〜能力者への道34・灰夢〜




 たからのはまで見つけたお宝、『とけないこおり』


 シショーやグリーンの『氷ポケモン自己耐熱システム』の講義


 そこでわかった事実、これは・・・伝説の鳥ポケモン『フリーザー』のモノだという


 そして目指すはいろは48諸島がひとつ、『ちー島』・・・・・・


 しかしここでアクシデント、予想以上に海流が急激になってきたこと


 『なみのり』ポケモンの指示ひとつ間違うだけで、流される・・・緊張状態が長く続く


 ・・・皆の疲労も極限状態に、このままでは流されるだけではなく、死ぬ危険も・・・!


 ・・・・・・そして・・・・・・









 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・





 ハイイロのセカイで、アオいイズミにタタズむアナタはダレですか・・・・・・?


 


 ・・・・・・いえ、ボクはシっています。 アナタのことを・・・イゼンから、ずっと・・・・・・





 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・






 ・・・・・・朝日が、目にまぶしい・・・


 「・・・九死に一生を得た、って・・・このことッスかね?」

 「そーだな・・・」


 歯ブラシを持ったゴールドの言葉に、レッドが歯を磨きながらうなずく
 まだ半分眠っているような、寝ぼけた声でゴールドが言った


 「昨日の夜、助かったは良いんッスが・・・ちょ〜っと、寝にくかったッス。 突起が」

 「ぜーたく言うなよ、突起ぐらい避けて寝ろ」


 ゴールドが「寝返り、うてねェんッスよね」と笑って言った
 ・・・昨夜の疲れも大分取れた、これならまた『なみのり』も可能だろう・・・
 代わり、慣れない・・・というか、こんな所に初めて寝たおかげで、身体がぼきぼきとなったが


 「・・・・・・しっかし、驚いたッスよね、これ」


 ゴールドが足元を、トントンと足裏で叩いた


 ・・・・・・そう、これは『島』ではない


 「ああ、シショーも驚いてた。 なんせ・・・・・・サニーゴで、出来た足場だからな


 ・・・そうなのだ、この『島もどき』は無数のサニーゴが集まって出来た、いわゆる『集合体』なのだった
 サニーゴの集合力を甘くみてはいけない、ポケモン図鑑にはこうある


 『みなみの うみの くにでは サニーゴの しゅうだんのうえで ひとびとが せいかつ している』


 仮にもここは『南の海』だし、サニーゴの生息区域でもある
 たとえ流れの速い海流地点でも、彼らが集まれば・・・この通りだ
 大体広さは・・・四方30mぐらい、8人が寝るには広すぎるぐらいだった
 これだけの広さだ、海底からくっついているサニーゴを含めると、一体どれ程の数がいるのだろうか


 皆はもう既に起きていて、各自朝食の支度を始めている
 ただ1人を除いては。 そう・・・・・・起きていないのは・・・


 「ふぁ〜・・・・・・あ、おはようございます、レッドさん」

 「はい、おはよう、イエロー。 ・・・ひどい顔だな、顔、洗った方が良いぞ」

 「あ、はい・・・え〜っと、『オムすけ』!」


 イエローが寝ぼけ顔で、『オムすけ』に顔に直接水をかけてもらった
 ・・・幾分かさっぱりしたらしい、自分のリュックサックから、歯ブラシを取り出し、レッド達に加わった


 「・・・・・・あの〜すみません、俺には?」

 「・・・・・・あ、おはようです。 ゴールドさん」
 
 「・・・大丈夫か? なんかまだ、顔色悪いけど・・・」

 
 レッドに言われて、ドキッとしたらしい・・・顔がほんの少し赤くなったが、もちろんレッドは気付かない
 ゴールドが内心で、「居心地、悪っ!」と思った


 「・・・・・・夢を見たんです、一面がみんな灰色で、不思議な感じがする夢を・・・。
 そのせいか、よくわからないんですけど・・・今、ちょっと頭が痛くて・・・」

 「ふ〜ん、あとでブルーから頭痛薬、貰った方が良いんじゃないか?」

 「・・・そうですね」

 
 ・・・・・・ゴールドが「やってられるかっ!」といわんばかりに、自分のコップで乱暴に海水をくんだ


 この2人、ハタから見ていれば、ほのぼのとしたカップルだが、お互いそういう意識をしていない
 ・・・つき合ってもいないので、本人達の言動、行動は至って自然だ
 要するに・・・見ている側に、無意識であてつけているのだ
 そういった意味では・・・・・・意識的にやっているより、始末が悪いといえよう
 

 ゴールドがくんだ海水で、口の中をぐぢゅぐぢゅっと、うがいを始めた
 ・・・途端、その水をうげっと吐きだした。 ビックリした2人が、「どうした?」と訊くと


 「・・・いや、なんかジャリジャリするんッスよ。 口の中・・・ただの海水なのに」

 「ていうか、海水でうがいですか・・・?」

 「え? 塩がなんか、良さそうじゃないッスか」

 「なんだ、そりゃ・・・?」

 『おーい、皆、朝ご飯が出来たよー』


 シショーの声につられ、3人が『島もどき』の中心へと、ふたつ返事で走っていった





 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・




 
 「・・・来るか、『対の者』よ」





 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・





 ・・・朝食を食べ終わって、食後30分の休憩後、レッド達は『島もどき』を後にした
 『なみのり』ポケモン達の疲労も取れているようで、至って順調なスタートだ
 天気も良く、気温も丁度良いし、潮風もまた気持ちいい・・・・・・さわやかな朝だ
 

 グリーンがシショーに訊いた


 「おい、今日行く、『ちー島』について、少々教えてくれないか?」

 『うん、いいよ。 ちょうど話そうと・・・』


 そこまで言って、シショーの視線がグリーンからイエローに向いた
 ・・・イエローの顔色が優れない、早朝の時よりも悪いかもしれない


 『どうしたの? イエロー、顔色が悪いよ・・・』

 「あ、平気です。 大丈夫ですから・・・」

 「・・・それで、平気なわけないだろ、っと」


 レッドが『ギャラ』からイエローの乗っている『カメちゃん』に飛び移った
 ・・・いきなり『なみのり』運転を任されたクリスが慌てている、レッドがイエローに近づいていった


 「うわ、これ、ホントに危ないな。 ・・・ブルー、ちゃんとした薬を、ちゃんと飲ませたか?」

 「失礼ね、ちゃんと市販の頭痛薬、飲ませたわよ!」

 「ふ〜〜〜ん、にしちゃ・・・効き目悪くない?」

 「だから、平気ですってば・・・」


 イエローが強がってみせると、レッドがいきなり自分の額をイエローの額に押し当てた
 ・・・・・・イエローが硬直した、まぁ・・・皆もだが・・・・・・


 「熱は、無いな・・・」

 「・・・・・・はひ」


 誰もが思った・・・「今日のレッド(さん)は、何処かおかしい」・・・と


 レッドがそれだけ言って、また『ギャラ』に戻っていった
 ・・・シショーがしばらく考えていたのか、パタパタとイエローの横に止まった


 『・・・イエロー、頭が痛いんだってね?』

 「はい、でもホントに平気なんです。 何ていうか・・・『痛いんだけど、嫌な痛みじゃない』・・・変ですよね?」


 シショーがマユをひそめた、そして小さく『もしかしたら・・・』と言った

 「はぁ、何ですか・・・?」

 『・・・これは「共鳴」かもしれない・・・』

 「「「「「「『共鳴』??????」」」」」」


 初めて聞く言葉に、皆が声をそろえて言った
 そして、皆がそれについての説明を待った


 『「共鳴」、それは「ある種の能力者同士がお互いを、呼び合い、反応しあう」現象のことだ。
 この場合は、イエローと・・・「対になる能力」を持つ者が、近くに居るんじゃないのかな・・・』 

 「ちょ、ちょっと待って! イエローは確か『トキワの癒し』って能力よね!!?」

 「『癒し』の反対・・・・・・たとえば・・・『破壊』を司る能力者とか、ですか?」

 
 ・・・・・・『破壊』の能力者、だって・・・!!?


 「おい、たとえば・・・『共鳴』しあっている2人が出会ったら、どうなるんだ?」

 『わからない、「共鳴」しあう能力者なんて、数が限られているし・・・どうなるかまでは・・・』


 イエローの頭痛の原因が、もし本当に『共鳴』の作用によるものだったら・・・?
 『癒し』の反対、『破壊』の能力者・・・少なくとも、そういった攻撃的能力者には違いない


 ・・・敵も味方かもわからない、もし出会ったら・・・俺達はどう対処したら良いんだ・・・


 グリーンがはきはきと言った


 「それよりも・・・もしイエローの『対の者』が居るなら、それは『ちー島』に居る可能性が高い。
 先ずは今から行く場所の地理を確認、それから対処法を考えよう。 
 ・・・改めて、訊く。 『ちー島』について・・・」

 『・・・えっとね、今から行く「ちー島」は「いろは48諸島」の中でも、有数の面積を誇る大きな島だ。
 その大きさは「2の島」に匹敵するが、無人島だ。 もちろん、ポケモンは居るけど。
 島の全形は「ドーナッツ型」で、外側から、「海岸」「森」「草原」「砂漠」「岩場」となっているのは確認されている。
 が、中心に何があるのかは知られていない、この暖流は「ちー島」を通って流れている。
 おそらく「フリーザー」が居るとすれば、この中心区域だろう』

 「ドーナッツ型って、『◎』←こんな形ッスか?」

 『そう、その真ん中に何があるか・・・誰も知らないんだ』

 「どうしてッスか? それにそんなに大きな島なら、人ぐらい住んでいるでしょう?」


 ゴールドの疑問はもっともだ、シショーが『説明するより、見た方が早い』と言った
 ・・・・・・何故なら、もう・・・『ちー島』が見えてきたからだ


 そして驚いた、なんだ・・・此処は!!?


 『理由は定かではない。
 上空の気流に乗って、遠く離れた『活火山』から運ばれてくるとも言われている。
 此処に誰も住まず、調べに来ないのは・・・・・・不気味で、近寄りたくないからだ・・・』





 そこは灰が常に降り続ける島、そして海も山も森も川も・・何もかもが灰色に染まる島





 『「ちー島」、別名・・・「灰色の島」』





 




 ・・・・・・ハイイロのセカイ・・・・・・ユメと、オナじバショ・・・・・・





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