〜能力者への道27・飛追〜
・・・謎の発光、レッドの身体が淡く赤色に輝く、そして・・・
レッドが能力者となった・・・・・・その能力は『ポケモンの懐き度』に関係するもので
ただ・・・もう後には戻れない
『能力者のデメリット』・・・他人とのポケモン交換が完全に出来なくなってしまった
その作用か、レッドの手持ちボールに触れた者は・・・強烈な衝撃が襲う、クリス軽傷を負う
これからの新たな戦力として、レッドはどのような進化を遂げるのか・・・
・・・そしてゴールドを救出すべく、5人は『そらをとぶ』で山頂を目指す!
・・・その頃、そのゴールドを追うはイエローとシショー・・・
・・・・・・速い、なんてスピードなんだ・・・
レッド達が山頂を目指す10分前程に、話はさかのぼる
イエローとシショーはまだ、あの大オニドリルを捕らえることが出来ずにいた
幾ら走っても走っても、その差は縮まるどころか・・・広がる一方だ
イエローは平行して飛ぶシショーに、思わず感嘆の声を出した
「・・・凄い、あんなオニドリル・・・初めて見ました」
『元々、オニドリルはその大きな翼で、丸2日その翼を休めず飛ぶことが出来ると言われているポケモンだ。
ましてや、あのオニドリルは平均以上の翼の持ち主だ、その翼力は計り知れない。
・・・まぁ、ゴールド独りぐらいなら、屁でもないんだろうね・・・。
正に、大オニドリル・・・いや、「王」を冠するに相応しい・・・「王オニドリル」だ!』
・・・・・・『王オニドリル』・・・確かに、あれだけの軍団の指示していたとすれば、これほど相応しい称号は無いだろう
「・・・・・・確か、オニドリルって『雑食』・・・肉でも、木の実でも食べるんですよね」
『うん・・・・・・そうだね、ゴールド誘拐の理由が、今日のお食事の為だったら・・・嫌だよねぇ』
・・・この状況では、かなりシャレにならない話だ
今、一応ゴールドはその王オニドリルのところで、ジタバタしているから死んではいないようだ
しかし・・・何度も言うが、両者の差は離される一方なのだ、このままでは救出どころの話ではない
「・・・それにしても、ドドすけでも追いつけないとなると・・・どうしましょう?」
『・・・確かに『ドードリオ』は速い、最大時速200kmはいくと言われているポケモンだしね。
だがそれはあくまでも『平地』であればの話だ、元々草原に住むポケモンだから・・・こういった山道、悪路は走りにくいんだろう。
こういった山岳地ならば、ギャロップの方が速いと思うし、ポケモン1速く走れるのはウインディだ』
「へぇ・・・そうなんですかぁ」
イエローが頷くが・・・・・・あれ? それじゃ・・・えーと?
相変わらず、ドドすけは全力疾走を続けている、そして・・・それに楽々追いついているシショー・・・
苦手な道を走っているとはいえども、上にイエローが居るという安全面からの減速があったにしてもだ
それでも、相当の速度のハズ・・・それでも追いつけるシショーは・・・一体何者なんだろう
・・・・・・それと・・・・・・
「あのぅ・・・何でボクなんでしょう?」
『何がだい?』
「あの時なら、ボクでなくとも・・・ボクより実力があるレッドさんを選んでも良かったと思います。
だって、相手の軍団の統率が崩れたあの時なら、誰でも包囲網から抜け出して、追うことが出来たんです。
それに・・・ドードリオは、シショーの言うように・・・ウインディよりは遅いんです。
なら、あの場にいた・・・ウインディを持つクリスさんでも良かったんです、その方が確実だったかもしれませんし。
それなのに・・・・・・どうして、ボクを選んだんでしょうか、追う人として?」
・・・・・・確かに、言われてみればその通りだ
シショーは・・・普通はニッコリと笑うはずがないのだが・・・鳥だから・・・
だが、この時は・・・本当に笑っているように見えたのだ、そんなシショーが言った
『もちろん、理由はある・・・むしろ、追う人はイエローしか適任者がいなかった』
「? 『理由』・・・ですか?」
『そしてイエローの後々のためになる・・・「把握」を兼ねて行うんだ』
「・・・・・・『把握』ですか」
・・・・・・何だか、もの凄く嫌な予感がしてきた・・・
今まで平行して飛んでいたシショーは、イエローの頭上へと移動した
・・・・・・頭上から、シショーの声がする
『いいかい? 先ず僕達が知らなければいけないのは、主に『2つ』だ。
ひとつは『彼らの目的』・・・何故、ゴールドを誘拐したのかだ。
もうひとつは、いわゆる保険みたいので・・・『彼らの巣の位置』だ、もちろん・・・見失わなければ良い話だけどね』
イエローの顔がさぁっと青くなった・・・『把握』って、まさか・・・・・・
・・・・・・そして、イエローは空へ浮いた
もちろん、シショーにムンズと背中を掴まれて・・・ふわりと浮き、イエローは驚きの声を上げた
「う、わあぁぁぁあああ・・・やっぱり、もしかしてっ!!?」
『そう、イエローの「トレーナー能力」、「トキワの癒し」のもうひとつの効果!
「ポケモンの思考を読み取ることが出来る」能力の「把握」ということ!
イエローのこの能力を使って、さっき言った2つの情報を・・・あの王オニドリルから読み取って欲しいんだ』
「え、えぇぇえぇえええ・・・・・・そんな! 無茶です、降ろしてください!
だ、第一、ボクはもう・・・思考を完璧に読み取れるみたいですから、『把握』の必要はないです!」
『・・・なら、丁度良いじゃないか。 是非、完璧に読み取ってくれ!』
「(しまった、逆効果〜!!)」
シショーがイエローを持ち上げ、高く上空へと羽ばたいていく・・・
ドドすけはトレーナーが居なくなっても、それでも、なお・・・王オニドリルの後を追う、地上と上空で挟み撃ちだ
・・・・・・それにしても、何と言うことだろうか・・・
シショーは王オニドリルが、ゴールドを運べるのは異常なまでに大きい翼のおかげだと言った
翼の大きさが力の全てというわけでもなく、その習性によっても違うのは知っているけれど・・・
・・・明らかにおかしい、何故シショーはボクを持ち上げて・・・しかも高々と速く飛べるのだろう
本来、野生の『ヨルノズク』は自分よりも大きな獲物を捕らえることはない
それどころか、自分の体積の半分以下・・・それがヨルノズクが運べる限度のハズだ
・・・もちろん、ボクは体重が軽い方だから、実際はシショーのレヴェルが高ければ可能な話かもしれない
でも・・・・・・飛ぶ速度までは・・・幾ら何でも、しかし速度は落ちない・・・・・・いや・・・・・・
・・・むしろ、速度はどんどん増していっている・・・・・・信じられない・・・
それでも、差はなかなか縮まらない・・・相手の体力もかなり凄い・・・スタートがやや遅れてしまった所為もあるだろうし・・・
・・・さすがに、僕を連れて飛んでいては、どんなにシショーのレヴェルが高くても不利だ
そして・・・そんな状況でシショーが、前方の王オニドリルを睨みながら、イエローに言った
『・・・イエロー、ちょっと怖い思いするけど我慢してね』
「・・・・・・はい?」
イエローがすっとんきょうな返事をした、シショーが一息おいて言った
『「こうそくいどう」』
・・・・・・誰か、助け・・・止めて下さい
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