〜能力者への道36・灰森〜
海域に入った途端に襲う、降り続ける灰
おおよそ生き物の住める環境下ではない、この『ちー島』に、レッド一行は上陸した
そしてこの島に、イエローの対の者が存在する可能性が高いという
・・・一方、セイルス直属の兵士達もまた、伝説の鳥ポケモン『フリーザー』がこの島にいることを知る
そして、彼らが始末しなければならない『奴』とは何者なのだろうか・・・?
シショーから聞く『共鳴』のパターンについて
それによれば、『声』が聞こえることなぞ無いという・・・ではレッドが聞いたあの声は幻聴だったのだろうか?
・・・・・・事態が大変な方向へ進む中、その中でも驚くべき出来事が起こってしまう
「・・・イエローが行方不明だって!!?」
『それ、本当かい!?』
皆の剣幕に、クリスがたじろぎながら・・・半泣きに言った
「すみません、何かこの島からイエローさんの様子は変だったんですけど。
それで心配になって、ブルーさんから『目を離しちゃ駄目よ』と・・・行動も一緒にしていたんです。
それなのに私・・・本当に一瞬、目を離した瞬間に、イエローさんが・・・・・・」
「クリスは悪くないわ、アタシだって・・・一緒に行動してたもの。
・・・とにかく、『共鳴』のせいだか何だかは知らないけど。
あの子・・・本当に変よ、この島に来てから・・・風邪とかそーいうんじゃないくて、なんていうか・・・夢遊病みたいな感じ・・・」
・・・・・・確かにそうだった、この島に着いてからはイエローは・・・何処か上の空だった
「これは・・・『共鳴』の作用なのか?」
レッドが聞くと、シショーは首を振った
『おそらく違う。 イエローは今、本当に「夢遊状態」なんだ、きっと。
初めて体感する「共鳴」で・・・一時的に、無意識に「対の者」の意識を感じ取ったんだと思う。
そして、イエローの「対の者」が動かないならと、イエロー自身が捜しに行ってしまったんだ』
「だとしたら、危険な状態だ。 今、イエローの頭の中にあるのは、『対の者』のことだけだろう。
そして、その他のことは頭の外へ出されている。 もし・・・野生ポケモンに出会っても、まともに対処出来ないだろう」
「え! んじゃ、マズイじゃないッスか、グリーンさん!
今すぐ、イエローさんの後を追わなくちゃ・・・!!」
ゴールドが一足先にと、駆け出して行ってしまった・・・・・・全員行動しなければ、イエローの二の舞になってしまうじゃないか!
グリーンがため息をついた、そして素早くゴールドのポケギアに電話をかけ始めた
・・・電話をかけ終えた後、グリーンが「付いてこい」と言い、ゴールドが走っていった方向と逆へ走っていった
「何故ゴールドと合流しないんですか?」と、クリスが理由を聞いてみると・・・こう答えた
「・・・この島は『ドーナッツ型』だ。 要するに、海岸をずっと走っていれば、いずれ同じ場所に戻ることが出来る。
そこでゴールドに指示を出し、同時に俺達が反対方向に海岸に沿って一周走る。
周りを見渡しながら、お互いがぶつかるまで・・・イエローの手がかりを探すんだ」
『成る程ね、んじゃ僕は空から探してみることにしよう』
シショーがバサバサッと翼を広げ、『ちー島』の上空へと飛んでいった
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
・・・あれぇ? ボクはいったい、何処に行くんだろう?
皆を置いていって、ボクは何処に行くつもりなんだろう・・・・・・あれぇ?
・・・ああ、危なそう。 この先はきっと危険だ、皆を待った方が良いと思う
でも・・・・・・
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
第2エリア、『森林地帯』・・・兵士達は思いっ切り迷っていた
「・・・・・・マズイな、我らは完全に・・・此処のポケモンの罠にハマったようだぞ」
「フン、向こうは姿を見せず・・・オレ達が力尽きんのを待ってんのか」
「・・・ヤな感じだぜ」
辺りを警戒しながら、先へ進もうとすると・・・兵士の1人が言った
「おい、彼処」
「んだよ、何か居たのか?」
指で示した方には最早何もなかった、が・・・兵士達はその方向へ進んでみた
・・・・・・何とも無いように見える、だが・・・我らにかかれば、手がかりだらけだ
「真新しい・・・低い所に生えていた草木が折れた枝、その跡。 ぷんぷんと臭う・・・独特の樹海の臭いだ」
「俺達以外にも、此処を通った奴が居るってコトだな。 しかも、まだ子供だ」
・・・「何故わかった」って?
常に降り積もる灰にうっすらと小さな『足跡』が見えりゃ、誰だってわかるさ
「ああ、そうだ。 俺が見たのは、ポニーテールのガキだ、しかも・・・見覚えがあった」
「フン、成る程。 ・・・バ何とかという下っ端を倒したガキチームの片割れか。
・・・奴らが此処に来た目的は何だろうな、『フリーザー』か?」
「いや・・・確か、あのガキは・・・・・・」
兵士達が顔を見合わせ、話し合いを始めた・・・・・・そして結論が出たようだった
リーダー格の男が、先頭に立ち・・・進み始めた
「あのガキの後をつけるぞ」
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
「・・・ふへぇ、疲れたぁ・・・」
ゴールドがへとへとになって灰砂浜に倒れ込んだ、クリスが水筒の水を手渡してやる
それを一気に飲み干し、おかわりを要求するが、あっさりと断られた
・・・島の周りを1時間程走ると、お互いがぶつかった
そしてそれを見たのか、シショーも上空から降りてきて、報告をした
『・・・・・・上空から見たけど、何も無かったよ』
「そうか、こっちもだ」
「俺も、何も無かったッス」
「・・・となると、イエローはこの『森』に入ったのね?」
ブルーがそう言うと、皆がその森に目をやった
沢山の樹々が生い茂り、そして全てが灰色だった
『マズイよ、この森は天然の迷路として知られているし、強力な磁場でコンパスも利かない。
しかもこの森は・・・・・・レヴェルの高い「ゴーストポケモン」の住処なんだ。
一歩入れば、幻覚に襲われ、同じ場所を歩き続かせる。
そして徐々に体力と思考を奪っていき、昏睡状態に陥らせ・・・彼らに永遠に生気を吸われ続けるんだ』
「げぇっ! ってことは、イエローさん、ますますピンチじゃないですか!!?」
「・・・・・・行かなきゃ」
レッドがいち早く森の中に入っていく、皆がポカンとしていた・・・
「ちょっと、レッド・・・・・・今日、ホントにどうしちゃったの?」
「ったく、まともじゃないのはイエローだけじゃなかったか。
ともかく、俺達も入るしかない! 早く、後を追うぞ!」
『(・・・・・・何だか、どんどんマズイ方向へ行ってるなぁ)』
皆もレッドの後に続き、その・・・『ゴーストポケモン』の領域に足を踏み入れた
そして・・・灰の島『岩場地帯』から、美しき水晶のごとき鳥ポケモンが飛び立った
・・・・・・そのポケモンの名は、『フリーザー』・・・・・・
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