〜能力者への道32・壱島〜




 ともしび山山頂に伝説の鳥ポケモン、ファイヤーが居る


 その捕獲メンバーに選ばれたのは、癒しのイエロー、根性のゴールド、捕獲のクリスだった


 ブルーの発案によるポケギアでのアドヴァイス、捕獲ボールの確認を終え、3人は山頂へと向かう


 一方グリーン、シショー、シルバーはゴールドの言っていた光る洞窟調査へと行こうとした


 しかし、それは阻まれた


 ゴールドの謎の悲鳴、レッド達が行けばファイヤー捕獲は台無しになってしまうのを承知で・・・呼んでいる


 ・・・・・・皆は山頂へ走り出していた










 ブルーはポケギアをの通話を切った、もうその必要はないからだ
 山頂まで500m程、走ればあっという間に3人の元にたどり着ける


 ・・・・・・そうして、山頂に・・・3人に追いついて、そこで見たものは・・・





 「・・・・・・こ、これは・・・」

 「レッドさん、ボク達が来た時にはもう・・・」


 酷い有様だった


 辺りの地面は焼け焦げ、地面はえぐれ、崩れている・・・草木の一本も残ってはいない
 ・・・炎ポケモンがいたことには間違いない、しかしもう・・・・・・


 ・・・・・・此処にはいない、もう・・・誰かに捕獲されたか、この世にもいないのかもしれない





 そんな絶望的な考えしか浮かんでこない、そんな・・・山頂はそんな惨状になっていたのだった
 さっきのゴールドの言葉、嗚呼・・・確かに皆を呼びたくなる・・・・・・これを見たらその気持ちはよくわかる・・・


 「・・・・・・昨夜、ともしび温泉からは山頂・・・あの炎は見えなかった。
 俺達が見たあの時の炎は・・・最期の炎、戦いの際の炎だったのかもしれないな・・・」

 「そうね・・・・・・そうかもしれない」


 ・・・ううん、それしか・・・そうとしか思えない


 皆が絶望感に襲われる、それはいとも容易く察知できた
 辺りも暗くなってきた・・・此処で野宿するわけにもいかない、シショーが声を抑えて言った


 『戻ろう』










 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・


 ・・・此処は『The army of an ashes cross』のアジトの一室


 「ディック様」


 珍しく起きて机の前にいた・・・いや正確にはイスに寄りかかっているディックが「ん?」とこちらを振り向いた
 そこには側近の彼女が居た、覚えてはいるだろうか? ぷろろーぐ\の最後に出てきたディックの配下の女性である


 「んーと・・・なんか用かい? 『タツミ』、今から忙しいんだけど」

 「あなたの『忙しい』は大体が昼寝でしょう。 例のファイヤー捕獲の件です」


 タツミと呼ばれた女性がディックに手に持っている書類を読み上げ報告した、きびきびとし張りのある声だ
 ・・・その報告を聞き終えると、「ふーん、良かったね」とディックが言った


 「・・・・・・もう少し、真面目に聞いて下さい」

 「・・・ZZZZZZ・・・」

 「・・・まったく・・・・・・」










 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・


 カチャと、ニシキがコーヒーのカップを机の上に置いた


 「・・・そうか、そんなことが・・・」

 「これで、振り出しに戻りました。 いや・・・・・・もしファイヤーが相手の手に落ちたとすれば・・・」

 「R団という、可能性もあるわけだ。 奴らはまだ、潜伏していた・・・!」


 シルバーがダンッと机を叩いた、皆はもうそれ以上言おうとしない・・・
 

 ・・・・・・山頂にて、皆はもう歩いて1の島本島に戻る気力もなく、『そらをとぶ』でニシキの家にまた戻ってきたのだった
 皆は一応、出された夕食や風呂をもらったが・・・一向に元気も戻ってこない


 「そうそう、カントー本土はまだ侵略されていないみたいだね。 こっちは島だから、情報が遅れることはあるけれど・・・」

 「・・・・・・そうですか、だがそれはかえって不気味でもあるな・・・。
 力を蓄えるために、今は沈黙しているのか。 そう・・・伝説のポケモンを全て捕獲してからとかな・・・」


 ・・・・・・更に沈んだ、皆の顔の表情は一向に明るくならない
 ニシキはどうも、こういう雰囲気は好きじゃないようだ、色々と話しかけるが効果は殆ど無い


 「・・・・・・1の島はいつ出るんだい?」

 『明日には出ようと思います、此処でいつまでもくすぶっているわけにはいきません。
 まだ捕獲されていない伝説のポケモン、それらだけでも手に入れなければ・・・!」

 「・・・そうか、そうだね。 その意気だ、ボクも出来る限りのことはやるし、応援もさせて貰うよ。
 まぁ今日のところはウチで良く休むと良い、旅はまだ始まったばかりだしね」


 シショーが『ありがとうございます』と言うと、ニシキが「ああ、そうそう」と付け加えた


 「もし、明日時間があるなら、『たからのはま』に行ってみるといい。 色んな道具が打ちあげられているそうだから。
 ・・・結構いい気分転換になると、思うよ・・・」










 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・


 『たからのはま』


 1の島港から少し南下した所に、海の真ん中にポツンとある砂浜
 ここは昔、色んな所から流れてくる複数の海流に乗って、様々な道具が大量に流れついた
 流れついた道具の元は人の物から輸送中の船の転覆などと様々だが、一般人でも拾って帰ることが出来る
 ここで拾えば罪にはならないというので、たびたび犯罪の取引現場にも使われたという
 しかしそのことが知れ渡ったので、警察の目も光るようになり、迂闊には犯罪者は手出しが出来なくなった
 その犯罪の殆どがR団によるもので、法の目をかいくぐり物資などを得るのに都合が良かった
 サントアンヌ号をはじめとした、非合法物資の調達のしやすさ・・・カントーを最初に拠点に置いたのはこういうわけもあったのだ
 今では海底の地殻変化などによって海流が乱れ、流れつく道具の数も減ってしまった
 現在、ここに来るのは観光客、地元の若い連中のちょっとした小遣い稼ぎの場となっている





 「イ〜〜〜ッ、ヤッホォ〜〜〜〜ウィ!!」


 ゴールドが飛び出し、浜辺にスライディングした・・・立ち直りの早い・・・
 出発の日の朝、『2の島』に行く前に、ニシキの助言・・・気分転換にと遊びに来たのだった
 見ての通り、ゴールドはダウンジングマシン片手に、道具探しに夢中である


 「あのヤロ・・・少しは落ち着けってのに・・・」

 『んまぁ、いいんじゃない・・・落ち込むよりはいいでしょ』

 「まぁね・・・・・・ってアレ!!? 皆は、どこ行った?」


 気付けば横にいたのはシルバーとシショーだけだった・・・
 見渡してみれば、皆『宝探し』を始めていた


 それぞれのはしゃぎ度は下の通り


 ゴールド>ブルー≧イエロー>クリス>グリーン・・・・・・次点、シショー>レッド=シルバー





 「おっ、『まんたんのくすり』見っけ!」

 「『きんのたま』は無いのかしら・・・」

 「あ、『ハイパーボール』だ」

 「結構ありますねぇ・・・」





 時間が経つのを忘れ、宝探しにハマッていた時だった、シショーが皆を呼んだ


 皆がなんだなんだと、シショーの周りに集まった・・・そしてシショーは『お宝』を皆に見せた


 ・・・・・・水晶のような、透き通った氷・・・『とけないこおり』・・・





 『さぁ、新たな手がかり発見だ』






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