる?』
「・・・俺の『ゴン』が覚えてる」
「じゃ・・・頼んだわね」
大きな音を立てて、レッドのカビゴンが大岩をずらしていく・・・・・・これが意外と時間をくうのだ
・・・そこでグリーンやゴールドもかいりきの使えるポケモンを出してくれて、その作業を手伝ってくれた
・・・・・・全部どかし終えたのは10分後だった、ブルーが憤然と言った
「・・・ようやく先に進めるわね、全く・・・タイムロスにも程があるわ」
「・・・・・・じゃあ最初っから手伝えよな」
・・・まぁ・・・・・・言っても無駄なのだが
「んじゃ、どんどん行きましょ〜か!!」
やけにハイテンションなゴールドが山を駆け上っていく、元気な奴だ・・・
・・・皆も置いていかれないように、ゴールドの後に続いた・・・・・・ようやく登山スタートだ
「・・・待って下さいよ〜」
「・・・・・・最初の元気はどこいったんだよ、ゴールド」
・・・・・・甘く見ていた、何をって・・・パワーアンクルをだ
最初はゴールドは快調に山を登って行った、別に疲労も感じない・・・楽勝モードだったのだ
・・・・・・だが時間が経つにつれ、足があがらなくなってきた・・・ゴールドのペースがどんどん落ちていった
・・・そして3時間後には・・・ゴールドは完全なビリになっていた
現在先頭にいるのはシショーとレッド先輩・・・以下グリーン、シルバー、クリス、ブルー、イエローと続く
・・・なかでも驚くべきは先頭にいるレッドだった、一番重りが多く・・・体への負担も半端じゃないはずだ
だが実際は男性のなかでは一番重りの軽いゴールドはビリだ、最初飛ばしすぎたせい・・・だけじゃない
・・・シショーの言う通りだった、レッドは体力の面で・・・皆の群を抜いていた
そんな思案をしている間にも、レッドのペースは衰えることを知らない・・・どんどんおいていかれる
「・・・大丈夫ですか?」
「はは・・・平気ッスよ、これぐらい・・・」
ゴールドは強がって見せた、イエローは安心したのか・・・皆に遅れないように急ぎ足で山を登っていく
・・・ゴールドもそうしたいのだが、足が・・・足が思うように動かない
・・・・・・情けない、イエローさんにまで心配かけさせちゃって・・・・・・クヤシイ
一方、先頭のレッドは・・・・・・
「・・・ペース早すぎるかな?」
『あんまり遅くても鍛えられないよ、特にゴールドはね』
シショーの言葉にうなずいて、後方を見てみる・・・グリーン達との差は5m程で、心配なさそうだけど・・・
レッドとゴールドとは・・・30mは離れている、レッドがシショーに言った
「・・・・・・実をいうと意外だった、こんなにまでゴールドの体力がなかったなんて」
『う〜ん、でもねぇ・・・事実一番体力がないのは確かなんだよね・・・』
「・・・このままじゃ心配だ、鍛えるにしても・・・な」
『同感だ・・・・・・ん!!?』
シショーは前方の方をにらみつける・・・・・・レッドもそれにつられて、その先を見てみる
『何かが・・・こっちへ向かってくる!!』
「・・・・・・あれは・・・ヤバイぞ」
レッドが素早く『ポケモン図鑑』をポケットから取り出した、ウィーンと機械音が響く
グリーン達も向かってくるそれに気がついた、ただゴールドだけが・・・疲労で下を見ていたので反応が遅れた
『・・・野生のオニドリルの群れだ!!』
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