〜能力者への道24・誘拐〜




 ・・・1の島編、ようやくともしび山に上陸したレッド一行・・・本当に様々なことが起きた


 ほてりの道にて、能力者・バルーとの戦い・・・イエロー&ゴールドチームが何とか辛勝した


 ともしび温泉にて、皆が旅の疲れを癒す・・・実はシルバーが温泉好きだった事が判明


 ほてりの道とともしび山の境界海で知った、能力者の哀しい運命・・・応えられない・・・


 ・・・シショーに言われ、ともしび山付近の左の道へ行くと、そこには忘れられぬ黒装束の集団が居た


 R団員・・・レッド達がその場に乗り込む前にその姿を消したが、彼らの目的は何だったのだろうか


 ・・・・・・三つ巴が予測されるなか、レッド一行は何が居るやわからぬ山頂を目指す・・・ハプニングは続けて起こる


 ・・・登りだして3時間経過、パワーアンクルのせいでゴールドが遅れだした・・・そして・・・


 野生のオニドリル軍団の襲来、能力者の存在か・・・・・・そして上空へ行ったシショーが叫んだ










 『ゴールドは傍にいるか!?』


 シショーの必死な叫びは地上の皆に届いたようだ、辺りをキョロキョロと見回してみるが・・・
 周りにいるのはオニドリル軍団と・・・・・・ゴールドをのぞいた6人だけだった

 「・・・おい、本当にいないぞ!!?」

 「あの莫迦、はぐれたのかしら!!」

 「・・・正確に言えば『分断』されたんだろうな」

 「え? それってどういう・・・」

 
 クリスが訊こうとした瞬間、またオニドリル達が固まっているレッド達に『ドリルくちばし』攻撃を仕掛けた
 皆が避けるべく一度散って後方に跳ぶと、別部隊のオニドリル軍団が同時に『おいうち』の攻撃・・・


 ・・・・・・やはりトレーナーが居るのは間違いなさそうだ・・・しかも技の特性を良く知った凄腕のトレーナーが





 『おいうち』とは名の通り、『逃げる敵に対して追撃』する技だ・・・この技はトレーナーへの攻撃としても有効だ
 この技を使いこなすのに必要なのは、技を使う『タイミング』・・・相手が逃げる瞬間を狙えば威力は格段に上がる


 今回のオニドリル軍団は一方が通常攻撃で、俺達が逃げざるを得ない状況をつくる・・・
 そして別部隊が『おいうち』で攻撃する、つまり役割を分けることでそのタイミングを完璧にしようとしたわけだ
 なによりオニドリルのくちばしは鋭い、喰らったらただではすまないのは目に見えている・・・





 ・・・それらの攻撃とレッド達の間にイエローのゴロすけが間に入って、防御した・・・傷は素早くイエローが癒す
 レッド達も自らのポケモンで攻撃や防御をするが、相手の数は増える一方だ・・・キリがない・・・
 また皆が集まり、固まって攻撃と防御を繰り返す・・・クリスが再度グリーンに訊いた


 「『分断』って・・・どういうことなんですか!?」

 「・・・『弱い敵から倒す』のは集団戦闘の常識だ、長期戦になればなる程に敵数は少ない方が良いからな。
 まず集団で揃って敵を囲むようにして攻撃する、そして全員固まった所でまたそれらを散らせる」

 「わざわざなんで、そんなことを・・・」

 「それを繰り返すことで、俺達は段々それに慣れてしまい・・・周りへの注意がおろそかになる。
 そして散った瞬間に・・・動きの鈍くなったゴールドのみを足止めする、すなわち『分断』だ。
 単に集中攻撃するだけだがな、だがパワーアンクルで体力が落ちているから・・・獲物としては最適だろう。
 その間それ以外のオニドリルは壁となって、周りを見えなくさせる・・・連係攻撃自体が囮なんだ。
 ・・・そして俺達がコイツらに手間取っている間に、孤立化したゴールドをじっくりといたぶるという寸法だろう」

 「・・・えげつない戦法だ、というか今まで気付かなかった俺達も俺達だけどな・・・」


 皆が必死にゴールドの姿を探そうとするが、グリーンの言う通りオニドリル達が壁となって思うように辺りが見えない
 探している間もオニドリル達の攻撃は止まない、このままじゃゴールドの加勢に行けない・・・手遅れになる前に・・・


 そんななかでイエローがいきなり上空を指さし、叫んだ

 「あ、彼処です!!」


 イエローの指さす方向を素早く見上げてみる、そして上空には確かにゴールドが居た
 ただ・・・・・・オニドリルに捕まって、空を飛んでいたのだが


 「た〜〜〜す〜〜〜けぇ〜〜〜て〜〜〜」


 ゴールドの絶叫・・・皆が唖然としている、レッドは誰かのことを思いだしていた
 その大オニドリルは山頂方向へと飛んでいくようだ、ゴールドは未だに悲鳴を上げている
 ・・・それはともかく、あのオニドリルは何だ・・・普通じゃない・・・


 「・・・ちょっと、あのゴールドをさらっていくオニドリルさんは何者ですか?」

 「大きいですねー、通常の2倍以上・・・翼の長さなんて他の比じゃないですね」

 「感心、混乱してる場合か! 正気に返れ!」

 グリーンの喝の間に、ブルーが図鑑であのオニドリルに対して・・・カチャカチャと検索している
 ・・・そして検索結果が出たようだ、ブルーが言った


 「えーっと、あれも『野生』ポケモン! もっとも・・・・・・図鑑の故障じゃなければだけどね」

 
 そうこうしている間にも、ゴールドを連れた大オニドリルの姿が遠くなっていく・・・・・・そして変化が起きた
 あの大オニドリルが離れていけばいくほどに、あれだけ統率が取れていた軍団の攻撃が乱れてきたのだ
 この変化を感じ取ったグリーン達、そして遅れてシショーも上空から降りてきた


 「・・・影に能力者は居なかった、だがオニドリル軍団を統べる『司令塔』は存在した!
 ・・・間違いない、ゴールドをさらった『大オニドリル』、奴がそうだ!」

 『同感だ、そして奴の目的は最初から「ゴールド誘拐」だった、追うぞイエロー!』

 「え・・・・・・はい、『ドドすけ』いきます!」


 イエローが素早くボールからドドすけを出し、シショーと共に統率の乱れた軍団の間を駆け抜けた
 レッド達もそれに続こうとしたが、今まで混乱状況にあったオニドリル軍団がまた攻撃を始めたのだ


 ・・・・・・まるで、そう・・・あの大オニドリルの後を、これ以上追わせないようにするかのように・・・


 統率者、司令塔が居なくなったオニドリル軍団は先程に比べて連係攻撃ではなく、皆攻撃がバラバラだった
 しかし今まで以上に気迫のようなものがあった・・・必死なのだ、オニドリル軍団の理由はわからないが・・・
 だが・・・レッド達も負けられない、ゴールドを連れ戻す、イエロー達に早く追いつくためにも・・・


 「・・・お互い、負けられないようね・・・そろそろ決着をつけましょう」

 「勝った方が味方に追いつける、数の上ではそちらの方が有利だろうが・・・」





 ・・・・・・両者が睨み合う・・・・・・緊迫する空間・・・・・・そして両者が同時に叫んだ・・・・・・





 「「「「「いざ、勝負!」」」」」

 『グエーッ!!』





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