〜能力者への道23・連係〜




   ようやくレッド一行はともしび山に上陸した、そして早くも分かれ道・・・


 シショーに言われて、左の道を進むと・・・そこには忘れることの出来ない黒装束を身に纏った・・・


 ロケット団員達がそこにいた、何か話し込んでいたようだが・・・レット達が乗り込む前にその姿を消した


 何故奴らが此処にいたのか、目的は何なのか・・・・・・当面の敵が増えてしまったのかもしれない


 ・・・とりあえずそのことは一旦忘れ、手遅れになる前に・・・山頂を目指し歩きだした


 最初は皆張り切っていたのだが、パワーアンクルのせいで・・・ゴールドが遅れだした


 幸先が不安になり出し、そして追い討ちをかけるように・・・・・・










 『野生のオニドリルの群れだ!!』


 先頭のシショーが言うと、グリーン達が顔を上げてみる・・・明らかに此方に向かってくる
 ・・・・・・どうして、こう次々にトラブルが・・・・・・ 

 「数は50・・・いやもっとか!!?」

 「とにかく此処を切り抜けるわよ!!」

 
 とブルーが腰のボールに手をかけた、レッド達もまたボールに手をかけ始めた
 次々にポケモンを出していく・・・・・・応戦準備だ 


 「『ニョロ』、『ピカ』、『ゴン』・・・頼んだぞ!!」

 「『ハッサム』、『ゴルダック』、『リザードン』『サイドン』、『フーディン』!!」

 「『ぷりり』、『カメちゃん』、『ニドちゃん』・・・Go!!」

 「『オムすけ』、『ゴロすけ』、『チュチュ』・・・お願い!!」

 「『ネイぴょん』、『ウインぴょん』!!」

 「・・・・・・『オーダイル』」


 出したポケモンから次々にオニドリル達との激突が始まった・・・この数に対抗出来るのか・・・
 ・・・・・・そして最後尾にいたゴールドの反応が遅れた・・・ある意味心の傷は大きいようだ

 「ゴールドさん!」

 「・・・え? ・・・何ッスかぁ・・・・・・う、うわぁ!!? なんじゃこりゃあ!!?」

 「反応鈍すぎ、さっさとアンタもポケモン出す!!」

 
 イエローの呼びかけで、ようやく我に返ったゴールド・・・目の前のオニドリル達に驚いたようだ
 だがブルーの一喝で、ゴールドもポケモンを出していく


 「悪ィ・・・『バクたろう』、『ウーたろう』、『ニョたろう』!!」


 重い足を上げて、ゴールドも戦列に加わった・・・・・・バトルになったら急に元気がでたようだ
 レッド達が図鑑でサーチした所、相手のレヴェルは40台・・・その数89・・・・・・相当の数だ
 

 『数なんて関係ない、皆のパーティのレヴェル上げには丁度良いんじゃないかな?』

 「言ってくれるじゃないか・・・でも、その通りだ!!」


 レッドが戦列から飛び出して、オニドリル達に突っ込んでいった・・・普通のトレーナーじゃやらない行為だ
 ・・・しかし敵に囲まれつつも、レッドは指示は的確に出して次々に倒していく


 『(・・・流石は「戦う者」かな、この戦いで・・・皆の戦闘技術のレヴェルがわかるかな?
 ・・・う〜ん、それにしても・・・皆、能力者じゃないけれど・・・凄い一般トレーナーの集まりだったんだなぁ)』


 レッドの次に凄いのはグリーンだ、出したポケモンの数は5体・・・・・・それでいて指示が遅れる気配はない
 出す技総てが急所狙いで・・・この二人の戦闘技術はずば抜けたものがある
 おそらくバルー程度の能力者なら、もう倒せてしまうのではないか・・・資質は充分すぎる程だ


 『(・・・ブルー達やシルバーも頑張っているな、タイプ相性を巧く突いてる)』


 一番心配だったゴールドも良い動きを見せている、本番に強いタイプなのだろう・・・
 そして・・・シショーもまた次々にオニドリル達を倒していた
 もっともあまり積極的ではなく、自分が襲われそうになったら攻撃する程度のものだったが






 そして20分が経過した、しかしバトルは終わらない・・・それどころか相手の数がどんどん増えているようだった


 たまらずシショーが『一旦、皆集まって固まれ』と指示した
 皆がシショーを中心に集まり、オニドリル達の攻撃をしのぐ・・・レッドが言った


 「おかしいな」

 『うん、なんかこう・・・やりにくいね』

 「・・・本当にコイツら、『野生』なのか?」


 ・・・そうなのだ、このオニドリル達の動きは明らかに『野生』と違うのだ


 野生ポケモンが群れて攻撃することは良くある、だがそれぞれ違った技を出すし攻撃のリズムもバラバラだ
 だが・・・このオニドリル達は違う、皆が揃って攻撃し・・・時には此方の動きを読んで技をかわす


 いわば・・・・・・連係プレー、『チームワーク』があるのだ


 『もちろん、トレーナーがいればそれは可能だけれど』

 「だけど・・・図鑑は総て『野生』ポケモンと認識してるじゃない」

 『グェーッ!!』
 
 80以上のオニドリルが一斉に『ドリルくちばし』をした、皆は一度散って・・・また集まった
 ・・・トレーナーがいなければ、こんな一斉攻撃は出来ない・・・それに・・・
 この『野生』のオニドリル達はレッド達が居る所一点のみしか攻撃しないのだ


 「可能性としては・・・ひとつは『ただの偶然』。
 ふたつ目は『全員の図鑑の認識が間違っている・・・つまりトレーナーの存在』」


 グリーンがシショーを見た、そして・・・うなずいて言った


 『しかし・・・全員の図鑑が一斉に故障するなんて、考えられない』

 「・・・ってことは、まさか・・・」

 『そう・・・・・・「トレーナー能力」の可能性』


 皆がげんなりした、そんな能力まであるのか・・・?


 この場合で考えられる『トレーナー能力』は『図鑑の認識システムに影響を与える何らかの能力』
 もしくは『野生のポケモンを操れる何らかの能力』だ・・・・・・どちらにせよ、厄介なことには変わりないが


 『グェー!!』


 またオニドリル達が襲ってくる、レッド達が指示した


 「ピカ、『でんげきは』!!」

 「カメちゃん、『れいとうビーム』!!」

 「ウインぴょん、『しんそく』!!」

 「ゴロすけ、『まるくなる』、『ころがる』!!」

 
 レッド、グリーン、ブルー、クリス、イエローのポケモンがそれぞれ技をくり出した
 そしてその間に・・・シショーは上空へと向かった、そう・・・・・・居るはずのトレーナーを捜すためにだ
 ある程度の高さで止まり、辺りを見回した・・・必ずこの付近にいるはずなのだが・・・


 そして・・・この時気付いたのだ、ある異変に・・・・・・それはふと地上の皆を見たときだった


 『!!? まさか・・・』


 シショーが血相を変えて急降下し始めた、皆はまだ気付いていないのか!!?


 『(まさか・・・連係プレーに気を取らせ、死角・・・壁をつくるとは!!)』


 ・・・やはりトレーナーはいるのだ、でなければあんな真似はしない・・・急いで援護を!!
 その時、シショーの急降下を何かが体当たりして・・・それを阻んだ
 そして・・・・・・動きの止まってしまったシショーよりも早く、その何かは地上へ向かった
 ・・・慌ててシショーが、地上の皆に叫んだ


 『ゴールドは傍にいるか!!?』





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